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5章 天下統一
司馬昭と王元姫
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話は再び現在の時間軸へ。
俺の身体に日出る国にて山を使った神と称されるだいだらが宿り、体調が回復して、すぐのことである。
亡命を乞う手紙を送った司馬昭がやってきた。
その側には、他に2人の存在があった。
1人は、ロング髪を後ろ手に束ねる黒髪の綺麗な女性。
今風に言うとポニーテールというやつだ。
そしてもう1人は、右目に眼帯のようなものを付けている青年だ。
といってもこの時代におしゃれな眼帯など無い。
誰かのお手製だろうか?
布を綺麗に切り抜いて作られたそれには、職人の技が見て取れた。
彼のために特注で作ったのだろう。
だが片目を覆うということは、なんらかの要因で片目が無い場合だ。
かの有名な伊達政宗公は、忠臣の片倉小十郎に片方の目を抉り取ってもらい、怖がらせないためなのか理由はその人でなければわからないがそれを隠すために布のようなもので目を隠していたと伝わる。
同様にこの青年もそうなのだろう。
何らかの理由で片目を欠損していて、それを隠すために特注の眼帯のようなもので目を覆っていると。
???「そのような普通の顔は、初めてだ」
ポツリと青年がそう呟く。
義賢「確かにそれを見れば好奇か怪訝かの二択だろう。だが、人にはそれぞれ理由がある。コミュニケーションが苦手なものも居れば、ディスカッションが得意なものもいる」
???「成程」
成程?
コミュニケーションにディスカッションの意味がわかっているような反応をされるとは、どういうことだ?
いや、驚いてはならない。
ポーカーフェイスで行こう。
義賢「改めまして、蜀漢の政務を担当しております劉玄徳が弟の劉義賢です。蜀漢へようこそお越しくださいました司馬昭殿」
司馬昭「そんな形式張らないでくださいって。頭を下げるのはこちらの方なんすから。亡命を受け入れてくださり感謝します」
成程、飄々とした言葉の中にきちんとした信念を感じる。
流石は、司馬の礎を築いて、息子に後を託した男だな。
義賢「亡命?何のことでしょう?蜀漢にそういうものはありませんよ。我らが兄は、誰であろうと受け入れます。それがこの国の真の王たる霊帝様の御意志であり、霊帝様の言葉の代弁者たる兄上の意思ですから」
???「フッ。上手いことやりましたな」
司馬昭「兄上!?」
兄上か。
成程、この眼帯の青年が司馬昭の兄の司馬師か。
なら、少し言葉遊びでもしてやろうか。
義賢「分かりますか?」
司馬師「否定しないとは」
義賢「そこに利用できる権力があったから利用したまでのこと。それは魏も同じでは?献帝様を利用し、各国を排除しようと動いていたのですから」
司馬師「ぐっ」
義賢「というのは意地悪が過ぎましたね。でも、最初にこちらを挑発するから悪いんですよ司馬師殿」
司馬師「!?名乗っていないがどうして俺の名前がわかった」
義賢「司馬昭殿の兄と言えば司馬師殿かと。ただの推測です」
司馬師「昭は、まだまだ脇が甘いな」
司馬昭「いやぁ。劉丁殿の言う通り、兄上が挑発するからなのでは?」
???「2人ともおやめなさい」
キャピキャピ系とかサバサバ系とかじゃ無く知性を感じさせる声だ。
成程、まぁ予測だが司馬懿の妻で2人の母である張春華では無いだろうか。
だとすると2人の子が成人しているにも関わらずこの容姿は、夫がいる身で罪深きか。
義賢「張春華殿、別に構いませんよ」
張春華「!?私、名乗りましたかしら?」
義賢「いいえ。叱り方がまるで母親でしたので、司馬師殿と司馬昭殿の母親といえば、張春華殿かと」
張春華「これは、あの人がこっぴどくやられたのも納得かしら。うちの人と停戦を結んでおきながら曹操殿をけしかける強かな男の顔を拝みにきたのだけど」
義賢「はて。何のことでしょう?許昌を奪う過程で曹操殿が襲われていたので、やむを得ず助けたという報告は奉先から受けていましたが」
張春華「まぁ、お認めにはならないわよね。良いでしょう。そもそも、今は敵でもありませんし。息子ともどもお世話になる身ですから」
義賢「勿論、監視は付けさせてもらいますよ。こちらもいきなり敵対していた司馬懿の息子の亡命を認めるなど体裁がありますので。士仁、例のものを」
士仁「はっ。今、連れて参ります」
司馬昭「いやいやいや。まさか、臣下の誰かの御息女と結婚なんてことは無いですよね?」
義賢「察しが良くて助かる」
司馬昭「えっ、マジ!?兄上、頑張ってください」
司馬師「昭、お前と言う奴は」
しかし、連れて来られた女性を見て、司馬昭の態度が激変する。
王元姫「お呼びでしょうか劉丁様」
義賢「うむ。こちら」
司馬昭「君と結婚する司馬昭だ。宜しく」
司馬師「昭、お前と言う奴は」
張春華「まぁ、良いんじゃなくて」
王元姫「これは、一体どういうことでしょうか?」
困惑する王元姫に耳元で囁く。
義賢「奉先から話は聞いている。監視などという名目だが好いた相手と結婚させてやりたいという俺の心配りだ。後は、お前次第だ」
王元姫「成程。わかりました。では、お断りさせていただきます!」
義賢「へっ?」
王元姫の言葉に1番驚いたのは俺だった。
王元姫「これが政略結婚で嫁げと言われる方がまだマシです。それを義賢先生は、反省してください」
何で、俺が怒られる?
