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沈黙の邂逅
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高揚感を覚えて2日ほど経った頃、顔が前よりも上下左右に動かせるようになりました。
そのおかげでただ横たわって天井しか見てなかった部屋の様子が判明したのでした。
ベッドは隅っこに寄せられているようで右側は積み重ねた光沢感のある白色の石で作られた壁になっています。
縦長の細い窓がいくつかあり、この寝転んだ高さからだと外の景色なんて全く見えません。
時折、風を感じることがあり、塞いでいるものがないようで開けっ放しのようでした。
昼間は割と明るいのですが夜になるとほぼ真っ暗です。
とはいえ、乾草小屋の頃からの暗さで慣れてますから平気ですけど。
寝ているベッドは固めで薄いです。枕もないので頭にはその固さがダイレクトです。
まあ、乾草の柔らかさは意外に心地よかったですがきちんと横になった方が身体にはいいのかもしれませんけど。
左側は対になっているように数メートルスペースが空いた並びに空のベッドがもう一つ見えます。
こちらと同様、反対側の壁に寄せてあることからベッドが横並びにある程度の広さです。
ガランとした様子からベッド以外は何もない、そんな感じの質素な部屋ですね。
物音もガサガサとした外からの音が漏れる感じで巫女さん自体もほとんど話すことないし、私も呻くしかできてないようなものですし、静かな方ですよね。
起き上がって外の景色も観たいのですがまだ全身に力が入りません。
若干、腕も上がるようになってきてるのでもう少ししたら自力で起き上がることも可能かもしれません。
もしかすると手を借り、支えてもらえば出来そうな気もしますよ!
なんちゃってリハビリも成果がある気がして本当に回復を徐々に感じられて嬉しくてたまらないです。
この分だと回復そのものの日が近いのかもしれないと思わず自分自身に期待すらしてしまいます。
「ご兄弟などいらっしゃいませんが」
そんなある日、しつこいほど呻き続けた言葉を遮るように巫女さんが低い声で呟きました。
それはまるで凍るような冷たさで拒絶するような感じでした。
兄弟? 確かに私は一人っ子ですが……。
どこからそういう話が出てきたのでしょうか?
その時は驚いて呻くことすら忘れてしまいました。
巫女さんはそれっきり何も言わず、以前よりも冷ややかな態度でお世話するようになりました。
ようやく理解してもらえ、回復の兆しに感謝しかなかったのにショックです。
まだうまく言葉を伝えられないので何か勘違いをさせてしまったのかもしれません。
ですが、起き上がって捜せない今、アニーさんのことを少しでも知りたいんです。
巫女さんの厳しい対応にも負けず、私は変わらず呻き続けることにしました。
食事が終わってさっさと引き揚げることが多くてもがんばりました。
上手く言葉が発せられる日がくるように願いながら。
そのおかげでただ横たわって天井しか見てなかった部屋の様子が判明したのでした。
ベッドは隅っこに寄せられているようで右側は積み重ねた光沢感のある白色の石で作られた壁になっています。
縦長の細い窓がいくつかあり、この寝転んだ高さからだと外の景色なんて全く見えません。
時折、風を感じることがあり、塞いでいるものがないようで開けっ放しのようでした。
昼間は割と明るいのですが夜になるとほぼ真っ暗です。
とはいえ、乾草小屋の頃からの暗さで慣れてますから平気ですけど。
寝ているベッドは固めで薄いです。枕もないので頭にはその固さがダイレクトです。
まあ、乾草の柔らかさは意外に心地よかったですがきちんと横になった方が身体にはいいのかもしれませんけど。
左側は対になっているように数メートルスペースが空いた並びに空のベッドがもう一つ見えます。
こちらと同様、反対側の壁に寄せてあることからベッドが横並びにある程度の広さです。
ガランとした様子からベッド以外は何もない、そんな感じの質素な部屋ですね。
物音もガサガサとした外からの音が漏れる感じで巫女さん自体もほとんど話すことないし、私も呻くしかできてないようなものですし、静かな方ですよね。
起き上がって外の景色も観たいのですがまだ全身に力が入りません。
若干、腕も上がるようになってきてるのでもう少ししたら自力で起き上がることも可能かもしれません。
もしかすると手を借り、支えてもらえば出来そうな気もしますよ!
なんちゃってリハビリも成果がある気がして本当に回復を徐々に感じられて嬉しくてたまらないです。
この分だと回復そのものの日が近いのかもしれないと思わず自分自身に期待すらしてしまいます。
「ご兄弟などいらっしゃいませんが」
そんなある日、しつこいほど呻き続けた言葉を遮るように巫女さんが低い声で呟きました。
それはまるで凍るような冷たさで拒絶するような感じでした。
兄弟? 確かに私は一人っ子ですが……。
どこからそういう話が出てきたのでしょうか?
その時は驚いて呻くことすら忘れてしまいました。
巫女さんはそれっきり何も言わず、以前よりも冷ややかな態度でお世話するようになりました。
ようやく理解してもらえ、回復の兆しに感謝しかなかったのにショックです。
まだうまく言葉を伝えられないので何か勘違いをさせてしまったのかもしれません。
ですが、起き上がって捜せない今、アニーさんのことを少しでも知りたいんです。
巫女さんの厳しい対応にも負けず、私は変わらず呻き続けることにしました。
食事が終わってさっさと引き揚げることが多くてもがんばりました。
上手く言葉が発せられる日がくるように願いながら。
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