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乙女ゲームの世界に転生すること願ったら、叶って喜んでしまった。

後編

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 目を開けた瞬間、飛び込んできたのは見慣れない空間と感触。
 何、この包み込むようなクッション性のベッド。
 入院中に寝ていたシングルとは格段に広い幅で彫刻された柱まである。
 
 ……ってことは?

 思わず起き上がり、周りを見渡す。
 広い空間の中、装飾にこだわった木製の家具たちが並んでいる。 
 壁にはシンプルだけど模様の入った布っぽい壁紙。
 家具の上には燭台やら花瓶やらが置かれ、キラキラしている。

 これって、もしかして……!

 ベッドから這い出て、室内を見回す。
 天井のシャンデリアが華やかで豪華。
 思わずほっぺをつねってみる。

「痛っ!」

 夢じゃない! ここにいるのは現実だ!!
 嬉しくなって飛び跳ねる。
 けれど、この豪華絢爛な部屋。
 どう見ても平凡な下級貴族のヒロインのモノではないよね?
 うっわっ、もしかして悪役令嬢ってヤツ?
 バッドエンド回避して……と一苦労しなきゃならないパターンかぁ。
 でも、第2の人生を始められるんだよね?
 神様が願いを叶えてくれたんだよね、この世界に転生を。

 ゲーム攻略を知っている。悪役令嬢ものも読んでいる。
 下調べともいえる知識が頭の中にある。
 これであたしは優位な人生が送れる!!

 嬉しくて部屋中をくるくると回っていると装飾品に反射して映る影。
 あたしが愛してやまなかった押しの美青年。

 ……うっそ、王子かよ!
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