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回復の兆し
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事故発生から3週間。
すっかり8月の半ばに入っていた。
知夏の目を開いた瞬間に立ち会ってから2週間は経っていた。
この2週間、ほぼ病室に缶詰状態で過ごし、今日という日を迎えた。
医者の診断から退院まであと3日と言われたのだ。
まだ完治はしていないのだが、あとは通院で大丈夫だとか。
とにかく俺はみるみる回復していった。
もちろん、知夏のことが気にならない訳ではなかった。
あの日以来、歩行器は没収され、用事があればナースコールの日々。
知夏の母親に突き倒された衝撃で一時怪我が悪化し、出歩けるどころじゃなかったが。
ようやく回復し、俺が少しでも怪しげな行動に出ようとするならば口うるさい看護師がやってきて雷を落とす。
「やっとここまで回復したのに、また悪化させるつもりなの」
俺は正直、自分の身体なんてどうでもよかった。
知夏のあの瞬間に立会い、それからどうなったのがずっと気になっていた。
だから前と同じように何度も抜け出す事しか考えていなかった。
さすがにそれを勘ぐっていた口うるさい看護師がある日。
「森谷さん、意識が完全に戻ったらしいわよ」
「えっ」
突然のことに驚いた。
「前はね、意識不明の重体だったからそれを知ったら気が気でないだろうって言われてたけど、橘川さんの場合、知らせておいた方が逆にいいって悟ったわ。だから今は治療に専念して。状態が分かり次第、教えてあげるから」
口うるさい看護師がすげ~良い奴に見えた瞬間だ。
俺は毎日のように知夏のことを聞いた。
看護師も伝え聞きでの情報しかないということで細かいことなどは聞けなかったが日に日に回復している知夏の状態が垣間見られた。
「点滴が取れたみたいよ」
「重湯だけど、食べれるようになったらしいわよ」
「起きれるようになったみたい」
それを励みにその言い分を守る形であっという間に2週間が経ったようなものだ。
そのおかげで今の俺がある。
歩行器でしか引き摺れなかった足もしばらくして松葉杖に変わり、もうじき必要なくなる。
切り傷の爪あとは腕に残っているがすっかり傷はふさがっていて痛みはない。
ギブスはまだ外せる状態ではないがそれ以外はほぼ完治に近い。
つまり右側面のギブス装着以外は良くなったと言えるのだ。
きっと知夏も意識が戻ってからは俺と同じ状態に回復しつつあると思ってた。
見えない姿を追い求めつつ、ただただ治療に専念していた。
あと3日と言われて気持ちが落ち着くはずはなかった。
おとなしくしていた分、そわそわし始める。
ギブス以外はどこも悪くない。
だが、治療に専念するため我慢していた。
松葉杖さえ殆ど必要なくなった時、何度知夏の元へ行こうかと思ったことか。
医者がはっきりと診断しないため、看護師との言い分を守っていた。
退院というお墨付きがくだされた今、どんどんと気持ちが高まっていった。
――再び、知夏に会いに行こう、と。
すっかり8月の半ばに入っていた。
知夏の目を開いた瞬間に立ち会ってから2週間は経っていた。
この2週間、ほぼ病室に缶詰状態で過ごし、今日という日を迎えた。
医者の診断から退院まであと3日と言われたのだ。
まだ完治はしていないのだが、あとは通院で大丈夫だとか。
とにかく俺はみるみる回復していった。
もちろん、知夏のことが気にならない訳ではなかった。
あの日以来、歩行器は没収され、用事があればナースコールの日々。
知夏の母親に突き倒された衝撃で一時怪我が悪化し、出歩けるどころじゃなかったが。
ようやく回復し、俺が少しでも怪しげな行動に出ようとするならば口うるさい看護師がやってきて雷を落とす。
「やっとここまで回復したのに、また悪化させるつもりなの」
俺は正直、自分の身体なんてどうでもよかった。
知夏のあの瞬間に立会い、それからどうなったのがずっと気になっていた。
だから前と同じように何度も抜け出す事しか考えていなかった。
さすがにそれを勘ぐっていた口うるさい看護師がある日。
「森谷さん、意識が完全に戻ったらしいわよ」
「えっ」
突然のことに驚いた。
「前はね、意識不明の重体だったからそれを知ったら気が気でないだろうって言われてたけど、橘川さんの場合、知らせておいた方が逆にいいって悟ったわ。だから今は治療に専念して。状態が分かり次第、教えてあげるから」
口うるさい看護師がすげ~良い奴に見えた瞬間だ。
俺は毎日のように知夏のことを聞いた。
看護師も伝え聞きでの情報しかないということで細かいことなどは聞けなかったが日に日に回復している知夏の状態が垣間見られた。
「点滴が取れたみたいよ」
「重湯だけど、食べれるようになったらしいわよ」
「起きれるようになったみたい」
それを励みにその言い分を守る形であっという間に2週間が経ったようなものだ。
そのおかげで今の俺がある。
歩行器でしか引き摺れなかった足もしばらくして松葉杖に変わり、もうじき必要なくなる。
切り傷の爪あとは腕に残っているがすっかり傷はふさがっていて痛みはない。
ギブスはまだ外せる状態ではないがそれ以外はほぼ完治に近い。
つまり右側面のギブス装着以外は良くなったと言えるのだ。
きっと知夏も意識が戻ってからは俺と同じ状態に回復しつつあると思ってた。
見えない姿を追い求めつつ、ただただ治療に専念していた。
あと3日と言われて気持ちが落ち着くはずはなかった。
おとなしくしていた分、そわそわし始める。
ギブス以外はどこも悪くない。
だが、治療に専念するため我慢していた。
松葉杖さえ殆ど必要なくなった時、何度知夏の元へ行こうかと思ったことか。
医者がはっきりと診断しないため、看護師との言い分を守っていた。
退院というお墨付きがくだされた今、どんどんと気持ちが高まっていった。
――再び、知夏に会いに行こう、と。
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