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5章 天下統一
黄元と郭脩の言い争い
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懲役5年の刑期を受けた黄元は牢屋に一度戻されていた。
そこには同じく無期懲役の罪をくらった郭脩もまた放り込まれていた。
郭脩「ふざけるな!出せ!ここから出せ!劉備ーーーーーーー!!!!」
黄元「隣の牢の奴は、さっきから騒がしいな」
郭脩「その声は、黄元!貴様ーーーー!!!」
黄元「俺のことを知っているのか?」
郭脩「忘れたとは言わせんぞ!貴様のせいで!反乱一つもまともに起こせないポンコツが!」
黄元「まさか!?お前は、あの時の見窄らしい難民か。そうかお前も捕まったか。良かった。これで蜀漢が揺らぐ事は無いだろう」
郭脩「ざけんなよ!お前がお前があんなに大胆に動き過ぎたから足がついたんだ!このポンコツ野郎が!」
黄元「ふむ。確かに俺はポンコツだ。だが今はそのポンコツ加減に感謝さえしている。そのお陰で、大きな罪を犯す事なくこうして償え、命もあるのだ。だから喚くな難民よ。霊帝様は寛大な御方。謀反の未遂で済んだのだそちらも罪は軽かろう?」
郭脩「はっ?謀反の未遂だぁ?ふざけんな!こっちは既に人を殺してんだよ!現行犯逮捕の末、一生牢に居ろってな。テメェと一緒にすんなポンコツ!これで郭昱様の御褒美がパァだオラァ!」
黄元「郭昱というのがあの女の名前か?」
郭脩「アァ?だったらなんだってんだ!」
黄元「そうか。つくづく俺は哀れな男だ。宮仕の人間なのだから官女の名前を聞けば良かった。そもそも鞘なんて名前の宮女は居ない。あの時は、禁忌を犯しているから名前を知られたく無いのかと深くは詮索しなかったが。郭昱というのか。そんな名前の官女は居ない。やはり俺は、騙されていたのだな。全く、大きな罪を犯す前で本当に良かった」
郭脩「ふざけんな!テメェが!テメェが!キチンと反乱の一つでも起こしていれば、劉備の奴を殺せたというのに。こうなったら貴様は生かしておかん。死ね」
黄元「そのように喚いたところで、壁一つ隔てているというのに、どうやって殺すというのだ。全く、うるさい男だ」
郭脩「馬鹿な!?何故だ何故?射出しない?」
腕を捲り上げた郭脩は驚愕の表情を浮かべる。
郭脩「一体、いつ暗器を奪われた?」
黄元「おーい。先程までの勢いはどうした?」
郭脩「黙れポンコツ!俺ほどの腕がありながら暗器を盗まれるなど。ブツブツ」
黄元「まぁ、もうこうなってはどうすることもできん。諦めて、霊帝様の沙汰を受け入れるのだな。ふわぁ。俺はもう寝る。兵士さん、すまないが毛布をくれないか?寒くてかなわん」
牢屋の兵士A「さっきまでと違って殊勝な心がけだな。梟様の言葉が相当心に響いたみたいだな。反省してるみたいだしよ。俺としても死なれたら夢見が悪りぃ。もうすぐ交代の時間だしな。ホラよ」
黄元「感謝するよ。これで眠れそうだ」
郭脩「主のことを話そうとした馬鹿を殺した時は、この手にあった。その後、変な奴に見つかって、名前は確か費禕だったか?飄々とした警戒心のない奴だと油断した。その後、背後に警ら隊の奴が。まさか!?アイツに?いや、身体検査をされた覚えはない。寧ろ、殺そうと企んでいた。あの男の力が強くて叶わなかったが。では、一体いつ奪われた?わからん。全くわからん」
黄元「ブツブツ。ブツブツ。何言ってるかわからんしうるさいわ!眠れんではないか!」
郭脩「ポンコツは黙ってろ!俺は今必死に考えてんだ」
黄元「ならブツブツ喋るな難民!」
郭脩「黙ってろポンコツ!」
牢屋の兵士A「どっちもうっせぇわ!」
牢屋の兵士B「すまない。遅刻した」
牢屋の兵士A「いつも時間通りなお前が珍しいな」
牢屋の兵士B「母が転んで、介護していた」
牢屋の兵士A「そりゃ災難だったな。じゃあ、ここは任せる」
牢屋の兵士B「あぁ」
牢屋の兵士Bが背後を向いた後羽交締めにする牢屋の兵士A。
牢屋の兵士A「お前、何もんだ?」
牢屋の兵士B「!?何故、わかった?」
牢屋の兵士A「アイツに両親は居ない。天涯孤独のところ劉備様に拾われて、兵士として働いてる。成り代わろうとするんなら調べるのは当然だと思うが」
牢屋の兵士B「成程、やはり蜀漢は人材が豊かということか。こうなっては、致し方なし。ガリッ。ゴフッ」
牢屋の兵士A「コイツ。口から血を?まさか毒を!?」
作戦の失敗は死あるのみ。
口に含んでいた毒を噛みその場に倒れ込む牢屋の兵士Bに扮した謎の男。
牢屋の兵士A「ハァ。こりゃ劉備様に報告の上、今日は徹夜だな。ったく」
報告を受けた劉備によって、捜索を受けた牢屋の兵士Bは、家で身包みを剥がされ裸でぐるぐる巻きにされているところを発見された。
劉備「無事か馮習」
馮習「ん!んん!!んんん!!!プハッ。劉備様、俺なんかのために感謝します。傅彤は、やはり気づいてくれたか。良かった」
劉備「あぁ。傅彤からの報告を受け、お前を捜索していた。無事で良かった。優秀な兵を失う事は、国家の衰退だ」
馮習「こんな俺に勿体無い御言葉です。早く傅彤の奴と代わってやらないと。イテテ」
劉備「今日のところは休め。傅彤にも負担をかけぬようにこちらでなんとかしておこう」
馮習「そんな劉備様の手を煩わせるなど。イテテ」
劉備「こういう時ぐらい甘えるが良い。本当に無事で良かった」
馮習「はい」
牢屋の兵士Aは傅彤と言い、正史にて夷陵の戦いにおいて降伏を拒み、戦死した忠義の士であり、牢屋の兵士Bは、同じく夷陵の戦いにおいて、劉備に従い、火計によって、燃え盛る戦場の中、劉備を逃すために善戦、戦死した忠義の士である。
そこには同じく無期懲役の罪をくらった郭脩もまた放り込まれていた。
郭脩「ふざけるな!出せ!ここから出せ!劉備ーーーーーーー!!!!」
黄元「隣の牢の奴は、さっきから騒がしいな」
郭脩「その声は、黄元!貴様ーーーー!!!」
黄元「俺のことを知っているのか?」
郭脩「忘れたとは言わせんぞ!貴様のせいで!反乱一つもまともに起こせないポンコツが!」
黄元「まさか!?お前は、あの時の見窄らしい難民か。そうかお前も捕まったか。良かった。これで蜀漢が揺らぐ事は無いだろう」
郭脩「ざけんなよ!お前がお前があんなに大胆に動き過ぎたから足がついたんだ!このポンコツ野郎が!」
黄元「ふむ。確かに俺はポンコツだ。だが今はそのポンコツ加減に感謝さえしている。そのお陰で、大きな罪を犯す事なくこうして償え、命もあるのだ。だから喚くな難民よ。霊帝様は寛大な御方。謀反の未遂で済んだのだそちらも罪は軽かろう?」
郭脩「はっ?謀反の未遂だぁ?ふざけんな!こっちは既に人を殺してんだよ!現行犯逮捕の末、一生牢に居ろってな。テメェと一緒にすんなポンコツ!これで郭昱様の御褒美がパァだオラァ!」
黄元「郭昱というのがあの女の名前か?」
郭脩「アァ?だったらなんだってんだ!」
黄元「そうか。つくづく俺は哀れな男だ。宮仕の人間なのだから官女の名前を聞けば良かった。そもそも鞘なんて名前の宮女は居ない。あの時は、禁忌を犯しているから名前を知られたく無いのかと深くは詮索しなかったが。郭昱というのか。そんな名前の官女は居ない。やはり俺は、騙されていたのだな。全く、大きな罪を犯す前で本当に良かった」
郭脩「ふざけんな!テメェが!テメェが!キチンと反乱の一つでも起こしていれば、劉備の奴を殺せたというのに。こうなったら貴様は生かしておかん。死ね」
黄元「そのように喚いたところで、壁一つ隔てているというのに、どうやって殺すというのだ。全く、うるさい男だ」
郭脩「馬鹿な!?何故だ何故?射出しない?」
腕を捲り上げた郭脩は驚愕の表情を浮かべる。
郭脩「一体、いつ暗器を奪われた?」
黄元「おーい。先程までの勢いはどうした?」
郭脩「黙れポンコツ!俺ほどの腕がありながら暗器を盗まれるなど。ブツブツ」
黄元「まぁ、もうこうなってはどうすることもできん。諦めて、霊帝様の沙汰を受け入れるのだな。ふわぁ。俺はもう寝る。兵士さん、すまないが毛布をくれないか?寒くてかなわん」
牢屋の兵士A「さっきまでと違って殊勝な心がけだな。梟様の言葉が相当心に響いたみたいだな。反省してるみたいだしよ。俺としても死なれたら夢見が悪りぃ。もうすぐ交代の時間だしな。ホラよ」
黄元「感謝するよ。これで眠れそうだ」
郭脩「主のことを話そうとした馬鹿を殺した時は、この手にあった。その後、変な奴に見つかって、名前は確か費禕だったか?飄々とした警戒心のない奴だと油断した。その後、背後に警ら隊の奴が。まさか!?アイツに?いや、身体検査をされた覚えはない。寧ろ、殺そうと企んでいた。あの男の力が強くて叶わなかったが。では、一体いつ奪われた?わからん。全くわからん」
黄元「ブツブツ。ブツブツ。何言ってるかわからんしうるさいわ!眠れんではないか!」
郭脩「ポンコツは黙ってろ!俺は今必死に考えてんだ」
黄元「ならブツブツ喋るな難民!」
郭脩「黙ってろポンコツ!」
牢屋の兵士A「どっちもうっせぇわ!」
牢屋の兵士B「すまない。遅刻した」
牢屋の兵士A「いつも時間通りなお前が珍しいな」
牢屋の兵士B「母が転んで、介護していた」
牢屋の兵士A「そりゃ災難だったな。じゃあ、ここは任せる」
牢屋の兵士B「あぁ」
牢屋の兵士Bが背後を向いた後羽交締めにする牢屋の兵士A。
牢屋の兵士A「お前、何もんだ?」
牢屋の兵士B「!?何故、わかった?」
牢屋の兵士A「アイツに両親は居ない。天涯孤独のところ劉備様に拾われて、兵士として働いてる。成り代わろうとするんなら調べるのは当然だと思うが」
牢屋の兵士B「成程、やはり蜀漢は人材が豊かということか。こうなっては、致し方なし。ガリッ。ゴフッ」
牢屋の兵士A「コイツ。口から血を?まさか毒を!?」
作戦の失敗は死あるのみ。
口に含んでいた毒を噛みその場に倒れ込む牢屋の兵士Bに扮した謎の男。
牢屋の兵士A「ハァ。こりゃ劉備様に報告の上、今日は徹夜だな。ったく」
報告を受けた劉備によって、捜索を受けた牢屋の兵士Bは、家で身包みを剥がされ裸でぐるぐる巻きにされているところを発見された。
劉備「無事か馮習」
馮習「ん!んん!!んんん!!!プハッ。劉備様、俺なんかのために感謝します。傅彤は、やはり気づいてくれたか。良かった」
劉備「あぁ。傅彤からの報告を受け、お前を捜索していた。無事で良かった。優秀な兵を失う事は、国家の衰退だ」
馮習「こんな俺に勿体無い御言葉です。早く傅彤の奴と代わってやらないと。イテテ」
劉備「今日のところは休め。傅彤にも負担をかけぬようにこちらでなんとかしておこう」
馮習「そんな劉備様の手を煩わせるなど。イテテ」
劉備「こういう時ぐらい甘えるが良い。本当に無事で良かった」
馮習「はい」
牢屋の兵士Aは傅彤と言い、正史にて夷陵の戦いにおいて降伏を拒み、戦死した忠義の士であり、牢屋の兵士Bは、同じく夷陵の戦いにおいて、劉備に従い、火計によって、燃え盛る戦場の中、劉備を逃すために善戦、戦死した忠義の士である。
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