681 / 821
5章 天下統一
陳留前哨戦(承)
しおりを挟む
大口を叩いた割には、歩兵隊の損失という失態を犯した陳宮に対して、不平不満をぶつける牛金と王双。
牛金「口だけ軍師様が帰ってきたぜ」
王双「おいおい牛金。そんなにいじめてやんなって。あれだけの大口を叩いて、呂布を猪呼ばわりしておいて、誘き寄せただなんて、言って恥ずかしさを隠しきれてないんだからよ」
牛金「それにこの体たらくだもんなぁ。流石に殿もコイツが使えないってわかったんじゃねぇか」
王双「牛金、やめとけって。俺もそう思うけどな」
陳宮「ぐぬぬ。こんな馬鹿どもに言われたい放題とは。屈辱だ」
曹仁「はぁ。誰かを責めてどうなる?牛金に王双、お前たちは陳宮の失態を笑うが。この失態の責任は全て某にあることがわかっているのか?」
牛金「曹仁様、何言ってるんだ?コイツの失態はコイツの責任、曹仁様になんの責任もありやせんぜ」
曹仁「この地を殿から預かったのは某だ。その意味がわかるか?」
王双「おい牛金。殿の責任にならねぇんだよな?な?」
牛金「当たり前だろ。このいけすかない陰険軍師を追い出すだけだ」
陳宮「こちらもこんな泥舟から追い出してくれるなら願ったり叶ったりですなぁ」
牛金「テメェ。むざむざ兵を失っておいて、開き直りやがったな!」
王双「おい。牛金、本当に大丈夫なんだよな?殿が曹操様に処罰されたりしねぇよな?な?」
牛金「大丈夫に決まってんだろ!曹仁様は、曹操様の従兄弟だぜ」
曹仁「えぇい!くだらん醜い争いなどやめろと言ってるのだ!ここにいる皆が手を取り合わなければ守れるものも守れるわけが無かろうが!陳宮の見てきた呂布という男より成長してたってことだ!それがわかっただけでもこの兵の損失は無駄では無かった。それを踏まえた上で陳宮には新たな策を講じてもらいこの地を守るだけのことだ!」
牛金「いやいや、コイツには無理ですって。相手の力量も測れない無能なんすから」
陳宮「味方にも猪がいるとは。滑稽なことだ」
牛金「んだとテメェ!舐めてやがんのか?表に出ろや!」
陳宮「良いですとも。猪に我が崇高な」
曹仁「だからやめんか!揃いも揃って、馬鹿ばかりが!少し頭を冷やしておれ!」
牛金「うわっ。つ、冷てぇ。な、何するんです曹仁様」
王双「な、なんで俺まで。クシュン」
陳宮「大事な衣服が水浸しに。なんと愚かな」
曹仁「愚かなのはお前たちだ!某たちは、この地を守る同僚だけで無く命を預け合う仲間なのだ!それを啀み合いばかりしよって!これでは、この地を守ることなど不可能であろうが!少し、頭を冷やしておれ!」
曹仁は、3人を締め出すと1人執務室に籠り策を考える。
曹仁「聞いていた呂奉先という男は、力に物を言わせる攻撃型だった。ところが今回は陳宮の策を見抜き、歩兵隊を壊滅せしめた。だがそれ以降無理に攻めることはしなかった。こちらの罠を考えて、敢えて止まったとしたら。何にしても。助かったことに違いはない。そのまま攻められていたら、この陳留城に呆気なく取り付かれて今頃攻城戦となっていたやもしれぬ。そのことだけは救いか。すまぬ兵らよ」
曹仁がそんなことを考えながら夜を明かすその頃、蜀漢陣営は。
呂布「荀攸の言う通り、ぬかるみの少ないところを通って、歩兵隊の壊滅には成功した。だが、何故。そのまま攻めては駄目なのだ?」
荀攸「あのまま攻めていれば、攻城戦には移れたでしょうな。ですが移れただけ。損害なく力だけで強引に攻め落とせるほど城攻めは楽ではありませんからな。相手の防衛部隊が外に出ている間に壊滅させることに注視しただけのこと。それに猪などと蔑んでいた呂布殿に手酷くやられたとあっては、今頃怒り心頭かと。次もまた兵を出してくるでしょう。じわりじわりと防衛部隊を削ってやれば良い」
