26 / 48
神竜の審判
9
しおりを挟む
ペタリという表現がふさわしいほど、足の裏に地面が付きました。
もちろんバランスを崩さないように、壁際に寄りながら擦るようにして足だけで地面の幅を確認中。
素足で過ごした日々で足裏の皮も厚くはなっていますが、感覚はまだまだ健在ですよ。
どうやらここも上の螺旋階段と同じように人幅程度のようです。
「アニーさん、地面、ありました。元の体勢に戻って、ちょっと待っててくださいね」
心配させてはいけないとアニーさんに声掛けしてから行動します。
見間違いではなかったという気持ちと随分と深い位置だったという悔しさ。
このフラットな地面、どこまで続いているのでしょうか?
下手するとこの周囲だけかもということが頭から抜けていました。
そうなると煙に近くなっただけのただの馬鹿者なのですが……。
少しづつ、足先で確認するように前へ前へと進みます。
「あれ?」
おそらく4分の1程度進んだ辺りから、ガクンと下がる気配がしました。
一段降りてみるとその先も同じような形状。
これは確実に下り階段ですよね?
上階のように下へと続くものがあるようですね、多分。
この先はどうなっているのか判りませんが、一旦、アニーさんのところへ戻ります。
「アニーさん、死ぬかもしれませんが一緒に付いてきてくれますか?」
暗闇と煙にまみれた見えない上部に向かって声掛けです。
私はもう、決意しました。
「この先に降りる階段があるようです。私は進もうと思います。ですのでアニーさんと一緒に進みたいです」
巻き込むとか生き延びて欲しいとか、もうここまで時間を共にしてきたんですよね。
だったら、とことん、最後まで、一緒にいようではありませんか。
これ以上、アニーさんと離れるつもりはありません。
異国の地で生死を共にしあった、これでいいのです。
「短い時間です。どうせなら一緒に居ようと勝手に思いました。私で申し訳ないのですが……」
その時です。上から風を切る気配がしました。
暗闇の中で目の前に何かがあります。
手を伸ばしてみるとぶら下がっている足の感覚です。
私は確信するとぎゅっとその肢体を抱きしめます。
そう、アニーさんは付いてきてくれると決意したようです。
ほんの2カ月間だけ生活を共にしただけの存在なのに。
こんな私を最後に選んでくれてありがとうございます。
きっと天国に行けますよ。
いえ、もし神龍様とやらがいらっしゃるのであれば是非アニーさんは天国行きと判断してくださいよ!
天に祈る熱い気持ちを込め、落ちないよう支えながら狭い地面へと促しました。
そして向き合うと思わず私はぎゅっと抱きしめます。
「ここでくたばる時は一緒ですよ。共倒れでも覚悟してくださいね」
頭を縦に動かす気配がしました。胸が熱くなってきます。
どうせ死ぬなら一緒です。こんな私についてきて来てくれたのですから。
「それでは、行きましょう」
踵を返し、慎重に方向転換。
今度は私がアニーさんの手を握りしめます。
絶対に離すものかと力を込めて。
もちろんバランスを崩さないように、壁際に寄りながら擦るようにして足だけで地面の幅を確認中。
素足で過ごした日々で足裏の皮も厚くはなっていますが、感覚はまだまだ健在ですよ。
どうやらここも上の螺旋階段と同じように人幅程度のようです。
「アニーさん、地面、ありました。元の体勢に戻って、ちょっと待っててくださいね」
心配させてはいけないとアニーさんに声掛けしてから行動します。
見間違いではなかったという気持ちと随分と深い位置だったという悔しさ。
このフラットな地面、どこまで続いているのでしょうか?
下手するとこの周囲だけかもということが頭から抜けていました。
そうなると煙に近くなっただけのただの馬鹿者なのですが……。
少しづつ、足先で確認するように前へ前へと進みます。
「あれ?」
おそらく4分の1程度進んだ辺りから、ガクンと下がる気配がしました。
一段降りてみるとその先も同じような形状。
これは確実に下り階段ですよね?
上階のように下へと続くものがあるようですね、多分。
この先はどうなっているのか判りませんが、一旦、アニーさんのところへ戻ります。
「アニーさん、死ぬかもしれませんが一緒に付いてきてくれますか?」
暗闇と煙にまみれた見えない上部に向かって声掛けです。
私はもう、決意しました。
「この先に降りる階段があるようです。私は進もうと思います。ですのでアニーさんと一緒に進みたいです」
巻き込むとか生き延びて欲しいとか、もうここまで時間を共にしてきたんですよね。
だったら、とことん、最後まで、一緒にいようではありませんか。
これ以上、アニーさんと離れるつもりはありません。
異国の地で生死を共にしあった、これでいいのです。
「短い時間です。どうせなら一緒に居ようと勝手に思いました。私で申し訳ないのですが……」
その時です。上から風を切る気配がしました。
暗闇の中で目の前に何かがあります。
手を伸ばしてみるとぶら下がっている足の感覚です。
私は確信するとぎゅっとその肢体を抱きしめます。
そう、アニーさんは付いてきてくれると決意したようです。
ほんの2カ月間だけ生活を共にしただけの存在なのに。
こんな私を最後に選んでくれてありがとうございます。
きっと天国に行けますよ。
いえ、もし神龍様とやらがいらっしゃるのであれば是非アニーさんは天国行きと判断してくださいよ!
天に祈る熱い気持ちを込め、落ちないよう支えながら狭い地面へと促しました。
そして向き合うと思わず私はぎゅっと抱きしめます。
「ここでくたばる時は一緒ですよ。共倒れでも覚悟してくださいね」
頭を縦に動かす気配がしました。胸が熱くなってきます。
どうせ死ぬなら一緒です。こんな私についてきて来てくれたのですから。
「それでは、行きましょう」
踵を返し、慎重に方向転換。
今度は私がアニーさんの手を握りしめます。
絶対に離すものかと力を込めて。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
転生先はご近所さん?
フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが…
そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。
でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる