御招待ありがとう~書道ガールが洋風異世界へ~

おりのめぐむ

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領主の使用人

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「あなたたち二人には今日からここで見習いとして働いてもらうわ」

 傍らには黒いワンピースと白いエプロンを身に付けた女性が立っています。
 しっかりとしていて書道部の高等部副部長に雰囲気が似ています。
 先ほど簡単に自己紹介されましたが私たちのお目付け役らしいですね。
 エミリさんと名乗りましたが、年齢が近そうでますます先輩って感じですね。
 あれから馬車が到着し、住み慣れていた場所を抜け、さらに奥へと進みました。
 見慣れない景色の中、遠目に博物館のような立派な建物が見えました。
 建物の前は綺麗に刈り込まれた植樹があり、公園のようになってました。
 あまりの美しさでぼんやりしているとその立派な建物の少し離れて隣接された洋館に馬車が止まりました。
 Bさんから降りるよう言われ、その玄関先に数名の人影がありました。
 白髪交じりの髪を整えてある礼服姿の年配の男性と女性、そしてエミリさんでした。
 年配の男性は執事長で女性は侍女長ということで軽く挨拶をされ、あとは任せたとばかりに去っていきました。
 そのエミリさんからの案内で私とアニーさんはその洋館から再び離れた場所へ移動したところでした。

「そして、ここがあなたたちの居住するところよ」

 木造の古めかしい一軒家が目の前にあります。
 先程の洋館に比べると小さな2階建てで年季のあるというか味のある小屋みたいな感じです。
 中に入ると最初に2階の大部屋で8台のベッドが並んだ場所、どうやら寝室に案内されたようです。
 アニーさんと並びで寝る場所も決まりました。この様子からきちんとした対応してもらえてると感じます。
 着替えもベッドサイドにある小さなチェストに入ってるようで至れり尽くせりですね。
 神殿では浴衣のような前合わせの服に変えられていてそのままの状態でここに来ているので助かります。
 お古のようですがちゃんとしたワンピースなのでようやくまともな服ですね。
 早速、アニーさんと着替えてからエミリさんの案内を受けていきます。
 ここには私たち以外にも数人の見習いがいるようで今はお仕事中なので食事の時に紹介するそう。
 1階は食堂を兼ね備えた部屋と倉庫になっているだけのシンプルなつくりでした。
 見習い期間のお仕事はエミリさんたちが住む洋館で主に使用人たちを支えることだそうです。
 つまりは博物館のような建物は領主さまの住む本館と呼ばれる場所らしく、そこで働いている使用人たちのお世話をする使用人見習いという何だか面白い構図となってます。
 そこで経験を積んでエミリさんたちからも認められるようになれば本館勤務へと昇格するそうです。
 ようは使用人たちの別館といわれる洋館で基礎を身に付けて熟せるように、という訳ですね。
 早ければ数年で本館庭周りの掃除が認められるからしっかり頑張るようにと励まされました。
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