張遼「成程。損害を少なくして、徹底的に敵を葬ると。荀彧殿の甥とは思えないほど。陰険な策ですな」
荀攸「叔父には叔父の得意な戦術があるように、俺には俺の得意な戦術がある。相手が陰険なら尚更な。どうせ、あのぬかるみは落とし穴。その下には無数の槍罠でも敷き詰めていたのは明白。まぁ、絶望に突き落としてやろうと考える陰険な奴らしい策よ」
呂布「何やら、荀攸は、陳宮のことを昔から知っているような口ぶりだな」
荀攸「よーく知っているさ。俺もアイツも都育ちだからな」
高順「そうか。確か荀彧殿は、元々は都で、朝廷の一員として働いていたのでしたな。その矢先に十常侍の乱が起こり、董卓が都を占拠して、袁紹に付き従い華北へと流れたのでしたな」
荀攸「あぁ。その叔父に引き取られて都に居たからな。その時から知っている。アイツは、顔に似合わず兎に角、野心に溢れている。俺もそうだからな。よくわかるんだよ。そういう奴が何を考えてるかが手に取るようにな」
呂布「確かに陳宮だけを見ればそうだろうな」
荀攸「それはどういう意味です呂布将軍?」
呂布「相手は魏国最強と名高い曹仁だ。この負けを明日以降巻き返してこよう。そう事は単純ではないということだ」
荀攸「でしょうな。だからこそ強引な城攻めをやめたのだ」
王凌「鼻から荀攸殿は陳宮ではなく曹仁を見ていたと?」
荀攸「小物に用はありませんからな。ここで曹仁を討ち取るか捕まえれば、魏国は最強の戦力を失うのですから。逃さずに、巻き返しを図れると思わせることが大事なのですよ」
呂布「フッ。そうか。ではうちの優秀な軍師殿の策とどちらが上か楽しませてもらうとしよう」
一夜明けた翌日。
魏の曹仁は、徹底した防備を敷いた。
牛金「口だけ軍師様が帰ってきたぜ」
王双「おいおい牛金。そんなにいじめてやんなって。あれだけの大口を叩いて、呂布を猪呼ばわりしておいて、誘き寄せただなんて、言って恥ずかしさを隠しきれてないんだからよ」
牛金「それにこの体たらくだもんなぁ。流石に殿もコイツが使えないってわかったんじゃねぇか」
王双「牛金、やめとけって。俺もそう思うけどな」
陳宮「ぐぬぬ。こんな馬鹿どもに言われたい放題とは。屈辱だ」
曹仁「はぁ。誰かを責めてどうなる?牛金に王双、お前たちは陳宮の失態を笑うが。この失態の責任は全て某にあることがわかっているのか?」
牛金「曹仁様、何言ってるんだ?コイツの失態はコイツの責任、曹仁様になんの責任もありやせんぜ」
曹仁「この地を殿から預かったのは某だ。その意味がわかるか?」
王双「おい牛金。殿の責任にならねぇんだよな?な?」
牛金「当たり前だろ。このいけすかない陰険軍師を追い出すだけだ」
陳宮「こちらもこんな泥舟から追い出してくれるなら願ったり叶ったりですなぁ」
牛金「テメェ。むざむざ兵を失っておいて、開き直りやがったな!」
王双「おい。牛金、本当に大丈夫なんだよな?殿が曹操様に処罰されたりしねぇよな?な?」
牛金「大丈夫に決まってんだろ!曹仁様は、曹操様の従兄弟だぜ」
曹仁「えぇい!くだらん醜い争いなどやめろと言ってるのだ!ここにいる皆が手を取り合わなければ守れるものも守れるわけが無かろうが!陳宮の見てきた呂布という男より成長してたってことだ!それがわかっただけでもこの兵の損失は無駄では無かった。それを踏まえた上で陳宮には新たな策を講じてもらいこの地を守るだけのことだ!」
牛金「いやいや、コイツには無理ですって。相手の力量も測れない無能なんすから」
