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神竜の審判
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私は元の体勢へと戻るとアニーさんの手を両手で握りしめました。
一か八かの勝負に出るのです。
これで今生のお別れとなってしまうかもしれません。
きちんと言葉にして伝えようと思いました。
「私はアニーさんがいたからここまでこれたと思ってます。本当にありがとうございました」
訳の分からない状態で2カ月間、自分の食事を減らしてまで譲ってくれたご恩は忘れません。
話せないことをなかなか気づけなくて申し訳なかったです。
こんな心優しい人をこれ以上巻き込んで早めに死なせてはいけません。
握った手を離そうとしたのですが、アニーさんは何かを感じたのか離しません。
それどころか力強く握り返しています。
「アニーさん、お願いです。離してください。確認したいのです。大丈夫とは言えないのです。勝手なこととは判ってますが、少しでも生きていて欲しいのです。本当にごめんなさい」
だんだんと煙くなってきたような気がします。
頭上では悲鳴や喚き声も多くなってきて正直怖いです。
叫び声も聞こえて何かが煙の中へ横切る気配もありました。
どうしようもなく、人と人とが争う様子。
これが目の当たりにある現実です。
だからこそ、私は行動を起こすのです。
非常化の中で人を犠牲にするなど、あんな風にはなりたくない。
冷静に死を受け入れる。
ただ、何もしないのではなく、納得して死にたいんです。
その気持ちに嘘偽りはありません。
私は握った手を申し訳なく強引に剥がすと気合を入れ、空洞へと向かいます。
途切れた壁面を両手で掴んでぶら下がるように。
足がつけば底があるはず。
もしあれば、アニーさんも助けられるかもしれない。
あって欲しいと願いながら空洞に飛び込みました。
両手をピンと張り、自分の身長以上に伸ばしたつもりです。
半分は足が着くだろうと甘い気持ちを持っていたと思います。
ですが、……底が無い。
身体をできうる限り伸ばしても足先に引っ掛かる場所なんてない。
宙ぶらりんに浮いたまま、足をばたつかせるのみです。
頭が真っ白になるとはこういうこと。
見間違いだったんだ!
底があるように見えたのは気のせいだったんだ。
炎の影でそうあるように見えただけだったんだ。
そうあって欲しいってただ思い込んでいたただけだったんだ。
絶望を感じ、急に腕の力が無くなっていく感覚に襲われます。
しっかりと掴んでいた壁面もズルズルと下へと力を奪われ始めていました。
アニーさん、期待をさせるような行動をとってごめんなさい。
結局、全て私の思い過ごしでした。
どうか、どうにかして生き延びてくださいね。
巻き込んでしまったアニーさんだけには申し訳ないことをしたと悔いが残りますが、掴んでいる手がもう限界に来ています。
お父さん、お母さん、先輩方っ、皆様、さよならです。
私は先に旅立ちます。ごめんなさい。
ぶるぶると震え、徐々に指先がずれていきます。
「どうか生き延びてください! さようなら、アニーさん!!」
手が離れる瞬間、思いのたけを込めて叫びました。
一か八かの勝負に出るのです。
これで今生のお別れとなってしまうかもしれません。
きちんと言葉にして伝えようと思いました。
「私はアニーさんがいたからここまでこれたと思ってます。本当にありがとうございました」
訳の分からない状態で2カ月間、自分の食事を減らしてまで譲ってくれたご恩は忘れません。
話せないことをなかなか気づけなくて申し訳なかったです。
こんな心優しい人をこれ以上巻き込んで早めに死なせてはいけません。
握った手を離そうとしたのですが、アニーさんは何かを感じたのか離しません。
それどころか力強く握り返しています。
「アニーさん、お願いです。離してください。確認したいのです。大丈夫とは言えないのです。勝手なこととは判ってますが、少しでも生きていて欲しいのです。本当にごめんなさい」
だんだんと煙くなってきたような気がします。
頭上では悲鳴や喚き声も多くなってきて正直怖いです。
叫び声も聞こえて何かが煙の中へ横切る気配もありました。
どうしようもなく、人と人とが争う様子。
これが目の当たりにある現実です。
だからこそ、私は行動を起こすのです。
非常化の中で人を犠牲にするなど、あんな風にはなりたくない。
冷静に死を受け入れる。
ただ、何もしないのではなく、納得して死にたいんです。
その気持ちに嘘偽りはありません。
私は握った手を申し訳なく強引に剥がすと気合を入れ、空洞へと向かいます。
途切れた壁面を両手で掴んでぶら下がるように。
足がつけば底があるはず。
もしあれば、アニーさんも助けられるかもしれない。
あって欲しいと願いながら空洞に飛び込みました。
両手をピンと張り、自分の身長以上に伸ばしたつもりです。
半分は足が着くだろうと甘い気持ちを持っていたと思います。
ですが、……底が無い。
身体をできうる限り伸ばしても足先に引っ掛かる場所なんてない。
宙ぶらりんに浮いたまま、足をばたつかせるのみです。
頭が真っ白になるとはこういうこと。
見間違いだったんだ!
底があるように見えたのは気のせいだったんだ。
炎の影でそうあるように見えただけだったんだ。
そうあって欲しいってただ思い込んでいたただけだったんだ。
絶望を感じ、急に腕の力が無くなっていく感覚に襲われます。
しっかりと掴んでいた壁面もズルズルと下へと力を奪われ始めていました。
アニーさん、期待をさせるような行動をとってごめんなさい。
結局、全て私の思い過ごしでした。
どうか、どうにかして生き延びてくださいね。
巻き込んでしまったアニーさんだけには申し訳ないことをしたと悔いが残りますが、掴んでいる手がもう限界に来ています。
お父さん、お母さん、先輩方っ、皆様、さよならです。
私は先に旅立ちます。ごめんなさい。
ぶるぶると震え、徐々に指先がずれていきます。
「どうか生き延びてください! さようなら、アニーさん!!」
手が離れる瞬間、思いのたけを込めて叫びました。
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