何か間違ったか?
王元姫「結婚相手は自分で選びたいので、よく知りもしない男との婚姻などお断りです」
義賢「成程、では命令だ蜀漢のために嫁げ!」
王元姫「そう言われては仕方ありません。この方に嫁げば宜しいのですね?」
義賢「うむ」
司馬昭「いやいやいや。それはダメですって。俺も彼女とは政略結婚じゃなくて恋愛結婚を。あぁ、もう。こういうのは、俺のがらじゃないっての。一目会った時から好きです。結婚を前提にお付き合いください」
王元姫「はい」
司馬昭「へっ?」
王元姫「何、面食らった顔してるんですか子上殿?」
義賢「これは一応、婚約ということで良いのであろうか?」
王元姫「えぇ。その時が来たら義賢先生には仲人をお願いするので、お願いしますね」
義賢「あ、あぁ」
何というか女性というのは、いつも俺の想像の斜め上を行くんだな。
まぁ、取り敢えず、2人のこれからに幸あれ。
俺の身体に日出る国にて山を使った神と称されるだいだらが宿り、体調が回復して、すぐのことである。
亡命を乞う手紙を送った司馬昭がやってきた。
その側には、他に2人の存在があった。
1人は、ロング髪を後ろ手に束ねる黒髪の綺麗な女性。
今風に言うとポニーテールというやつだ。
そしてもう1人は、右目に眼帯のようなものを付けている青年だ。
といってもこの時代におしゃれな眼帯など無い。
誰かのお手製だろうか?
布を綺麗に切り抜いて作られたそれには、職人の技が見て取れた。
彼のために特注で作ったのだろう。
だが片目を覆うということは、なんらかの要因で片目が無い場合だ。
かの有名な伊達政宗公は、忠臣の片倉小十郎に片方の目を抉り取ってもらい、怖がらせないためなのか理由はその人でなければわからないがそれを隠すために布のようなもので目を隠していたと伝わる。
同様にこの青年もそうなのだろう。
何らかの理由で片目を欠損していて、それを隠すために特注の眼帯のようなもので目を覆っていると。
???「そのような普通の顔は、初めてだ」
ポツリと青年がそう呟く。
義賢「確かにそれを見れば好奇か怪訝かの二択だろう。だが、人にはそれぞれ理由がある。コミュニケーションが苦手なものも居れば、ディスカッションが得意なものもいる」
???「成程」
成程?
コミュニケーションにディスカッションの意味がわかっているような反応をされるとは、どういうことだ?
