えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟！兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

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5章　天下統一

下邳攻防戦(承)

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　下邳城を水に浮かせるというやり方で鮮やかに曹洪による水攻めを回避してみせた劉虎龍。

　劉虎龍「ふわぁ～。まぁ、そう来るよね～。素直に失敗を認められて偉い偉いだよ～。曹洪さん。それがさらなる悪手を重ねてるとも知らずにねぇ～」

　陳登「しかし、劉虎龍様、水攻めが失敗したのです水を抜こうと考えるのは普通では？」

　劉虎龍「陳登殿、良いところに目をつけたね！褒めて遣わそう」

　陳登「有難き、ではなくてですなそれがどうして悪手になるのかを理由を説明していただけませんと」

　劉虎龍「フフフ。それはね。僕が施したとある方法だよ」

　臧覇「確か、劉虎龍様は、城を浮かせるために周りを掘り下げたのだったな？」

　劉虎龍「臧覇殿、正解！そうすることで、城を浮かせることにしました。では掘った土はどうなったでしょうか？」

　孫観「まさか！？鉄で作った杭打ちの幅に盛り土したのはこのためか」

　劉虎龍「ピンポンピンポン、孫観殿大正解だよ！さて、城の入り口からここまで何人の敵軍がぬかるんだ土に飲み込まれるんだろうね。ククッ。名付けて、底なし沼大作戦だよ！」

　陳登「しかし、そう都合よく行くでしょうか？」

　劉虎龍「まぁ、見ててよ。僕の計算は、絶対に狂わないからさ」

　下邳城の水が引いたことを聞いた曹洪は攻城戦を開始する。

　曹洪「先ずは衝車にて、門を打ち破れ！全軍、突撃！」

　魏軍工兵A「やっと出番のようじゃな。機械の専売特許が蜀漢だけのものじゃなかってところを、見せ付けてやるんじゃ。行くぞい」

　魏軍工兵B「先輩、いつにも増して、気合い入ってるなぁ」

　魏軍工兵C「そりゃそうだろ。今の今まで、攻城兵器は何年も蜀漢に先を越されてきたからなぁ。俺たち魏軍工兵の力を結集して作った。軽量に成功し、大量生産が可能になったこの新型衝車の力を試す絶好の機会だって、考えてるんだろう」

　魏軍工兵A「うおおおお。蜀漢がなんぼのもんじゃ～～～～」

　勢いよく衝車が門にぶつかると何の抵抗もなく開く。

　魏軍工兵B「うおおおお。一瞬で門が開いたぞ」

　魏軍工兵C「マジかよ。俺たち蜀漢の攻城兵器を上回ったんじゃね？」

　しかしぬか喜びも束の間、衝車が地面に飲み込まれていた。

　魏軍工兵A「何がどうなってるんじゃ？呆気なく門が開いたかと思えば、衝車が沈んでおるではないか！誰か、誰か状況を報告せんか！」

　曹休「どうしたんだ？これでは騎兵で突撃はできないぞ！」

　魏軍工兵A「曹休様、申し訳ありませぬ。もうやら、何かに嵌ったのか衝車が沈んでおるのじゃ」

　曹休「衝車が沈んでいる？それは本当なのか？」

　魏軍工兵B「は、はい」

　曹休「まさかさっきの水で土がぬかるんで、沼みたいになってるんじゃないか？」

　魏軍工兵A「馬鹿な！？軽量化に成功したとはいえ、衝車が土の中に沈むなど考えられませぬぞ」

　曹休「万が一、衝車が沈んだとしたら、このまま突撃するのは、大きな犠牲を伴うかもしれない。俺は一度戻りこのことを曹洪叔父上に伝えてくる」

　魏軍工兵A「承知。こちらも衝車を何とか引っ張り出さないかやってみますぞい」

　門が大きく開いたので、鉄の杭の道の両脇に配置している弓櫓から弓を構えていた面々が一斉に弓を向けるが現れたのは衝車だったので、成り行きを見守ることとなる。

　呉敦「門が開いて、敵が踏み入れてきたらぬかるみに足を取られている間に弓にて打ち抜けと劉虎龍様より指示を受けたが。衝車の場合はどうするべきだ？」

　尹礼「そんなの取り敢えず様子見するしかねぇんじゃねぇの？」

　孫康「焼くのはダメなのか？」

　呉敦「焼いて、敵の侵入をこちらが早める必要はないのでは？」

　尹礼「とにかく、このまま一時待機が妥当だろう」

　これをみていた劉虎龍は不敵に笑う。

　劉虎龍「やっぱりこうじゃないと戦は面白くないよね。まさか衝車を乱暴に突撃させて、僕の底なし沼大作戦を見破るなんて、お見事だよ曹洪さん」

　陳登「うーん。そうなのでしょうか？勢いのまま突撃したら底なし沼にぶち当たったようにしか見えないのですが」

　臧覇「って、この場合友たちは、どうなる？」

　劉虎龍「まぁ、取り敢えず現場判断に任せるしかないかな。衝車を燃やしても良いけど底なし沼がバレた以上、何か対策はしてくるだろうし。まさかこんな方法で僕の完璧な作戦を看破するとは、敵ながら天晴れだよ」

　陳登「うーん。何度見ても行き当たりばったりだったような気が」

　孫観「適当に策が破られたって認めたくないんだよ。察するんだ陳登殿」

　陳登「な、成程。しかし、こんな方法で打ち破られるとは、劉虎龍様、勿論次があるんですよね？」

　劉虎龍「勿論だよ。あの道が使い物にならないなら別の道から誘き寄せる。作戦名は、ヒットアンドアウェイだ！」

　陳登「ひつとあんどあうえい？」

　劉虎龍「ヒットアンドアウェイだよ！敵を攻撃して、素早く撤退して、そっちに誘き寄せるんだ」

　臧覇「意味のわからない言語が飛び交うようになったな」

　孫観「宣高、安心しろ俺も言葉の意味を全く理解できていない」

　劉虎龍「ぐぬぬ。底なし沼大作戦を見破ったのは褒めてあげるよ曹洪さん！でも、ヒットアンドアウェイ作戦で、必ず底なし沼大作戦遠成功させてやるんだからな。覚悟するのだ。ワッハッハ」

　下邳攻防戦はまだまだ始まったばかりである。

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