BL短編集 ラムネ

サカタ毒林檎

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いなくなったら(ショートショートショート)

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「もし、僕がいなくなったら、どうする?」
遊び心と少しの本気で、篤人は翔に聞いた。
「篤人がいなくなったら」
翔はそういって少し考えたあと
「なにも変わらないとおもうよ」
と答えた。
悲しいとか、嫌だとか言ってくれると思っていただけに、篤人は苦笑いした。
「篤人がいなくなっても世界は回ってるし、変わらない。僕もそんな波に巻き込まれて、直ぐに忘れてしまうかもしれないね」
さらに追い打ちをかけるような翔の言葉。流石に篤人も悲しくなった。
そして、翔は一言付け加えた。
「だからね、篤人は僕の先にもあとにもいなくなったら駄目だよ」

「なんだよそれ、僕も翔も永遠に死ねないじゃん」
篤人の顔に笑顔が戻った。
翔もつられて笑った。

「本当に永遠一緒にいられたらいいのにね」
翔が篤人の笑い声に紛らわせながら言った。
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