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第三章
怒り
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私は、ただの一度でも彼らを許さないだろう。
彼らのせいで、私はこんなにも彼の魅力に惹かれてしまった。
愛を囁く悪魔が私の元にやって来て、いつも意地悪をする。
彼含め、彼らをこの手で苦しめてしまえと囁くのだ。
苦しみに歪む彼を眼前に楽しむ彼らは、あまりにも幸せそうにするので、私は彼らの苦しみという表情が気になって仕方がない。
彼の復讐ではなく、単純に趣味嗜好の範囲としてそうしたいのだ。
私は、人が簡単に死んでしまえるということを知っている。
それと同時に、しぶとく生きているということも知っている。
彼はいじめられても、苦しみながら生きている。
私は、生きているということが素晴らしくて仕方がないのだ。
簡単に死を選んでもよい身というのに、彼はそうしない。
何を彼がこの世に縛り付けるのか、皆目見当もつかない。
私は、生きているのがそこまで苦じゃないが、そこが死ねる理由へとつながることがある。
こんなにも細くて弱い体で簡単に生きている現状が、私には恐ろしいのだ。
生きたいとも思えない人生のため、死んでみたいと挑戦する心が私をくすぐるのだ。
だが、最近はそうもいかない。
彼が、いるからだ。
私にとってこの眼前に広がる何とも形容しがたい至高の見世物は、惜しくも私の生きる理由となってしまう。
彼らが、私を殺してはくれないのだ。
酷い話だ。
彼らのその拳一つで私の寿命は少しだけ伸びる。
私が喜び興奮する姿は、誰にも見えない闇の中である。
本当の悪役というのは私のようなことを言うのだろう。
何もしないが、現状を楽しみ多くを待ち望んでいる。
直接的でない分、質が悪いのだ。
私は、稀に用もないのにトイレへと消える。
私だけの個室へと入り、その中で思う存分顔を歪ませるのだ。
声にならない、不気味な笑いを押し殺し、最後に手鏡を確認し何食わぬ顔で悪魔的片鱗を水に流して戸を開ける。
トイレの備え付けの鏡には、私でさえ騙されるであろう女優がいる。
名脇役と言った方が正しいであろう。
私は、止まらぬ彼らの時間を楽しみ、そして憤りを覚える。
なぜ、あそこに私はいないのか。
なぜ、彼は私のものではないのか。
私は、悔しさで吐血しそうな思いだ。
恨めしい。
酷く度を越した飴と鞭で、彼のことをもっとめちゃくちゃにしたいと常日頃から思う。
彼が私だけのものならば。
私の操り人形ならば。
きっと私は、そんな妄想の中で彼を生かせずにいる。
彼らのほうが、彼の扱いが上手いのだ。
一番に悔しいのはそこである。
彼がまだ生き続けられているのは、彼らの手加減が絶妙だからだ。
彼らの一挙手一投足を眺め、常日頃から研究する。
頭の中で毎度も同じく彼のことを殺してしまっている私は、何と弱いことか。
彼らから学ぶことは、まだまだありそうだ。
今日も彼は、有象無象に助けを求める顔をする。
彼は、まだ生きている。
彼が生き続ける限り、私も生きる。
苦しみ悶えて、私は喜ぶ。
狂気で包まれた教室で、私は静かに彼に手を伸ばすのだ。
あと少し、もう少し。
彼と出会うのは、まだ早いかもしれない。
今日も彼は、いじめられている。
彼らのせいで、私はこんなにも彼の魅力に惹かれてしまった。
愛を囁く悪魔が私の元にやって来て、いつも意地悪をする。
彼含め、彼らをこの手で苦しめてしまえと囁くのだ。
苦しみに歪む彼を眼前に楽しむ彼らは、あまりにも幸せそうにするので、私は彼らの苦しみという表情が気になって仕方がない。
彼の復讐ではなく、単純に趣味嗜好の範囲としてそうしたいのだ。
私は、人が簡単に死んでしまえるということを知っている。
それと同時に、しぶとく生きているということも知っている。
彼はいじめられても、苦しみながら生きている。
私は、生きているということが素晴らしくて仕方がないのだ。
簡単に死を選んでもよい身というのに、彼はそうしない。
何を彼がこの世に縛り付けるのか、皆目見当もつかない。
私は、生きているのがそこまで苦じゃないが、そこが死ねる理由へとつながることがある。
こんなにも細くて弱い体で簡単に生きている現状が、私には恐ろしいのだ。
生きたいとも思えない人生のため、死んでみたいと挑戦する心が私をくすぐるのだ。
だが、最近はそうもいかない。
彼が、いるからだ。
私にとってこの眼前に広がる何とも形容しがたい至高の見世物は、惜しくも私の生きる理由となってしまう。
彼らが、私を殺してはくれないのだ。
酷い話だ。
彼らのその拳一つで私の寿命は少しだけ伸びる。
私が喜び興奮する姿は、誰にも見えない闇の中である。
本当の悪役というのは私のようなことを言うのだろう。
何もしないが、現状を楽しみ多くを待ち望んでいる。
直接的でない分、質が悪いのだ。
私は、稀に用もないのにトイレへと消える。
私だけの個室へと入り、その中で思う存分顔を歪ませるのだ。
声にならない、不気味な笑いを押し殺し、最後に手鏡を確認し何食わぬ顔で悪魔的片鱗を水に流して戸を開ける。
トイレの備え付けの鏡には、私でさえ騙されるであろう女優がいる。
名脇役と言った方が正しいであろう。
私は、止まらぬ彼らの時間を楽しみ、そして憤りを覚える。
なぜ、あそこに私はいないのか。
なぜ、彼は私のものではないのか。
私は、悔しさで吐血しそうな思いだ。
恨めしい。
酷く度を越した飴と鞭で、彼のことをもっとめちゃくちゃにしたいと常日頃から思う。
彼が私だけのものならば。
私の操り人形ならば。
きっと私は、そんな妄想の中で彼を生かせずにいる。
彼らのほうが、彼の扱いが上手いのだ。
一番に悔しいのはそこである。
彼がまだ生き続けられているのは、彼らの手加減が絶妙だからだ。
彼らの一挙手一投足を眺め、常日頃から研究する。
頭の中で毎度も同じく彼のことを殺してしまっている私は、何と弱いことか。
彼らから学ぶことは、まだまだありそうだ。
今日も彼は、有象無象に助けを求める顔をする。
彼は、まだ生きている。
彼が生き続ける限り、私も生きる。
苦しみ悶えて、私は喜ぶ。
狂気で包まれた教室で、私は静かに彼に手を伸ばすのだ。
あと少し、もう少し。
彼と出会うのは、まだ早いかもしれない。
今日も彼は、いじめられている。
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