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5章 天下統一
クーデター失敗後の曹植
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これは、曹丕に対して曹植が跡目争いを起こしてすぐ後の話である。
曹丕「曹植、哀れなものだな詩だけ作っていれば良いものを俺を差し置いて、上に立とうなどと考えるからこうなるのだ」
曹植「やっぱり兄上には敵いませんでしたか。金輪際、逆らいません。兄上がまだ必要としてくださるのならその文才でお力をお貸しします」
曹丕「それは、殊勝な心掛けだな。その言葉に免じて、命だけは取らないでおいてやる。自由は奪うがな」
曹植「寛大な御心に感謝致します」
自由を奪うだけなどと曹丕は言うが実情は2度と誰も曹植を担がせられないようにするための監禁生活である。
曹丕が曹植との跡目争いに勝利して間も無く、曹丕は曹操を隠居し許昌の邸宅へと押し込め、実権を握る。
曹操と違いあくまで献帝を仮の王とするのではなく、自らが王となり国を動かすためである。
そうして建国されたのが魏国であった。
そうして移ろいゆく年を曹植は監禁されている部屋で過ごしていた。
日がな一日、書物をまとめ、詩を書き、与えられた食事を口にして眠る毎日。
曹植は、反乱を起こす前、妻と子供達を巻き込まないように離縁し、関係を断っていた。
曹植が甄姫に恋焦がれていたのは、ずっと前のこと。
叶わぬ恋だからこそ心だけでは想っていたかった。
恋焦がれた相手だからこそ、その人の幸せを願わずにはいられなかった。
曹植とは、そういうロマンチストで熱い男なのである。
そんな曹植の妻は、曹操が華北を統一した際に迎え入れられた崔琰の兄、崔覇の娘である崔華美と言い、曹操が華美な衣装を禁じていた頃に禁に反する衣装を着ていたところを見つかって、自害を命じられたのだが曹植が己の命も差し出すと言って、その命を救った。
そんな崔華美だからこそ、曹植に例え他に好きな相手が居ようとも献身的に支えていた。
曹植の気持ちがとうの昔に崔華美に向いていることなど知らずに。
曹植とは、好きでもない相手と子供を作るようなそんなクソ野郎ではない。
曹丕のように飽きたからとポイポイ女を捨てるクズではないのだ。
責任感の強い、そういう男だからこそ己のエゴに愛する家族を巻き込みたくなかった。
そのための離縁だった。
なのに。
曹植「どうして、私に面会しに来た華美」
崔華美「例え、今は別れていたとしても私は貴方の妻です。それに私の叔父は、曹丕様の側近としてお仕えしています」
曹植「崔琰殿か。勿論、知っている。だから情報が漏れぬようにお前と離縁したのだ。お前は俺のことを夫と思っていても俺はお前のことを妻だと思ったことなど無い。さぁ、帰るが良い」
崔華美「私のことがお嫌いならどうして、貴方様は涙を流されているのです。私のことを想ってくださっているのでは、ありませんか?それとも、曹丕の」
曹植「それは違う!私は己がこの国の王となるために、華北の有力者の支持を集める兄上から奪うつもりで」
崔華美「少し見ない間に嘘が下手になられましたね」
曹植「!?」
崔華美「確かに昔の私なら今の言葉にまた騙されて、この場を後にしていたでしょう。ですが私が今日ここに来たのは、貴方様が助けた初恋の女性からの手紙を届けるためです。郵便屋という巷で流行りの手紙を渡すことを専門とする代行業の人から渡されました」
曹植「郵便屋?手紙を渡す代行業?そんなものまで、できているのか。!?」
曹植は崔華美から渡された手紙を声に出さずに読んだ。
それは、紛れもなく甄姫からの手紙だった。
『親愛なる義弟へ。
先ずは、謝らないといけませんね。
私のせいで曹丕と争う事になってしまい申し訳ありません。
貴方の私への恋慕を利用したのです。
私はあの日のことを良く覚えています。