陳宮「味方にも猪がいるとは。滑稽なことだ」
牛金「んだとテメェ!舐めてやがんのか?表に出ろや!」
陳宮「良いですとも。猪に我が崇高な」
曹仁「だからやめんか!揃いも揃って、馬鹿ばかりが!少し頭を冷やしておれ!」
牛金「うわっ。つ、冷てぇ。な、何するんです曹仁様」
王双「な、なんで俺まで。クシュン」
陳宮「大事な衣服が水浸しに。なんと愚かな」
曹仁「愚かなのはお前たちだ!某たちは、この地を守る同僚だけで無く命を預け合う仲間なのだ!それを啀み合いばかりしよって!これでは、この地を守ることなど不可能であろうが!少し、頭を冷やしておれ!」
曹仁は、3人を締め出すと1人執務室に籠り策を考える。
曹仁「聞いていた呂奉先という男は、力に物を言わせる攻撃型だった。ところが今回は陳宮の策を見抜き、歩兵隊を壊滅せしめた。だがそれ以降無理に攻めることはしなかった。こちらの罠を考えて、敢えて止まったとしたら。何にしても。助かったことに違いはない。そのまま攻められていたら、この陳留城に呆気なく取り付かれて今頃攻城戦となっていたやもしれぬ。そのことだけは救いか。すまぬ兵らよ」
曹仁がそんなことを考えながら夜を明かすその頃、蜀漢陣営は。
呂布「荀攸の言う通り、ぬかるみの少ないところを通って、歩兵隊の壊滅には成功した。だが、何故。そのまま攻めては駄目なのだ?」
荀攸「あのまま攻めていれば、攻城戦には移れたでしょうな。ですが移れただけ。損害なく力だけで強引に攻め落とせるほど城攻めは楽ではありませんからな。相手の防衛部隊が外に出ている間に壊滅させることに注視しただけのこと。それに猪などと蔑んでいた呂布殿に手酷くやられたとあっては、今頃怒り心頭かと。次もまた兵を出してくるでしょう。じわりじわりと防衛部隊を削ってやれば良い」
張遼「成程。損害を少なくして、徹底的に敵を葬ると。荀彧殿の甥とは思えないほど。陰険な策ですな」
荀攸「叔父には叔父の得意な戦術があるように、俺には俺の得意な戦術がある。相手が陰険なら尚更な。どうせ、あのぬかるみは落とし穴。その下には無数の槍罠でも敷き詰めていたのは明白。まぁ、絶望に突き落としてやろうと考える陰険な奴らしい策よ」
呂布「何やら、荀攸は、陳宮のことを昔から知っているような口ぶりだな」
荀攸「よーく知っているさ。俺もアイツも都育ちだからな」
高順「そうか。確か荀彧殿は、元々は都で、朝廷の一員として働いていたのでしたな。その矢先に十常侍の乱が起こり、董卓が都を占拠して、袁紹に付き従い華北へと流れたのでしたな」
荀攸「あぁ。その叔父に引き取られて都に居たからな。その時から知っている。アイツは、顔に似合わず兎に角、野心に溢れている。俺もそうだからな。よくわかるんだよ。そういう奴が何を考えてるかが手に取るようにな」
呂布「確かに陳宮だけを見ればそうだろうな」
荀攸「それはどういう意味です呂布将軍?」
呂布「相手は魏国最強と名高い曹仁だ。この負けを明日以降巻き返してこよう。そう事は単純ではないということだ」
荀攸「でしょうな。だからこそ強引な城攻めをやめたのだ」
王凌「鼻から荀攸殿は陳宮ではなく曹仁を見ていたと?」
荀攸「小物に用はありませんからな。ここで曹仁を討ち取るか捕まえれば、魏国は最強の戦力を失うのですから。逃さずに、巻き返しを図れると思わせることが大事なのですよ」
呂布「フッ。そうか。ではうちの優秀な軍師殿の策とどちらが上か楽しませてもらうとしよう」
一夜明けた翌日。
魏の曹仁は、徹底した防備を敷いた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる