えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

文字の大きさ
233 / 821
4章 三国鼎立

話し込む2人

しおりを挟む
 三度、臥竜崗にある諸葛亮の庵を訪ねようやく会うことのできた劉備は諸葛亮の部屋へと通される。そこには、鼻から下を布のようなもので隠した女性が居た。
 諸葛亮「月英、こちらは私の客人で名を劉玄徳と申す御方だ」
 黄月英「まぁ、人徳名高き御方ですね。私は、諸葛亮の妻で黄月英と申します。街に買い物に降りるたびに御噂を聞いておりました」
 劉備「これは御丁寧に、ありがとうございます」
 黄月英「まぁ、初めての殿方は、この布についてお聞きになるのにお聞きになられませんのね」
 劉備「ハハハ。顔を隠していることが無礼に当たるということはありませんよ。それに何か深い理由があるから隠しているのでしょう。それを他人がとやかく言うことは違うのではありませんかな」
 黄月英「お聞きしていた通りの方のようで安心致しました。理由という程の深い意味は特にありませんよ。強いて言うなら」
 諸葛亮「その程度にしておきなさい月英」
 黄月英「このように私が他の殿方とお話しすると孔明様が嫉妬するのです」
 劉備「ハハハ。そうでしたか。黄月英殿は諸葛亮先生に大事にされているのですな」
 諸葛亮「黄月英、挨拶はもう良いでしょう。これから劉備殿とお話しするので、少し外していてください。それに劉備殿も田舎で畑を耕す世捨て人に先生などと」
 黄月英「フフフ。これ以上、孔明様を嫉妬に狂わさないためにも少し外していますね。ゆっくりして行ってください劉玄徳様」
 劉備「御心遣い、感謝致します」
 諸葛亮「全く、月英にも困ったものです。私が嫉妬に狂うなどあり得ないことです。断じて」
 劉備「ハハハ。あれ程素敵な女性だ。良い娘を妻に迎え入れましたな」
 諸葛亮「えぇ、片想いがようやく実りました。だいぶ、策を弄しましたが」
 劉備「なんと!その話も大変興味がありますな」
 諸葛亮「今から話しましょうか?」
 劉備「いや、今回は遠慮しておきます。それよりも諸葛亮先生に聞いてもらいたいことがあるのです」
 諸葛亮「だから先生はおやめくださいと。まぁ、もう良いでしょう。好きな呼び方で結構ですよ。それにしても、劉備殿が悩んでいるのは、献帝を保護し華北を手中に収めようとしている曹操への対応策についてでしょうか?」
 劉備「!?まさにその通り、我々は曹操と幾度となく戦いその力をまじまじと見せられている。徐州を守りきれたのもひとえに臣下たちの奮戦のお陰だ。我々をここまで導き、私を支えてくれる我が優秀な弟、丁。軍事面だけでなく内政面でも私を支えてくれる荀彧。それにこんな私を義兄として慕ってくれている我が義弟の雲長と翼徳。それに頼れる臣下や子供達。次代も育ちつつある。だが、欲を言えば次代には戦争のない世に生きてもらいたいのだ。そのためには曹操と決着を付け、献帝様を保護しなければならない」
 諸葛亮「正直、私も劉備殿の快進撃には驚いています。当初、貴方の将星の輝きは非常に薄かった。徐州を失い荊州に逃れてくるものと考えていました」
 劉備「当の本人である。私も不思議に感じている」
 諸葛亮「差し支えなければ、貴方の弟君である劉丁殿について、お聞きしても構いませんか?」
 劉備「あぁ。今思えば、私の運命が変わりつつあるのを感じたのも確か丁が司馬徽先生の元から帰ってきてからだったな」
 諸葛亮「ふむふむ(私が産まれたばかりの頃に見た落ちた将星が劉備殿の将星の隣で強い輝きを放った頃ですね)」
 劉備「そこから、華北では、劉虞殿と誼を結び。黄巾の乱の折には、黄巾賊に襲われている陶謙殿を救ったことで、誼を通じ、反董卓連合では、呂布殿と誼を通じることができた。曹操の父を陶謙殿の臣下のものが殺したということで徐州に侵攻してきた際は陶謙殿をお救いし、徐州牧に就任。袁術が偽帝を僭称したので、献帝様の詔を受けこれを討伐。蘆江と寿春を得て。曹操が華北へと侵攻したのを受け、荀彧と丁の提案を受け、荊州へと侵攻。同族である劉表殿を攻めるのは忍びなかったのだが最後には和解することができ、この荊州を託してくださった」
 諸葛亮「そのどれもに劉丁殿の尽力があったと?」
 劉備「あぁ、今思えば丁のお陰でここまで拡大できたようなものだな。何度も意識を失うのは、兄としては心配の種だが」
 諸葛亮「何度も意識を失う?」
 劉備「本人はその度に貧血や疲れが溜まったことによる過労だと言い切るので、医者には見せていないが」
 諸葛亮「成程(突然の意識の消失?あり得ない可能性ですが何度も死地を経験している?その度に最善手を導き出しているとしたら。成程、通りで16年程前でしょうか?見たこともない兄弟子の将星が再び現れたのは。その時に私は確信したのです。劉備殿の弟である劉丁殿は、私が司馬徽先生から聞いた翼虎には値しないと。成程成程、やり直せるのなら今までのことも納得がいく。あくまで可能性の話で本当にそんなことができるのかは眉唾物ですが)」
 劉備「それにしても諸葛亮先生はどうして丁のことを聞きたがったのですか?」
 諸葛亮「いえ、見たこともない兄弟子のことに少し興味があっただけです」
 劉備「そうでしたか」
 諸葛亮「えぇ。では、このような田舎者の私に3度も礼節を尽くしてくださった劉備殿に一つ助言させていただきましょう。こちらへどうぞ」
 諸葛亮に促されて案内された部屋には、この国の地図があり、事細かに色分けされていたのだった。諸葛亮の助言とはなんなのだろうか。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...