貴方と初めて会った日、貴方は私に躊躇なく『今、幸せですか』と聞きましたね。
私は心の奥底を見透かされた気がして、なんて聡明な子なんだろうと思いましたよ。
だから貴方が曹丕と仲がよろしくないと聞き、私なんかが貴方を誑かせられるだろうかと。
貴方は、私の心が貴方にないことも全てわかっていた。
そして、私は貴方様を誘惑した日のことも覚えています。
貴方様は、こう言った『義姉さん、身体を大切に』って。
私は本当にその言葉が嬉しかった。
好きでもない相手に好きな人を守るために抱かれ続けた私は、貴方のその言葉に救われた。
曹丕のことは好きでもなんでもないけど曹植、貴方のことは弟としてとても大事に想っています。
だから、貴方にも私が言われた言葉を言うわ。
『今、貴方は幸せですか?』
私は、貴方のお陰で今こうして幸せです。
もうすぐ袁煕との間に3人目が産まれるの。
私の幸せを守ってくれたのは、間違いなく貴方よ。
だから貴方も幸せになって、その手を離さないであげて。
貴方の義姉より』
曹植「うっ。うぅ。良かった。本当に良かった。あれから全く動向すら分からなかった。袁煕殿と無事、会えたのだな。郵便屋とは、なんと良い仕事なのであろう。うっうぅ。華美、私のことを許してくれ」
崔華美「とうの昔に許しています。それに甄姫さんとは、文通仲間なんです。お互いの近況を話し合ったりしてるんですよ。お互い袁家の女性同士、当時から仲が良かったの」
曹植「そうか、お前にとっても安全に手紙を届けてくれる郵便屋は、有難い存在なのだな」
崔華美「えぇ。そうなの。これを作られた陶商、あっ。これは言っちゃダメって、甄姫さんに止められてたんだった。聞かなかった事にしてください」
曹植「あぁ。勿論だよ」
曹植は崔華美を抱き寄せて、額にキスをする。
崔華美「ひゃっ。突然何を」
曹植「今まで苦労と迷惑をかけた分、華美のことを大切にしたいのだ」
崔華美「額は嫌です。するならここに」
崔華美が口に人差し指を当てるのを見て、曹植は、頷くと優しく深いキスをする。
また心を通い合わせたそんな仲睦まじい2人のもとに新たな来客がやってくるのだった。
曹丕「曹植、哀れなものだな詩だけ作っていれば良いものを俺を差し置いて、上に立とうなどと考えるからこうなるのだ」
曹植「やっぱり兄上には敵いませんでしたか。金輪際、逆らいません。兄上がまだ必要としてくださるのならその文才でお力をお貸しします」
曹丕「それは、殊勝な心掛けだな。その言葉に免じて、命だけは取らないでおいてやる。自由は奪うがな」
曹植「寛大な御心に感謝致します」
自由を奪うだけなどと曹丕は言うが実情は2度と誰も曹植を担がせられないようにするための監禁生活である。
曹丕が曹植との跡目争いに勝利して間も無く、曹丕は曹操を隠居し許昌の邸宅へと押し込め、実権を握る。
曹操と違いあくまで献帝を仮の王とするのではなく、自らが王となり国を動かすためである。
そうして建国されたのが魏国であった。
そうして移ろいゆく年を曹植は監禁されている部屋で過ごしていた。
日がな一日、書物をまとめ、詩を書き、与えられた食事を口にして眠る毎日。
曹植は、反乱を起こす前、妻と子供達を巻き込まないように離縁し、関係を断っていた。
曹植が甄姫に恋焦がれていたのは、ずっと前のこと。
叶わぬ恋だからこそ心だけでは想っていたかった。
恋焦がれた相手だからこそ、その人の幸せを願わずにはいられなかった。
曹植とは、そういうロマンチストで熱い男なのである。
そんな曹植の妻は、曹操が華北を統一した際に迎え入れられた崔琰の兄、崔覇の娘である崔華美と言い、曹操が華美な衣装を禁じていた頃に禁に反する衣装を着ていたところを見つかって、自害を命じられたのだが曹植が己の命も差し出すと言って、その命を救った。
そんな崔華美だからこそ、曹植に例え他に好きな相手が居ようとも献身的に支えていた。
曹植の気持ちがとうの昔に崔華美に向いていることなど知らずに。
曹植とは、好きでもない相手と子供を作るようなそんなクソ野郎ではない。
