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おりのめぐむ

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神竜の審判

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 踏み出した勢いは止まりません。
 階段は下へ下へと続いています。
 地面がありました。下へと続く階段がありました。
 周囲は真っ暗闇。先はどこへ続くか分かりません。
 もうそんなことはどうでもいいです。
 アニーさんという、死を共にする同志を得たのですから。
 もう、いつ死んでもいいですよ! そんな気持ちが全身を覆います。
 下りということもあって走り出したらスピードが加速されます。
 落ちるとか踏み外すとか関係なく、ただ勢いに任せて下っていきます。
 前のめりになる身体。時々不安定になる体勢をどうにか保ちます。
 ただ、アニーさんの手だけは絶対に離しません。
 暗闇と煙が続き、しばらくすると暑さを感じだしました。
 それはそうですよね。考えてみれば黒煙が上がっていたということは下で何かを燃やしているに違いありません。
 燃え上がった炎が見えていたことですし、燃焼中なのは当たり前でしょう。
 煙たくなくなったものの、温度が上がっているようです。
 着ていた衣服もすっかり乾いて固くなっていました。
 そして空洞だった中心部にもいつの間にか壁ができていて、そちらに触れると熱いです。
 降りるにつれ、だんだんと中央部の壁面が近づいてきている気がします。
 肩辺りが触れてくると狭まりを感じて、手をつないだまま横歩きへと隊形を組みます。
 よくよく考えると燃やしているのですから火の大元へと向かっているんですよね?
 もしかすると下の方面は火炙り地獄が待っているのでしょうか?
 ……そこまで思いつきませんでしたよ。私の頭の中は。
 神龍の審判ならぬ、魔女の処刑じゃないですか!!!

「アニーさん、申し訳、ないです。……焼死に、なるかも、しれません」

 話せないアニーさんに向かってただ声掛けするしかありません。
 幸い煙はありませんが、熱さと駆け下りた勢いとで呼吸が苦しい状態です。
 でも、ここまで来た以上は進むのみです。
 狭まった壁面と壁面の間を下りていくだけです。
 この先、階段が塞がっていたら完全にOUTです。
 辛うじて横歩きで通り抜けれた場所で背中にジュッとした感覚を得ました。
 壁面がアニーさんの顔に触れてないといいのですが……。
 私は外側の壁面に顔をつけながら暑さと息苦しさにフラフラとしているのが判ります。
 焼死というより圧迫死ということになるのでしょうか?
 それとも、熱中症的なもの? 呼吸困難?
 死が迫る中、先程伝えたことをアニーさんに訂正しなくてはなどと考えてしまいました。
 熱い、苦しい、狭い……。
 勢いが滞るように、でも一段一段は朦朧としながらも感覚だけで降りているようです。
 私はこんな状態になってしまってますが、アニーさんは大丈夫でしょうか?
 声すら出すのが厳しくて確認しようもなく、握った手だけは解かれてません。
 思い切って一瞬、ぎゅっと力を籠めます。
 するとそれに反応して軽く握り返しがありました。
 良かった。意識はあるようです。
 おそらく危機に瀕しているのは間違いないでしょうけども。
 一刻も早くこの状況から抜け出したい、そう願わずにはいられませんが。
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