1 / 48
始まりの刻
1
しおりを挟む
あのぅ、先生、先輩、現地の皆様、どこでしょうか?
今の今まで、海外の、とある南国の村で書道パフォーマンスをしてたはずです。
だったらどうしてこんなところでぶっ倒れているのでしょうか。
ふと気づいたら、一人、ゴツゴツとした石畳の上に横たわっていました。
ええっと、広場と称される円形に広がる石畳はありましたよね。
……確か全面を墨で汚れないようにブルーシートで覆った記憶が。
そこ以外の周囲は自然豊かな木々に囲まれてまだ土の路面が残る場所。
褐色の肌色を持つ、クリクリお目目の柔和な顔をした現地の皆様が観客として。
袴姿の書道部と着物姿の邦楽部がコラボした日本の伝統文化といえる演技を行ってる途中、でしたよね?
ゆっくりと顔を上げ、上体を起き上がらせると見慣れない街並みが広がってます。
石畳が道のように連なる両側にはレンガや石で作られたような建物が並んでいて、自然豊かというよりは住宅街に近い感じが。
……一体、ここはどこでしょう?
パフォーマンスをしていた時の風景とは全く違います。
思わず、私自身も確認してしまいます。
右手には筆先が朱色に染まった大筆。
額に白いハチマキと赤いタスキを巻いた白い上衣に黒袴。
そして素足、の姿はそのままのようですが………。
左手は握っていたはずの朱液の入った桶がもぬけの殻。
何気に見回してみるとどこからか地響きのような規則的な音が聞こえてきます。
その響きの方を目で追えば、こっちに近づいてくる二頭の茶色い馬の気配。
もちろん誰かが乗っていてその背後にもう一頭、白い毛並みの馬の姿も見えました。
え? 馬? 何故、こっちへ?
村へはかなりボロボロでしたけどバスで移動しましたよね?
地面がデコボコすぎてしっかりつかまってないと体が持っていかれそうで必死に乗ってましたが。
牛はいたかもしれませんが、決して馬が歩いていた記憶なんてありませんよ。
やがてヒヒーンという嘶きとともに私の数メートル前で止まり、乗っていた人たちが素早く飛び降りました。
何か長細いやばそうなものを握った二人を先頭にして人影が近づいています。
そしてそしていきなり――――。
「……怪しげな娘よ、何者だ?」
カシャーンと金属音が響き、目の前に槍の先端が二か所からクロスするように突き付けられたのです!!
今の今まで、海外の、とある南国の村で書道パフォーマンスをしてたはずです。
だったらどうしてこんなところでぶっ倒れているのでしょうか。
ふと気づいたら、一人、ゴツゴツとした石畳の上に横たわっていました。
ええっと、広場と称される円形に広がる石畳はありましたよね。
……確か全面を墨で汚れないようにブルーシートで覆った記憶が。
そこ以外の周囲は自然豊かな木々に囲まれてまだ土の路面が残る場所。
褐色の肌色を持つ、クリクリお目目の柔和な顔をした現地の皆様が観客として。
袴姿の書道部と着物姿の邦楽部がコラボした日本の伝統文化といえる演技を行ってる途中、でしたよね?
ゆっくりと顔を上げ、上体を起き上がらせると見慣れない街並みが広がってます。
石畳が道のように連なる両側にはレンガや石で作られたような建物が並んでいて、自然豊かというよりは住宅街に近い感じが。
……一体、ここはどこでしょう?
パフォーマンスをしていた時の風景とは全く違います。
思わず、私自身も確認してしまいます。
右手には筆先が朱色に染まった大筆。
額に白いハチマキと赤いタスキを巻いた白い上衣に黒袴。
そして素足、の姿はそのままのようですが………。
左手は握っていたはずの朱液の入った桶がもぬけの殻。
何気に見回してみるとどこからか地響きのような規則的な音が聞こえてきます。
その響きの方を目で追えば、こっちに近づいてくる二頭の茶色い馬の気配。
もちろん誰かが乗っていてその背後にもう一頭、白い毛並みの馬の姿も見えました。
え? 馬? 何故、こっちへ?
村へはかなりボロボロでしたけどバスで移動しましたよね?
地面がデコボコすぎてしっかりつかまってないと体が持っていかれそうで必死に乗ってましたが。
牛はいたかもしれませんが、決して馬が歩いていた記憶なんてありませんよ。
やがてヒヒーンという嘶きとともに私の数メートル前で止まり、乗っていた人たちが素早く飛び降りました。
何か長細いやばそうなものを握った二人を先頭にして人影が近づいています。
そしてそしていきなり――――。
「……怪しげな娘よ、何者だ?」
カシャーンと金属音が響き、目の前に槍の先端が二か所からクロスするように突き付けられたのです!!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
転生先はご近所さん?
フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが…
そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。
でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる