えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

文字の大きさ
14 / 821
1章 黄巾の乱

決して引かぬ張宝の本気

しおりを挟む
 劉備軍と張宝軍が対峙する。
 波才「張宝様、汝南で邪魔をしてきた義勇兵です」
 張宝「フフフ。リベンジの機会を下さるとは。我が妖術にて惑うが良い」
 張宝が天に祈ると竜巻が発生する。
 義勇兵「何だよこれ。うわぁー」
 数人の義勇兵が竜巻に飲み込まれ無惨な姿になる。
 劉備「クソっ厄介な妖術か」
 張飛「これじゃあ近づけねぇぞ」
 関羽「術師を何とかするのだ」
 慌てふためく劉備軍。間髪入れずに次の妖術が劉備軍をさらなる混乱に陥れる。
 張宝「次はこれです」
 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴと音が鳴り水が凄い勢いで流れてくる。
 義勇兵「うわぁー水だどこからこんな水が。ハフッハフッゴボボボボ」
 激流に呑まれて、半数の義勇兵に損害が出た。
 義賢「兄上、これ以上失えば、とても継戦できません」
 劉備「丁、わかっている。しかし、どうすれば?」
 義賢「一か八かこの位置から張宝に弓を射る他ありません」 
 幸い、前回の足の傷が効いているのか張宝は2人の将に支えられながら術を唱えているようだ。まぁ竜巻に激流ときたら次は大火事なんて事もある。どうやら天候を自由自在に操って術を使っているようだ。霧が出たら幻惑からの同士討ちの危険性もある。張宝殿には悪いがここで退場してもらうことにしよう。そう考え作戦を伝えようとするが頭を抱えてうずくまる。
 義賢「兄上、作戦ですが。うっ」
『ここで張宝を討つことが最悪の未来につながります。討ち取ってはなりません。龔都を使い何儀・黄邵・何曼・劉辟を寝返らせ。張宝と張梁を張角の籠る祭壇部屋に撤退させるのです。できなければわかっていますね。命を持って償っていただきます』
 おいおい嘘だろ。張宝を討たずにどうしろってんだよ?あの厄介な妖術を止めようにも今回の張宝は頭しか見えてねぇんだよ。ヘッドショットの討ち死に狙いしかねぇのにそれしたら詰みってそんなのねぇよ。脇を抱えている2人の将は見えてすらねぇしよ。それに寝返らせる4人がどこにいるかなんてわかんねぇよ。何か方法は無いのか?まさか龔都が絡んでいるのか?この可能性には思い至らなかった。だが薄い可能性でも手繰り寄せなければならない。
 劉備「丁、大丈夫か?」
 義賢「兄上、心配をおかけしました。悩みすぎて頭が痛くなってしまったようです」
 張飛「おいおい。しっかりしてくれよ。アンタは大兄者の知恵袋だろうが」
 関羽「うむ。頼りにしておるぞ」
 義賢「張宝を討ち取るのは簡単です」
 劉備「それなら、何が問題なんだ」
 義賢「龔都、お前隠していることあるだろ?」
 龔都「!?。何のことでやすか」
 義賢「張宝の狙いは何だ?どうしてここまで頑なに抵抗する。民を思って立ち上がったのではないのか」
 龔都「!?。ここまででやすかね。話やす。張角様が病気なんでやす。それから黄巾党はおかしくなって行きやした。族が蔓延り、その族が朝廷の民は太平道に仇名すものだとして暴行を加えやす。頭を抱えた張宝様は、病で先のない張角様のそばで張梁様と太平道を始めた始まりの地である広宗で討ち死にしようとしているんでやす。俺はそれを防ぐために劉備軍に投降したんでやす」
 義賢「張角を救えるとしたらどうする?」
 龔都「そんなことができるんでやすか?」
 義賢「どんな病気も治せる仙人の記した書物があるそうだな」
 龔都「何故そのことをしってるでやすか?」
 義賢「太平道とは医学によって民を救う教典だよな」
 龔都「その通りでやす」
 義賢「何でも治せる秘書太平清領書がどこにあるかを知っているとしたらどうする?」
 龔都「知っているのでやすか?それなら張宝様も撤退してくれるかもしれやせん」
 義賢「龔都、俺を張宝の元に連れて行ってもらえるか?」
 龔都「へい。構いやせんが命の保証はできかねやす」
 義賢「構わない。この黄巾の乱に決着をつけられるならな。我が命を賭けよう」
 カッコつけては見たものの中身は高校生だよ。脚がガクブルだよ~。
 劉備「あまりにも驚きすぎて聞いてるだけしかできなかったが。つまりこういうことか丁は張角たちを救いたい」
 義賢「えぇ、民を癒せる張角は貴重な存在です。ここで殺すには惜しいほどに。なら死んだと見せかけて姿をくらませて貰えれば今後助けになるかと」
 劉備「ハハハ。黄巾軍の首領ですら利用するか。全く面白い弟だ。だが危険を犯すことを兄である私が許せると思うか。残念ながら拒否だ」
 張飛「それに張角がそうでなくてもこの乱の首謀者なんだぜ。無理ってもんだろうよ」
 関羽「兄者や翼徳の言う通りよ」
 義賢「兄上方、この選択が兄上の未来を左右しそうな気がするのです。お願いします。俺に張宝を説得する機会をどうか」
 龔都「劉備様、俺からもおねげぇしやす。張角様を救えるなら劉備様にも損はさせやせん」
 劉備「どうしても行くと言うのなら憲和。丁のことを頼めるか?」
 簡雍「えっ俺ですかい?」
 劉備「舌がたつお前ならば何があっても張宝を丸めこめると信頼しているからな」
 簡雍「その信頼はありがたいですがねぇ」
 義賢「兄上、供は龔都だけで行きます。他に誰かいれば余計な警戒を与えるだけです」
 劉備「誰に似たのか知らぬが頑固だな丁は。わかったそこまで言うのなら一つだけ約束してくれ。必ず帰ってくると」
 義賢「勿論です兄上」
 言ってみたは良いがお告げが正しいならミスしたら死ぬんだよなぁ間違いなく。トホホ。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

処理中です...