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第3話 私は参加者様のためのイベントを考えてヤル。

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 王家所有の舞踏会場。

 今、王立学園の卒業パーティーが行われている。諸外国の来賓の方達や貴族がそろって出席していた。特別ゲストの宰相様、騎士団長様、さらに国王陛下夫妻までもが参加していた。

 ここにいる卒業生達は、学園でこれまで勉強したことを糧にして、よりよい国造りに励むことだろう。

 皆、学園最後の思い出を満喫している。このまま何事もなく卒業パーティーを終える───はずだった。

 だが、一人の令嬢に近づく輩がいた。

 それも複数で囲む形でだ。

「アリシア・デストロイ」

 彼女の前に一番に立ったのは、甘いマスクをもったイケメン、優男の第二王子だった。まるで親の仇でもあるかのように彼女を睨む。

 アリシアはただ、ぼーっと第二王子を見るだけだった。何も言わない。ただじっと見てるだけだった。死んだような目で、ただじっと見るだけだった。

 それが我慢の限界がきたのか、第二王子はより怒りが増していた。

「お前に引導を渡すときがきた、罰をあたえるときがな。よく聞くがいい、わたし、フルボック・サレターナはアリシア・デストロイとの婚約を破棄する! そして、今この場でお前の罪を告白し断罪する」

 フルボックは舞踏会場の席で皆に聞こえるように声を荒げた。

 騒ぎ声が一斉にやむ。そして、会場はすぐに、喧騒につつまれたのだった。

 王子の側近や騎士団長の息子ササレタがその場を収めはじめた。

 そして、またフルボックが話をはじめる。

「皆にはすまないことをしたと思う。卒業式という華やかな舞台に私の私的で使うことを許してほしい。たが、この令嬢にはきっちりと断罪せねばならない理由がある。この話が終わるとき、皆が理解してくれることだろう」

 そして、フルボックの傍らに一人の少女か寄り添った。

「アリシア、彼女のことは知っているな」

 煌びやかな金髪を輝かせ、透き通るような碧眼、顔立ちもよく、素朴で愛らしい美少女、ナーシャ・ローレンス男爵令嬢は、怯えた表情でアリシアを見つめ震えている。

 そう、まるで、か弱い姫とそれを守る騎士のような光景が、会場の皆には映っていたであろう。

 しかし、アリシアは無言のまま、ただ見つめているだけだった。死んだような目をして、ただ見つめているだけだった。

 アリシアの態度に我慢できなくなり、険しい顔をしたフルボックの側近、公爵家の長男サンドバックがアリシアの前に出た。

「あなたがナーシャを散々、蔑んだことをなかったことにはさせませんよ」

 しかし、アリシアは微動だにしない。ただ何かを見ている。そう見えない者を見ているようにボーっとしている。まるで人ではなく人形を相手にしているような感覚だ。周囲の人間たちもざわめきだす。サンドバックは、さらに話を続ける。

「あなたが、陰で彼女の悪い噂を流していたことは分かっている」

 ふんっと鼻を鳴らして、アリシアを笑う。彼は一枚の書類を取り出し、それを読み上げた。

「……以上のように、ナーシャは毎日言われ続けていた。このおぞましい言葉を毎日だ」

 さらに続いて、宮廷魔導士を親に持つコロッサスが言葉を言い放つ。

「それだけではありません、彼女の所持品のほとんどが破損され、授業にさしつかえるほどです、これは嫌がらせでは済まされないレベルです、あなたがすべて、行ったのですよね」

 彼にはアリシアが罪を犯したと断定できる何かをもっているのかその瞳には自信で満ち溢れていた。さらに彼は書類を読み上げていく。

「あなたが行っているところを見たという目撃者が数多くいる、この数だ、隠す気すらなかったようですね」

 コロッサスの話を聞いた第二王子フルボックは憤怒しその瞳は憎しみに満ち溢れていた。王族、さらには複数の男性から怒りをぶつけられ、晒しものにされ、普通の令嬢なら泣き叫び、地面に座りこむことだろう。だが、アリシアは、反応すらない。沈黙している。瞳はどこをみているのか、やはり分からない。

 王子達の怒りは収まらない。コロッサスは書類に怒りを込めながら続きを話した。

「卒業パーティより三か月前から、ナーシャが学園を欠席することが多くなった。その原因を作ったのはあなただ、嫌がらせだけではあきたらず、怪我をさせていた、調べた結果、その回数も尋常ではなかった」

 怒り震えるコロッサス、その書類には強く握りしめられたあとが残っている。

 ササレタはコロッサスの肩に手を置く、そして、屈強な肉体をもったササレタは、アリシアに向かって睨みつけ威圧する。

 コロッサスに引き続いて、ササレタが話し始めた。

「目撃者の数は相当だ、そして、俺も見た、彼女が二階の階段から転げ落ちるのを、突き飛ばしたあなたがそこにいたのを、もう、我慢ならん、お前のせいだ、ナーシャは血を流していたんだぞ」

 ササレタは、ナーシャをこの悪魔から騎士として守ることができなかった。拳を震わせている。いまにも、この怒りがアリシアに爆発しそうなほどだ、だが、彼だけではない、第二王子フルボックが、話し始める。

「彼女は怪我のせいで、ダンスの練習も満足にできなかった、それでも必死に痛みに耐えながら彼女は頑張っていたんだ、それをお前がまた彼女を」

 野次馬のようにただ見ているだけだった者達も皆、ナーシャに同情の声が広まりつつあった。逆にアリシアを嫌悪する声が広まっていく。

 コロッサスにかわり、サンドバックが新たに書類の束を皆に見せつけた。

「この書類には彼女が行った数多くの所業が記されている。情報を提供してくれた多くの協力者たちには感謝する。これで、ナーシャは救われることだろう」

 すでに会場にはアリシアの味方をしてくれる者が誰一人いなかった。

 いじめや嫌がらせを目撃した者、またナーシャの所持品を壊した所を見た者は、実際には見ていない。知らないのだ。ただ、あんなのが王子の婚約者だなんて許せない、見せしめにしたかったなど、生意気だったなど、女性からの嫉妬や嫌悪が激しかった。今、アリシアに会場全ての悪意が向けられていた。
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