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丘の上の大きな木2
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ある日おじいさんが来ました。
大きな木に触れて「こんなに傷だらけじゃしんどいだろう」と私の幹をぽんぽんと叩きました。
おじいさんは大きな木に薬を塗りました。
大きな木はおじいさんにお礼を言いました。
「また元気になれます。ありがとう。本当にありがとう」
おじいさんは木の根元に座り、空を見ながらサンドイッチを食べ始めます。
おじいさんは「ちょっとお前さんの実をもらってもいいかね?」と大きな木に聞きます。
優しい大きな木ははじめて不安そうに言います。
「わたしの実はみんなのものです。ご自由に食べてもよいですよ。わたしの実を食べると、みんな幸せだと言います。でも全部持っていってはいけません。動物たちのぶんもちゃんと残して欲しいのです。幸福は誰か一人のためのものではなく、みんなのものなのです。最近、知らない人がよくここへ来て、たくさん実を持っていってしまい、他の動物の分がなくなってしまうのです。その人は私のことをたんまりお金を宿すお金の木だと言っていましたが、わたしにはよくわかりません」
おじいさんは困った顔をしながら言いました。
「最近街で大人気のジャムがあってね。そいつはいちやく大金持ちになったんだ。わしなんかにゃ、高くて買えないがね。そうか、あいつめ、ここから採ってきていたのか。なに、わしは少しパンに挟んで食べようとおもっただけだよ」
「それならどうぞ」と大きな木は言いました。
おじいさんは、いつつほど実を採ってパンに挟んで食べました。
「ふむ。甘くて優しい味だの。お前さんのことはよくわかった」
おじいさんはサンドイッチを食べ終わると大きな木に「ひとつ聞いていいかね?」と言いました。
「わたしに答えられることならなんでも答えますよ。優しいおじいさん」
と大きな木が言うと、おじいさんは聞きました。
「お前さんはどうしてこんなにボロボロになっても、一生懸命尽くすのかね。お前さんはたくさんのものをあえて抱えようとしている」
すると大きな木は答えました。
「わたしにはやらなければいけないことがあります。嵐の日に折れた大きな枝の下敷きになり。少女を殺してしまったのです。少女の体は土に返り、わたしが吸い取ったのです。少女の魂は私の中でいつまでも生きています。わたしは奪った命の分以上に、命を育てなければいけないのです。わたしは奪った幸福の分以上に、幸福を育てなければいけないのです。たとえ傷ついても、わたしは幸せを守らなければいけないのです」
「ふむ」と言いながら、おじいさんは言いました。
「しかしお前さん。幸福とは何かを知っているのかね?」
大きな木は答えました。
「根を張ることです。だから私は生きていられる。だから私の中にはたくさんの魂が宿っているのです。おじいさんの幸福は何ですか?」
おじいさんは何も言わずににっこりとしながら、大きな幹をさすりました。
「あの少女の魂がちゃんと生きているということがわかっただけでも、わしは充分幸せだよ」
おじいさんはふところから古ぼけた写真を取り出しました。
そして嬉しそうに少女と若い頃のおじいさんが写っている写真を眺めていました。
大きな木に触れて「こんなに傷だらけじゃしんどいだろう」と私の幹をぽんぽんと叩きました。
おじいさんは大きな木に薬を塗りました。
大きな木はおじいさんにお礼を言いました。
「また元気になれます。ありがとう。本当にありがとう」
おじいさんは木の根元に座り、空を見ながらサンドイッチを食べ始めます。
おじいさんは「ちょっとお前さんの実をもらってもいいかね?」と大きな木に聞きます。
優しい大きな木ははじめて不安そうに言います。
「わたしの実はみんなのものです。ご自由に食べてもよいですよ。わたしの実を食べると、みんな幸せだと言います。でも全部持っていってはいけません。動物たちのぶんもちゃんと残して欲しいのです。幸福は誰か一人のためのものではなく、みんなのものなのです。最近、知らない人がよくここへ来て、たくさん実を持っていってしまい、他の動物の分がなくなってしまうのです。その人は私のことをたんまりお金を宿すお金の木だと言っていましたが、わたしにはよくわかりません」
おじいさんは困った顔をしながら言いました。
「最近街で大人気のジャムがあってね。そいつはいちやく大金持ちになったんだ。わしなんかにゃ、高くて買えないがね。そうか、あいつめ、ここから採ってきていたのか。なに、わしは少しパンに挟んで食べようとおもっただけだよ」
「それならどうぞ」と大きな木は言いました。
おじいさんは、いつつほど実を採ってパンに挟んで食べました。
「ふむ。甘くて優しい味だの。お前さんのことはよくわかった」
おじいさんはサンドイッチを食べ終わると大きな木に「ひとつ聞いていいかね?」と言いました。
「わたしに答えられることならなんでも答えますよ。優しいおじいさん」
と大きな木が言うと、おじいさんは聞きました。
「お前さんはどうしてこんなにボロボロになっても、一生懸命尽くすのかね。お前さんはたくさんのものをあえて抱えようとしている」
すると大きな木は答えました。
「わたしにはやらなければいけないことがあります。嵐の日に折れた大きな枝の下敷きになり。少女を殺してしまったのです。少女の体は土に返り、わたしが吸い取ったのです。少女の魂は私の中でいつまでも生きています。わたしは奪った命の分以上に、命を育てなければいけないのです。わたしは奪った幸福の分以上に、幸福を育てなければいけないのです。たとえ傷ついても、わたしは幸せを守らなければいけないのです」
「ふむ」と言いながら、おじいさんは言いました。
「しかしお前さん。幸福とは何かを知っているのかね?」
大きな木は答えました。
「根を張ることです。だから私は生きていられる。だから私の中にはたくさんの魂が宿っているのです。おじいさんの幸福は何ですか?」
おじいさんは何も言わずににっこりとしながら、大きな幹をさすりました。
「あの少女の魂がちゃんと生きているということがわかっただけでも、わしは充分幸せだよ」
おじいさんはふところから古ぼけた写真を取り出しました。
そして嬉しそうに少女と若い頃のおじいさんが写っている写真を眺めていました。
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