えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

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5章 天下統一

郭脩と黄元

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 郭脩に酒代を払ってもらい外へと連れ出された黄元が目を覚ましたのは、昼過ぎを回っていて、今日が非番で無ければ、荀彧から20点は軽く減点されるところだった。
 この国は加点・減点という新たなことを取り入れ、失敗に対しては減点が課され、これが100を貯まると1ヶ月のトイレ掃除を命じられる。
 これがとにかくきつい。
 普段は、みんなに回ってくる仕事なのだが、100点の減点が貯まると庶民になるか1ヶ月間のトイレ掃除をするかを選ばされる。
 当然、庶民になど落ちたくはない。
 ゆえにトイレ掃除を選ぶ。
 とにかく、そこら中に飛び散ったものを手で拾って片付け、ブラシとやらで擦る。
 これが意外と精神的にも身体的にも来るのである。
 しかし、それよりもっとヤバいのが今黄元の目の前にある。

 黄元「ふわぁ。よく寝た。うおっ。何で、俺裸なんだ」

 ???「あら、貴方昨日のこと全く覚えていないの?突然、私の部屋に押し入ってきて、好きだ。好きなんだ。結婚してくれだなんて。私が霊帝様のお世話をしている官女だって言っても襲いかかってきたのよ」

 黄元「そんな。嘘だろ。ヤバい。ヤバい。ヤバい。霊帝の世話係に手を出したなんて知られたら。減点で済むわけが。殺そう。殺すしかない」

 そこに割って入る1人の薄汚い男。

 ???「おっと物騒なことは、やめときな。事を荒立てて得する事なんか何もねぇよ」

 黄元「お前は、誰だ?どうやって、ここに?」

 ???「ツルギったら遅いじゃない。今日もして、くれるんでしょ?」

 剣と呼ばれた男は、偽名で、名を郭脩という。

 郭脩「勿論さ。サヤ

 鞘と呼ばれた女性も勿論偽名で、郭女王の作った影の者の一員である。
 この度の作戦のために密かに潜入していた郭昱という、郭女王の姉であり、変装の達人。
 霊帝の官女の1人の動きを完璧にマスターし、こうして、黄元を罠に嵌る役を買って出た。

 黄元「馬鹿な!?2人はできて。しかし、それが本当なら。俺のことはどうか見逃してくれ!俺にできることなら何でもするから。頼む」

 郭昱「何でも、ねぇ?それなら私と剣のことを黙っててもらう代わりに1つ仕事を頼みたいのだけど」

 黄元「仕事?わかった。これがバレるよりもマシだ。何だってする」

 郭昱「そうね。だったら霊帝様のために劉備を殺して欲しいのよ。霊帝様はね。劉備のお飾りで、全く好きにさせてもらえないの。アレでは、どちらが国の王なのかしらね。フフフ」

 黄元「やはり、霊帝様もそうお考えなのか」

 郭昱「えぇ。霊帝様はね。全然、老いてらっしゃらないのよ。私を満足させてくれるし、ただ私の性欲が強いあまりに1人じゃ満足できないだけなの」

 黄元「はぁ」

 郭脩「ゴホン」

 郭脩の咳払いは、程昱に話が余計なところに行きそうだ本筋に戻れという合図である。

 郭昱「だから、反乱を起こしてくれる?霊帝様を助けたいと思っている人は多いんじゃないかしら?宮仕の貴方ならできるわよね?」

 黄元「勿論だ。宮仕の中にも劉備に対して不満に思っている奴は多い。必ず、反乱を成功させよう。その暁には、霊帝様に」

 郭昱「えぇ。勿論よ。貴方が大将軍に任命されるように取り計らって、ア・ゲ・ル」

 黄元「うっ。何と淫らな。俺の下半身が。フオオオオオオオオオ」

 郭脩「鞘、2人がかりで満足させてやろう」

 これは穴兄弟となることで、逃れられない泥沼に黄元を引き摺り込むのが目的だった。

 郭昱「凄く良かったわ2人とも。今後の連絡手段は、こちらの剣を倒して欲しいの。彼、難民だから足も付かないし便利でしょ?」

 黄元「はい。程昱様のために必ずや。その暁には、もう一度その身体を」

 郭昱「えぇ。成功したら好きにさせてア・ゲ・ル」

 黄元「イヤッホォォォ」

 叫びながら飛び出していく黄元。
 黄元のような冴えない男が一流の官女とできるなど本来あり得ない。
 それが敵の間者が化けた姿だったとしても。
 黄元は、すっかり骨抜きにされ、自分の出世よりも程昱のためといつのまにか行動指針が切り替わっていた。

 郭昱「男をたらし込む時は雲英のフリをしてみたけど辛いわね。それにちゃっかり貴方も乗ってくるなんて、どうしちゃったのかしら郭脩は?」

 郭脩「程昱様に御足労いただきましたので、精一杯の御奉仕をと」

 郭昱「まぁ。良いわ。それで、どう?」

 郭脩「怪文書も送り付けるので、それで何人か発起してくれれば幸い。無理な場合は黄元の集める兵次第かと。ここにいる兵だけで暴動を起こしたところで、たかだか知れているかと。ですが、それでもこれだけの兵を紛れ込ませるなどやはり曹丕様はできる御方です」

 郭昱「えぇ。ですが私たちの存在意義は、ここで決まると言っても過言ではありません。今は、秦慶童が抜きん出ている状態。独走を許すわけには行きませんから。我々も何かしらの手柄を」

 郭脩「御意」

 郭昱「では、私は帰ります。後のことはお前に任せるわ」

 郭脩「かしこまりました」

 この数日後、怪文書は思いの外効果がなく、黄元次第となったところ頼みの黄元が全く使い物にならずに起こっていたところを馬忠に目撃されたのである。

 黄元「申し訳ない。それとなく反乱を仄めかしはしてみたのだが、良い反応は貰えんかった」

 郭脩「お前は馬鹿か!鞘への愛は、そんなものなのか?あの身体をもう一度抱きたくは無いのか?どうなんだ?」

 黄元「勿論、できる限りのことはする。だが期待は」

 郭脩「お前のような愚かな奴に俺たちのことを教えたのだが馬鹿であった!この大馬鹿者の役立たずめが!」

 吐き捨てるように去っていく郭脩、その場に取り残され難民にまで馬鹿にされて屈辱に苛まれる黄元。
 その黄元の元に1人の男が話しかける。
 そう、あの悪鬼である。
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