いや、驚いてはならない。
ポーカーフェイスで行こう。
義賢「改めまして、蜀漢の政務を担当しております劉玄徳が弟の劉義賢です。蜀漢へようこそお越しくださいました司馬昭殿」
司馬昭「そんな形式張らないでくださいって。頭を下げるのはこちらの方なんすから。亡命を受け入れてくださり感謝します」
成程、飄々とした言葉の中にきちんとした信念を感じる。
流石は、司馬の礎を築いて、息子に後を託した男だな。
義賢「亡命?何のことでしょう?蜀漢にそういうものはありませんよ。我らが兄は、誰であろうと受け入れます。それがこの国の真の王たる霊帝様の御意志であり、霊帝様の言葉の代弁者たる兄上の意思ですから」
???「フッ。上手いことやりましたな」
司馬昭「兄上!?」
兄上か。
成程、この眼帯の青年が司馬昭の兄の司馬師か。
なら、少し言葉遊びでもしてやろうか。
義賢「分かりますか?」
司馬師「否定しないとは」
義賢「そこに利用できる権力があったから利用したまでのこと。それは魏も同じでは?献帝様を利用し、各国を排除しようと動いていたのですから」
司馬師「ぐっ」
義賢「というのは意地悪が過ぎましたね。でも、最初にこちらを挑発するから悪いんですよ司馬師殿」
司馬師「!?名乗っていないがどうして俺の名前がわかった」
義賢「司馬昭殿の兄と言えば司馬師殿かと。ただの推測です」
司馬師「昭は、まだまだ脇が甘いな」
司馬昭「いやぁ。劉丁殿の言う通り、兄上が挑発するからなのでは?」
???「2人ともおやめなさい」
キャピキャピ系とかサバサバ系とかじゃ無く知性を感じさせる声だ。
成程、まぁ予測だが司馬懿の妻で2人の母である張春華では無いだろうか。
だとすると2人の子が成人しているにも関わらずこの容姿は、夫がいる身で罪深きか。
義賢「張春華殿、別に構いませんよ」
張春華「!?私、名乗りましたかしら?」
義賢「いいえ。叱り方がまるで母親でしたので、司馬師殿と司馬昭殿の母親といえば、張春華殿かと」
張春華「これは、あの人がこっぴどくやられたのも納得かしら。うちの人と停戦を結んでおきながら曹操殿をけしかける強かな男の顔を拝みにきたのだけど」
義賢「はて。何のことでしょう?許昌を奪う過程で曹操殿が襲われていたので、やむを得ず助けたという報告は奉先から受けていましたが」
張春華「まぁ、お認めにはならないわよね。良いでしょう。そもそも、今は敵でもありませんし。息子ともどもお世話になる身ですから」
義賢「勿論、監視は付けさせてもらいますよ。こちらもいきなり敵対していた司馬懿の息子の亡命を認めるなど体裁がありますので。士仁、例のものを」
士仁「はっ。今、連れて参ります」
司馬昭「いやいやいや。まさか、臣下の誰かの御息女と結婚なんてことは無いですよね?」
義賢「察しが良くて助かる」
司馬昭「えっ、マジ!?兄上、頑張ってください」
司馬師「昭、お前と言う奴は」
しかし、連れて来られた女性を見て、司馬昭の態度が激変する。
王元姫「お呼びでしょうか劉丁様」
義賢「うむ。こちら」
司馬昭「君と結婚する司馬昭だ。宜しく」
司馬師「昭、お前と言う奴は」
張春華「まぁ、良いんじゃなくて」
王元姫「これは、一体どういうことでしょうか?」
困惑する王元姫に耳元で囁く。
義賢「奉先から話は聞いている。監視などという名目だが好いた相手と結婚させてやりたいという俺の心配りだ。後は、お前次第だ」
王元姫「成程。わかりました。では、お断りさせていただきます!」
義賢「へっ?」
王元姫の言葉に1番驚いたのは俺だった。
王元姫「これが政略結婚で嫁げと言われる方がまだマシです。それを義賢先生は、反省してください」
何で、俺が怒られる?
何か間違ったか?
王元姫「結婚相手は自分で選びたいので、よく知りもしない男との婚姻などお断りです」
義賢「成程、では命令だ蜀漢のために嫁げ!」
王元姫「そう言われては仕方ありません。この方に嫁げば宜しいのですね?」
義賢「うむ」
司馬昭「いやいやいや。それはダメですって。俺も彼女とは政略結婚じゃなくて恋愛結婚を。あぁ、もう。こういうのは、俺のがらじゃないっての。一目会った時から好きです。結婚を前提にお付き合いください」
王元姫「はい」
司馬昭「へっ?」
王元姫「何、面食らった顔してるんですか子上殿?」
義賢「これは一応、婚約ということで良いのであろうか?」
王元姫「えぇ。その時が来たら義賢先生には仲人をお願いするので、お願いしますね」
義賢「あ、あぁ」
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