曹丕のように飽きたからとポイポイ女を捨てるクズではないのだ。
責任感の強い、そういう男だからこそ己のエゴに愛する家族を巻き込みたくなかった。
そのための離縁だった。
なのに。
曹植「どうして、私に面会しに来た華美」
崔華美「例え、今は別れていたとしても私は貴方の妻です。それに私の叔父は、曹丕様の側近としてお仕えしています」
曹植「崔琰殿か。勿論、知っている。だから情報が漏れぬようにお前と離縁したのだ。お前は俺のことを夫と思っていても俺はお前のことを妻だと思ったことなど無い。さぁ、帰るが良い」
崔華美「私のことがお嫌いならどうして、貴方様は涙を流されているのです。私のことを想ってくださっているのでは、ありませんか?それとも、曹丕の」
曹植「それは違う!私は己がこの国の王となるために、華北の有力者の支持を集める兄上から奪うつもりで」
崔華美「少し見ない間に嘘が下手になられましたね」
曹植「!?」
崔華美「確かに昔の私なら今の言葉にまた騙されて、この場を後にしていたでしょう。ですが私が今日ここに来たのは、貴方様が助けた初恋の女性からの手紙を届けるためです。郵便屋という巷で流行りの手紙を渡すことを専門とする代行業の人から渡されました」
曹植「郵便屋?手紙を渡す代行業?そんなものまで、できているのか。!?」
曹植は崔華美から渡された手紙を声に出さずに読んだ。
それは、紛れもなく甄姫からの手紙だった。
『親愛なる義弟へ。
先ずは、謝らないといけませんね。
私のせいで曹丕と争う事になってしまい申し訳ありません。
貴方の私への恋慕を利用したのです。
私はあの日のことを良く覚えています。
貴方と初めて会った日、貴方は私に躊躇なく『今、幸せですか』と聞きましたね。
私は心の奥底を見透かされた気がして、なんて聡明な子なんだろうと思いましたよ。
だから貴方が曹丕と仲がよろしくないと聞き、私なんかが貴方を誑かせられるだろうかと。
貴方は、私の心が貴方にないことも全てわかっていた。
そして、私は貴方様を誘惑した日のことも覚えています。
貴方様は、こう言った『義姉さん、身体を大切に』って。
私は本当にその言葉が嬉しかった。
好きでもない相手に好きな人を守るために抱かれ続けた私は、貴方のその言葉に救われた。
曹丕のことは好きでもなんでもないけど曹植、貴方のことは弟としてとても大事に想っています。
だから、貴方にも私が言われた言葉を言うわ。
『今、貴方は幸せですか?』
私は、貴方のお陰で今こうして幸せです。
もうすぐ袁煕との間に3人目が産まれるの。
私の幸せを守ってくれたのは、間違いなく貴方よ。
だから貴方も幸せになって、その手を離さないであげて。
貴方の義姉より』
曹植「うっ。うぅ。良かった。本当に良かった。あれから全く動向すら分からなかった。袁煕殿と無事、会えたのだな。郵便屋とは、なんと良い仕事なのであろう。うっうぅ。華美、私のことを許してくれ」
崔華美「とうの昔に許しています。それに甄姫さんとは、文通仲間なんです。お互いの近況を話し合ったりしてるんですよ。お互い袁家の女性同士、当時から仲が良かったの」
曹植「そうか、お前にとっても安全に手紙を届けてくれる郵便屋は、有難い存在なのだな」
崔華美「えぇ。そうなの。これを作られた陶商、あっ。これは言っちゃダメって、甄姫さんに止められてたんだった。聞かなかった事にしてください」
曹植「あぁ。勿論だよ」
曹植は崔華美を抱き寄せて、額にキスをする。
崔華美「ひゃっ。突然何を」
曹植「今まで苦労と迷惑をかけた分、華美のことを大切にしたいのだ」
崔華美「額は嫌です。するならここに」
崔華美が口に人差し指を当てるのを見て、曹植は、頷くと優しく深いキスをする。
また心を通い合わせたそんな仲睦まじい2人のもとに新たな来客がやってくるのだった。
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