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始まりの刻
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目の前には鋭く尖った銀色に光る刃先。
ひぇ~~~っ。何、何なんなの~~~~~? 一体~~~っ?!
訳もわからなく、背筋には冷たいものが走ります。
確かに海外の方に比べれば平たい顔ですが、黒髪ストレートを一つに束ねた和風姿なただの日本人です!
決して怪しい娘、ではありません!!
銀色の縁取りした黒のロングジャケット、白シャツと白ズボンにひざ下からの黒色ロングブーツ。
ジャケットとお揃いの帽子を被った腕力のありそうな二人の男が身動きもせずに槍を向けたままです。
キラリと光る刃先にこれって本物なの、でしょう、おそらく。
狼狽えつつもその二人の間に立つ主を隙間からちらりと垣間見ます。
ハイネックの白シャツにグレーのベスト、黒ズボンとロングブーツ姿の長身さん。
くせ毛っぽい栗色の前髪の間から鋭い目つきのお方が睨んでおります。
整った顔立ちなのに有無を言わさぬ気迫が感じられてちょっと狼狽えてしまいます。
「は、はい。私は青蘭学園中等部3年、た、橘 窓香と申します!」
威圧感に押されつつ、思わずいつもの癖で名乗ってしまいました。
青蘭学園は中高一貫の女子校で伝統文化をモットーに日本屈指の超名門校だったりします。
卒業すれば日本の陰で支える存在として将来は安泰という、印籠的な学校と噂されて。
その分、受験が厳しいので有名で合格を勝ち取るのも至難の業と評されてますが……。
まあ、私が合格したのは奇跡に近いですが血の滲む努力をしたことは付け加えておきます、一応。
そもそも入学時から将来を担う人材を育成することに特化した教育が当たり前のように組み込まれているんですよ。
その一環として自己紹介は当たり前のようにあるんですね。
……それがこんな危険ともいえる状態でも発揮できるとは思ってませんでしたが。
ふいに中心に立つ主の手袋をした右手が上がったのが合図だったのか、鋭い刃物がすっと収まりました。
もしかして、助かった?
一息をついていると突然、二人の間を縫い、片膝を着いて距離を縮め、探るような表情が目前に。
うわっ、近すぎです! 眼目にとっても整った顔立ちが!!!
西洋系の外国人のようで瞳の色は深い緑色なのですね。
よくある王子様のような……という見目麗しい青年がじっと見つめています。
固い表情なのにキラッキラのオーラを感じるといいますか……。
というより、元々男の人とこんな間近で見つめ合うこともありませんし……。
そもそも中学生の私がお父さん以外の男の人と接近することはありませんでしたから!
だんだんとこの状況に身体が熱くなってきます。
ちょっとぼんやりしていたらいきなり右手首をぐいっと掴まれました。
「い、痛っ」
鋭い眼光はその手に握られてあるものをじっと見つめています。
そうでした! 筆を握ったままでした! と朱色に染まった筆先を見たところ……。
う、嘘でしょ!!!
穂先がカチカチに固まった筆が目に飛び込んできたと同時に思わず奇声を上げてしまい……。
手首を乱暴に投げ出されてしまいました。
「連れていけ」
そう一言、槍を持った二人に伝えるとその王子様調の方は振り返ることなく、白い馬で立ち去ったのでした。
ひぇ~~~っ。何、何なんなの~~~~~? 一体~~~っ?!
訳もわからなく、背筋には冷たいものが走ります。
確かに海外の方に比べれば平たい顔ですが、黒髪ストレートを一つに束ねた和風姿なただの日本人です!
決して怪しい娘、ではありません!!
銀色の縁取りした黒のロングジャケット、白シャツと白ズボンにひざ下からの黒色ロングブーツ。
ジャケットとお揃いの帽子を被った腕力のありそうな二人の男が身動きもせずに槍を向けたままです。
キラリと光る刃先にこれって本物なの、でしょう、おそらく。
狼狽えつつもその二人の間に立つ主を隙間からちらりと垣間見ます。
ハイネックの白シャツにグレーのベスト、黒ズボンとロングブーツ姿の長身さん。
くせ毛っぽい栗色の前髪の間から鋭い目つきのお方が睨んでおります。
整った顔立ちなのに有無を言わさぬ気迫が感じられてちょっと狼狽えてしまいます。
「は、はい。私は青蘭学園中等部3年、た、橘 窓香と申します!」
威圧感に押されつつ、思わずいつもの癖で名乗ってしまいました。
青蘭学園は中高一貫の女子校で伝統文化をモットーに日本屈指の超名門校だったりします。
卒業すれば日本の陰で支える存在として将来は安泰という、印籠的な学校と噂されて。
その分、受験が厳しいので有名で合格を勝ち取るのも至難の業と評されてますが……。
まあ、私が合格したのは奇跡に近いですが血の滲む努力をしたことは付け加えておきます、一応。
そもそも入学時から将来を担う人材を育成することに特化した教育が当たり前のように組み込まれているんですよ。
その一環として自己紹介は当たり前のようにあるんですね。
……それがこんな危険ともいえる状態でも発揮できるとは思ってませんでしたが。
ふいに中心に立つ主の手袋をした右手が上がったのが合図だったのか、鋭い刃物がすっと収まりました。
もしかして、助かった?
一息をついていると突然、二人の間を縫い、片膝を着いて距離を縮め、探るような表情が目前に。
うわっ、近すぎです! 眼目にとっても整った顔立ちが!!!
西洋系の外国人のようで瞳の色は深い緑色なのですね。
よくある王子様のような……という見目麗しい青年がじっと見つめています。
固い表情なのにキラッキラのオーラを感じるといいますか……。
というより、元々男の人とこんな間近で見つめ合うこともありませんし……。
そもそも中学生の私がお父さん以外の男の人と接近することはありませんでしたから!
だんだんとこの状況に身体が熱くなってきます。
ちょっとぼんやりしていたらいきなり右手首をぐいっと掴まれました。
「い、痛っ」
鋭い眼光はその手に握られてあるものをじっと見つめています。
そうでした! 筆を握ったままでした! と朱色に染まった筆先を見たところ……。
う、嘘でしょ!!!
穂先がカチカチに固まった筆が目に飛び込んできたと同時に思わず奇声を上げてしまい……。
手首を乱暴に投げ出されてしまいました。
「連れていけ」
そう一言、槍を持った二人に伝えるとその王子様調の方は振り返ることなく、白い馬で立ち去ったのでした。
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