エリートヤクザの訳あり舎弟

レコード

文字の大きさ
11 / 15

情報屋

しおりを挟む
「例の件、無事に特定できました。」 

参謀担当の部下である、荻原が印刷した大量の書類は、住宅の売買状況とその入居者について。
都心から外れた築五十年のボロアパートこそが、母親の居場所だ。

「社長夫人がコンビニでパートとはいい気味だ。」

「辛うじて姉の学校だけは通えているようですが、専ら噂になっていると思いますよ。」

車やマンションを引き払った日付、クレジットカードの停止。さらには口座の番号まで。
おそらく自己破産をしたであろう形跡が残っている。

「おそらく自己破産が濃厚かと。」

但し、借金が完全に無くなったということではない。
俺が持つ契約書に書かれた『連帯保証人』の存在が鍵になる。

「あいつらを呼び出せ。そうすれば、連帯保証人は解除してやる。」

桜川の旧友だと名乗った男にそう伝えて協力を煽った。
彼が寝泊まりするネカフェも特定済みで、時期に接触するだろう。
裏切られたショックで募った恨みは、上手く使えば優秀な駒として動いてくれる。

「こちらが周辺の防犯カメラをハッキングしたものです。」

「一日でよく嗅ぎつけたな。」

「現代は情報戦が制するのですよ。」

彼は暴行事件の濡れ衣により解雇された元刑事。
途方に暮れていたところを捜査能力を見込んだ親父が拾い、今は情報屋の職に就いた。


「さて、若の本題に移りましょうか。」

「…は?」

「老人ホームの入居者を調べておきました。会わせてあげたいんですよね、ばあさんに。」

「会長に似てますよ。情を捨てきれないところ。」と荻原が笑う。

「手配はこちらで進めておきます。明日は会社も休みなのでしょう?家族サービスでもしてあげてくださいね、。」

語尾をやたら強調するが、拳銃を与える大人のどこが父親なのだろうか。


「まずは服屋行って~、俺も新しい靴買いたいな。あ、このクレープ屋美味そう!駿はクレープ食ったことある?」

「…ない。」

「じゃあ一番でかいやつ頼もうぜ。」

「いいのか?」

「テスト100点だったご褒美ってことで。財布は全部凌雅持ちだから大丈夫!」

家に帰ると、俺から休みを告げていないのにもかかわらず、裕也は既に行き先を決め、ショッピングモールのマップを見ながら話に花を咲かせていた。
最初は怪訝そうな表情を浮かべた駿も『ご褒美』の文字にすっかり乗り気だ。

「おい、どこが大丈夫だ。人を勝手にATMにすんじゃねえ。」

「凌雅のケチ。いたいけな子供の望みを叶えてあげようとは思わないのかよ。」

「明らかにお前の趣向品も混じってただろうが。」

「…バレた。」

(…俺にも情が沸いたのか?)

考えてもわからない。
ひとまず荻原の言葉のせいにしておこう。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...