眠り姫のキセキ

おりのめぐむ

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失われた感覚

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 休み明けのテスト終了後、
 この時期待ち構えている行事は、
 9月末から行なわれる体育祭と文化祭。

 実施までの短い期間。
 準備をしなければならない時期。
 HRの時間がやたらに増えて練習などに当てられる。
 そんな日々だった。

「宮村、眠いなら保健室に行け」

 まだまだ暑い日々が続く9月中旬。
 全校生徒が体育祭の練習に参加する中、
 私は一人、グラウンドの片隅。

「だ、大丈夫です」

 声を掛けてきた先生に戸惑う。
 あの日以来、接触が無かったから。
 避けられてる…といってもいいかもしれない。

「そうか…」

 先生はそう言うと去っていく。
 私は少しホッとする。
 あの視線で見られるとちょっと怖いから。
 クラスメイトたちも恐れてる。
 とけ込もうとしない先生に。

「…あ、あれ…?」

 目の前が一瞬暗くなる。
 全身が熱くて気だるさが襲ってくる。
 おかしい…。
 そう感じた時には記憶がなかった。
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