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第一章
下駄箱
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彼の熱狂的なファンは今日も手紙を欠かさない。
とても攻撃的な有り余る元気を注いだその手紙は、彼が登校するたびに目にする。
この手紙の書き主は私には把握できている。
表立っていじめをする彼らより少しだけ勇気がないいじめっ子たちだろう。
言うなれば第二のいじめっ子。
いじめということ自体、常識的にみると格好の悪いものでしかないが、私には好都合だ。
どのような手法を使い彼の心や体を痛めつけるのか、それを私が把握できていたのなら、私は止めやしない。
私にとっての利害の一致というところだろう。
彼の熱狂的なファンレターの初めはいつものメンバーである彼らから始まったが、そんな細かいことを彼らが続けられるはずもない。
そして、次のいじめグループが現れたのだ。
真似をすることで、彼らのせいにすることができる。
それを学んだ有象無象は、日頃のストレスを彼にぶつけ始めた。
適当に書き込んだ罵詈雑言を丸めて彼の下駄箱に入れるだけで、これまでのストレスを文字通り丸投げできるのだ。
そんな画期的な方法を学んだ有象無象は、ほぼ毎日の習慣のようにその行動を繰り返した。
私は静かにそのファンレターの書き手をメモ帳に書き留めていった。
もちろん、私にその矛先向かないようにする意図もあるが、いざという時に私のお友達にするチャンスを掴むためでもある。
良くも悪くもファンたちは勇気があまりない。
いざという時は利用させてもらわない手はないだろう。
一度だけ彼の下駄箱を開けた時の、悲しいような困ったようなその表情を見ていたが、これじゃない感というものが私の中で強く表れていた。
きっと、彼の表情が歪んでいないという点が私の納得に繋がらなかったのだろう。
その、つい手を差し伸べたくなるような、かわいそうな表情を私に見せるのにとてもそそられるものがあるのだ。
たまに下駄箱からはみ出たファンレターは私が丁寧に処分することがある。
道に散らばるそれを見て、彼以外が気持ちを落とす事態を避けたいのもあるが単純に邪魔だというのが一番である。
この学校の生徒の中で指折り早く登校する私は、ファンレターを送るクズたちのちょっとした手助けもしてしまっている。
とても面倒ではあるが、これがいつかの役に立つと考えると進んでできてしまえる。
私は今日も彼のぎっしりとファンレターの詰まった下駄箱を横目に教室へと向かう。
きっと、このふたを開ける時の彼の困った表情を想像するだけで私は高揚感あふれるものがある。
だが、私は彼の目に見えて苦しむ方を見ていたいため、渋々教室に向かうのだ。
今日も彼はやってくる。
きっと優しすぎるから、帰りにはそのファンレターを熱心に開くことだろう。
そして、苦しんでくれることだろう。
想像するだけで満足感が少しだけ満たされる気分だ。
いつもタイミング悪く、その瞬間を見ることができないのが残念である。
私は今日も日常を生きている。
彼もまた同じく。
ここにはクズが多い。
きっと彼もまた何かしらのクズであるのだろう。
染められない白はどこにも存在しないのだから。
とても攻撃的な有り余る元気を注いだその手紙は、彼が登校するたびに目にする。
この手紙の書き主は私には把握できている。
表立っていじめをする彼らより少しだけ勇気がないいじめっ子たちだろう。
言うなれば第二のいじめっ子。
いじめということ自体、常識的にみると格好の悪いものでしかないが、私には好都合だ。
どのような手法を使い彼の心や体を痛めつけるのか、それを私が把握できていたのなら、私は止めやしない。
私にとっての利害の一致というところだろう。
彼の熱狂的なファンレターの初めはいつものメンバーである彼らから始まったが、そんな細かいことを彼らが続けられるはずもない。
そして、次のいじめグループが現れたのだ。
真似をすることで、彼らのせいにすることができる。
それを学んだ有象無象は、日頃のストレスを彼にぶつけ始めた。
適当に書き込んだ罵詈雑言を丸めて彼の下駄箱に入れるだけで、これまでのストレスを文字通り丸投げできるのだ。
そんな画期的な方法を学んだ有象無象は、ほぼ毎日の習慣のようにその行動を繰り返した。
私は静かにそのファンレターの書き手をメモ帳に書き留めていった。
もちろん、私にその矛先向かないようにする意図もあるが、いざという時に私のお友達にするチャンスを掴むためでもある。
良くも悪くもファンたちは勇気があまりない。
いざという時は利用させてもらわない手はないだろう。
一度だけ彼の下駄箱を開けた時の、悲しいような困ったようなその表情を見ていたが、これじゃない感というものが私の中で強く表れていた。
きっと、彼の表情が歪んでいないという点が私の納得に繋がらなかったのだろう。
その、つい手を差し伸べたくなるような、かわいそうな表情を私に見せるのにとてもそそられるものがあるのだ。
たまに下駄箱からはみ出たファンレターは私が丁寧に処分することがある。
道に散らばるそれを見て、彼以外が気持ちを落とす事態を避けたいのもあるが単純に邪魔だというのが一番である。
この学校の生徒の中で指折り早く登校する私は、ファンレターを送るクズたちのちょっとした手助けもしてしまっている。
とても面倒ではあるが、これがいつかの役に立つと考えると進んでできてしまえる。
私は今日も彼のぎっしりとファンレターの詰まった下駄箱を横目に教室へと向かう。
きっと、このふたを開ける時の彼の困った表情を想像するだけで私は高揚感あふれるものがある。
だが、私は彼の目に見えて苦しむ方を見ていたいため、渋々教室に向かうのだ。
今日も彼はやってくる。
きっと優しすぎるから、帰りにはそのファンレターを熱心に開くことだろう。
そして、苦しんでくれることだろう。
想像するだけで満足感が少しだけ満たされる気分だ。
いつもタイミング悪く、その瞬間を見ることができないのが残念である。
私は今日も日常を生きている。
彼もまた同じく。
ここにはクズが多い。
きっと彼もまた何かしらのクズであるのだろう。
染められない白はどこにも存在しないのだから。
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