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5章 天下統一
劉義賢の次なる手
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司馬昭と王元姫の婚姻を取り付けた後、劉義賢は、一息つく。
義賢「ふぅ。これで歴史は本筋に戻るだろう。この世界が一種のパラレルワールドなのか。はたまた三国志という世界を模した異世界なのか。どうして、この世界に魂が飛ばされたのか。わからないことは、多々あるが。一つ言えるのは、この世界は秦の始皇帝が不老不死を求め呪術に手を出した世界ということだろう」
だいだら『鋭い考察だな』
義賢「いきなり話しかけてくるなよ。びっくりするだろ」
だいだら『それはすまなかった。だが、お前の推察は当たらずも遠からず。この世界にお前が呼ばれたのも。劉玄徳の知られざる弟と名前が似ていただけのこと』
義賢「知られざる弟?」
だいだら『劉玄徳にも多くの親族が居たということだ。その中で、名が知られているのは劉亮と従兄弟の劉展、族兄弟の劉元起といったところか』
義賢「聞いたことのない名前ばかりだな」
だいだら『陳寿の書いた三国志には登場せず本来の正史である元本にだけ残る名であるからな。少なからず劉玄徳にも後ろ盾の存在はあったわけだ。まぁ、曹操みたいに優秀な弟や従兄弟ではなかったゆえ皆、討ち死にしたが』
義賢「何で、他国の国のことについて詳しいんだよ!」
だいだら『我らは、日出る国を守る国神であるぞ。よその国の歴史も学んでこそ』
義賢「な、成程」
だいだら『しかし、声に出して話してて良いのか?お前の娘とやらが怪訝そうな目でこちらを見ているが』
牝愛「パパ、誰とお話ししてるの?妖精さん?妖精さんが見えるの?」
義賢「いや、これは。そうだ。独り言だ。ただの」
牝愛「ふーん。パパ。パパ。抱っこして」
義賢「10歳にもなって随分と甘えん坊さんな姫だ」
牝愛「パパ。もう倒れたりしない?」
義賢「ん?あ、あぁ。風邪はもうすっかり良くなった。大事ない」
牝愛「本当!良かった」
最近、牝愛は董白にますます似てきた。
言葉遣いまで、そのうちツンデレになったりしてな。
そうなったら董白Jr.の誕生か。
いや女性の場合はJr.とは言わないんだったか。
そういや、Jr.の女性版って聞いたことないな。
女性でも家系を継ぐ人もいるのだからJr.の女性版があっても良いと思うのだが。
まぁ、良いか。
董白「何、牝愛を抱っこしてニヤけてんのよ。ハァ。アンタがそういう趣味だったなんて」
義賢「成程。成程。私も構って欲しいのに牝愛ばっかりずるいって?」
董白「はっ!?アンタ、バカ!?そんなこと言ってないでしょ!」
義賢「ほんとわかりやすくて可愛いなぁ董白は。もう40過ぎか。歳月が過ぎるのは早いものだ」
董白「人の歳、暴露してくれてどうも。そういうアンタは50代のジジイでしょうが」
義賢「80を超えても盛んな爺さんもいるしな」
董白「黄忠将軍、また子供ができたんですってね?」
義賢「あぁ。高齢出産だから難儀したそうだが無事に産まれて、良かった」
董白「ふーん」
義賢「ハァ。全く、董白は素直じゃないな。俺だって、お前との間の子なら何人だって欲しいさ。今夜、どうだ?」
董白「そ、そこまで言うなら処理してあげても良いわよ。あ、あくまで処理だから!か、勘違いしないでよね!」
顔を真っ赤にして、その場を後にする董白は本当に幾つになっても可愛い。
もう56になるか。
この時代に魂が飛んで、40年以上経つのか。
月日の流れは早いものだな。
未だに言葉遣いがジジ語にならないのは、俺の魂が18のままだからか。
いつまでもこの時代で、愛しい妻と我が子を眺めていたい。
しかし、これは常世の夢。
いつかは醒めなければならない、IFの世界。
だが、ここにいる間は、精一杯こんな俺を支えてくれる妻と幾つになっても抱っこをせがむ娘のため精一杯生きよう。
だいだら『お主がそういう心の綺麗な男だから山神である我も器として選べたのであろう。安心せよ。我は約束を違えぬ。お主を必ず無事に元の世界に戻してやろう。あの狐とは違うゆえな』
狐?
あぁ、日出る国で狐と言えば稲荷神のことだよな。
そうかそうか稲荷神?
ん?
ということは、俺をこの世界に呼んだのは稲荷神なの!?
いやいやいや、稲荷神と三国志に何の関わりが?
わからん。
わからんくて、頭がパニック、パニックだ。
こういう時は、全て他所に掘り投げるのが1番良い。
そうだ。
こういう時は、次の手を考えよう。
さて、悪鬼とやらの正体が秦の始皇帝だとして、どうやって誘き寄せるのが良いか。
今まで、巧妙に裏から手を回し、尻尾すら掴ませなかった影の人だ。
ん?
今までの呪術の発生から見えてくるものは、あるんじゃないか?
戦乱を大きくしたい?
まさか!?
そうか。
そういうことか。
読めたぞ。
秦の始皇帝、お前の狙いが!
と某アニメのキャラのように簡単に推理なんてできるはずもない。
俺は死ぬことを繰り返して、最善手を選んできた人間だ。
要は、良い目が出るまでリセットを繰り返してただけの平凡な男なのだ。
相手の出方がわからない以上、まずはこの国の統一に向けて、準備を進めるのが良いだろう。
義賢「士仁、兄上に最前線となり得る青州への赴任を申し出る。供をせよ」
士仁「はっ」
こうして、俺は兄上に青州への赴任を願い出るべく、現在兄上が本拠としている許昌へと足を運ぶのであった。
義賢「ふぅ。これで歴史は本筋に戻るだろう。この世界が一種のパラレルワールドなのか。はたまた三国志という世界を模した異世界なのか。どうして、この世界に魂が飛ばされたのか。わからないことは、多々あるが。一つ言えるのは、この世界は秦の始皇帝が不老不死を求め呪術に手を出した世界ということだろう」
だいだら『鋭い考察だな』
義賢「いきなり話しかけてくるなよ。びっくりするだろ」
だいだら『それはすまなかった。だが、お前の推察は当たらずも遠からず。この世界にお前が呼ばれたのも。劉玄徳の知られざる弟と名前が似ていただけのこと』
義賢「知られざる弟?」
だいだら『劉玄徳にも多くの親族が居たということだ。その中で、名が知られているのは劉亮と従兄弟の劉展、族兄弟の劉元起といったところか』
義賢「聞いたことのない名前ばかりだな」
だいだら『陳寿の書いた三国志には登場せず本来の正史である元本にだけ残る名であるからな。少なからず劉玄徳にも後ろ盾の存在はあったわけだ。まぁ、曹操みたいに優秀な弟や従兄弟ではなかったゆえ皆、討ち死にしたが』
義賢「何で、他国の国のことについて詳しいんだよ!」
だいだら『我らは、日出る国を守る国神であるぞ。よその国の歴史も学んでこそ』
義賢「な、成程」
だいだら『しかし、声に出して話してて良いのか?お前の娘とやらが怪訝そうな目でこちらを見ているが』
牝愛「パパ、誰とお話ししてるの?妖精さん?妖精さんが見えるの?」
義賢「いや、これは。そうだ。独り言だ。ただの」
牝愛「ふーん。パパ。パパ。抱っこして」
義賢「10歳にもなって随分と甘えん坊さんな姫だ」
牝愛「パパ。もう倒れたりしない?」
義賢「ん?あ、あぁ。風邪はもうすっかり良くなった。大事ない」
牝愛「本当!良かった」
最近、牝愛は董白にますます似てきた。
言葉遣いまで、そのうちツンデレになったりしてな。
そうなったら董白Jr.の誕生か。
いや女性の場合はJr.とは言わないんだったか。
そういや、Jr.の女性版って聞いたことないな。
女性でも家系を継ぐ人もいるのだからJr.の女性版があっても良いと思うのだが。
まぁ、良いか。
董白「何、牝愛を抱っこしてニヤけてんのよ。ハァ。アンタがそういう趣味だったなんて」
義賢「成程。成程。私も構って欲しいのに牝愛ばっかりずるいって?」
董白「はっ!?アンタ、バカ!?そんなこと言ってないでしょ!」
義賢「ほんとわかりやすくて可愛いなぁ董白は。もう40過ぎか。歳月が過ぎるのは早いものだ」
董白「人の歳、暴露してくれてどうも。そういうアンタは50代のジジイでしょうが」
義賢「80を超えても盛んな爺さんもいるしな」
董白「黄忠将軍、また子供ができたんですってね?」
義賢「あぁ。高齢出産だから難儀したそうだが無事に産まれて、良かった」
董白「ふーん」
義賢「ハァ。全く、董白は素直じゃないな。俺だって、お前との間の子なら何人だって欲しいさ。今夜、どうだ?」
董白「そ、そこまで言うなら処理してあげても良いわよ。あ、あくまで処理だから!か、勘違いしないでよね!」
顔を真っ赤にして、その場を後にする董白は本当に幾つになっても可愛い。
もう56になるか。
この時代に魂が飛んで、40年以上経つのか。
月日の流れは早いものだな。
未だに言葉遣いがジジ語にならないのは、俺の魂が18のままだからか。
いつまでもこの時代で、愛しい妻と我が子を眺めていたい。
しかし、これは常世の夢。
いつかは醒めなければならない、IFの世界。
だが、ここにいる間は、精一杯こんな俺を支えてくれる妻と幾つになっても抱っこをせがむ娘のため精一杯生きよう。
だいだら『お主がそういう心の綺麗な男だから山神である我も器として選べたのであろう。安心せよ。我は約束を違えぬ。お主を必ず無事に元の世界に戻してやろう。あの狐とは違うゆえな』
狐?
あぁ、日出る国で狐と言えば稲荷神のことだよな。
そうかそうか稲荷神?
ん?
ということは、俺をこの世界に呼んだのは稲荷神なの!?
いやいやいや、稲荷神と三国志に何の関わりが?
わからん。
わからんくて、頭がパニック、パニックだ。
こういう時は、全て他所に掘り投げるのが1番良い。
そうだ。
こういう時は、次の手を考えよう。
さて、悪鬼とやらの正体が秦の始皇帝だとして、どうやって誘き寄せるのが良いか。
今まで、巧妙に裏から手を回し、尻尾すら掴ませなかった影の人だ。
ん?
今までの呪術の発生から見えてくるものは、あるんじゃないか?
戦乱を大きくしたい?
まさか!?
そうか。
そういうことか。
読めたぞ。
秦の始皇帝、お前の狙いが!
と某アニメのキャラのように簡単に推理なんてできるはずもない。
俺は死ぬことを繰り返して、最善手を選んできた人間だ。
要は、良い目が出るまでリセットを繰り返してただけの平凡な男なのだ。
相手の出方がわからない以上、まずはこの国の統一に向けて、準備を進めるのが良いだろう。
義賢「士仁、兄上に最前線となり得る青州への赴任を申し出る。供をせよ」
士仁「はっ」
こうして、俺は兄上に青州への赴任を願い出るべく、現在兄上が本拠としている許昌へと足を運ぶのであった。
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