御招待ありがとう～書道ガールが洋風異世界へ～

領主の使用人

８

　現在、炊事場でアニーさんとの食事をとっている最中、ふと思いました。
　もちろん多少の誤差や区別化のためだとは知っていました。
　洋館で提供している使用人の料理と私たち見習いの料理の内容が異なることを。
　同じ場所にいるのですから配膳したものと用意されたものとの違いがつい目に入ってしまうのです。
　とはいえ、明らかに違うというのではありません。
　見習い分は極力食器を使わないように工夫された料理だと気づいたという訳なのです。
　今はもう無駄な移動は省いていることですし、多少食器が増えたところで洗う時は同じです。
　このことを本館の方が知らないのでしたら手を煩わせているのかもしれません。
　早速、エミリさんを介して手間をかけずに用意していただいても構わないと伝えました。
　すると翌日から差のないほぼ同等のものが食べられるようになりました。
　さらにはもう一品、使用人たちに品数が増えるようになったのです！　もちろん私たちにもおこぼれが！
　やはり声を上げて良かったです。やはり手間がかかっていたのでしょう。
　でもまさか使用人の方々と近いものになるとは思ってなかったので棚ぼたでした。
　ますます快適な食生活が送れて幸せです。おかげで元気いっぱいになれます。
　以前の食事を思えば健康的な上、アニーさんと共に活力ももっとついていきますよ。
　なんといっても育ちざかりですからね。これはいい傾向です。
　たかだか数週間のうちに効率よく、しかも生活の基盤がしっかりとしてきて嬉しい限り。
　以前のような最悪な環境を覚悟していたのでここまでとんとん拍子に進むとは想像もつきませんでした。
　あとは行方不明者としての捜索の行方や身元確認などに期待したいところです。
　その辺は一体どうなっているのでしょうか？
　けれども騎士さんらしき人たちとは全く接触が無くなりました。
　このままだとこちらで経験を積んで使用人として生きなければならないような気配ですね。
　この土地に来てから気づけばあれから数カ月は経っています。
　学園関係者はもちろんのこと、両親も心配しているでしょうし、国際問題になりますよね？
　日本から南国方面に移動したはずでしたがここにいる周りの人たちは褐色の方々とは違います。
　どう見ても色白で彫が深く、髪の色も目の色も薄い感じでしたから。
　そう、まるで西洋の方々のような雰囲気があるような……。
　今頃気づきましたがもしかするとあの竜巻に巻き込まれ、欧州方面に飛ばされたのでしょうか？
　だからこそ、行方も身元も不明ということに！！
　それなら辻褄が合いますね。全く違う国にいるとなれば日本では捜しようもないということですからね。
　これは非常にまずいのではないでしょうか！！
　どうにかしてこのドラゴニアという名の国の位置を調べなければいけません！！