御招待ありがとう~書道ガールが洋風異世界へ~

おりのめぐむ

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神竜の審判

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 ともあれアニーさんの意識確認ができ、ただ良かったというしかありません。
 ここまで付き合わせて先に逝かせてしまったということは避けたいですから。
 あの時、決意した通り、死ぬ時は一緒ですからね!
 けれども可能性があるのならば一緒に生き延びたい。
 早くここから脱したいだけです。戻るという選択肢はありません。
 階段が続く限り、先がある限り、もう進むのみなのです。
 朦朧としながらもただ下っていく感覚だけで進みます。
 するとさっきまでの圧迫感が少しだけ緩まったような気配がしました。
 どうやら極端に挟まれた場所を抜けて下るにつれ、今度は圧迫した間隔が開いていく状態になっているようです。
 狭まったピークは過ぎたということでしょうか?
 あのような狭い隙間は私たちのような瘦せこけた身体ではないと抜けられなかったのでは?
 ですが圧迫感が無くなったとはいえ、上手に呼吸ができていません。
 胸が苦しくてしょうがなく、肩で息をしている状態です。
 時折、意識がとびかかっているのは間違いないと言えるのです。
 ただ、下り階段がうまい具合にあるのでガクンと下がるのを壁面を支えに進めているだけ。
 だからこそ、いつ意識が遠のいて倒れてもおかしくないヘロヘロ状態なのです。
 握っている手も離れそうになったり、緩んだりを繰り返しています。
 そうこうしている内に横歩きだったのが前を向けるようになり、熱さも徐々に感じなくなってきました。
 呼吸は浅いですが、前よりも確実に環境は良くなってきている様子が判ります。
 煙くもなく、熱くもなく、狭くもなく、ただ暗いだけの空間。
 けれども果てしなく階段は続いているように思えます。
 行き着くという終点までこの朦朧とした意識は持つのでしょうか?
 今はもう中心部の壁にもたれながら歩みを進めているのみ。
 中心部寄りの方が距離を縮められると無意識に判断していますが、果たしてそうなのでしょうか。
 ふらふらとして思考がだんだんと怪しくなってきています。
 正直、目の前が霞んで真っ暗なような感じがしてきました。
 この暗闇の中、目は本当に見えているのでしょうか。
 アニーさんと握っているはずの手の感覚もほとんど判らなくなってました。
 本当に握っている状態なのでしょうか。
 とびとびになっている意識に限界がきています。
 アニーさんの様子すら窺う気力が残っていないのです。
 感覚だけの階段もどこまで下りたのかですら足では感じなくなってきました。
 本当に、下りられているのでしょうか。
 夢の中にいるようなぼんやりとした存在になってしまったようです。
 意識があるようでないようなフワフワとした感じです。
 本当に、呼吸はしているのでしょうか。
 一体、この状況はどうなっているのでしょう……。

 ――私は、本当に、まだ生きているのでしょうか?
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