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5章 天下統一
下邳攻防戦(起)
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呂布が徐州から打って出たと言う報告を聞いた曹操の行動は早かった。
洛陽攻めをしてる夏侯惇・夏侯淵を残し、曹洪には直ぐに陳留の曹仁の元に向かわせて、そのまま徐州攻めを命じる。
曹操「やはり呂布が動いたか。地の利を活かすならここで動いてくると予想はできて居た。子廉はいるか?」
曹洪「ここに」
曹操「洛陽攻めは、このまま俺の本隊と元譲・妙才と共に行う。お前には、至急陳留の子考の元に向かい、そのまま手薄となった徐州最大の要所、下邳を急襲せよ」
曹洪「かしこまった」
曹洪がその場を後にする。
夏侯惇「孟徳にしては随分と思い切ったな。これで失敗したら第二次徐州の戦いに続いて、3度目の徐州での敗北となるぞ」
曹操「子廉に任せておれば、ただでは転ばん。それにしてもあの焼け野原で、馬鹿息子が全く手をつけなかった洛陽をここまで再建するとは、流石、華北の知恵者と称される田豊に沮授か。あの2人を我が軍に迎え入れられなかったこと。残念だ」
夏侯淵「殿、相手を褒めるのは構いませんが。あそこまで固められてちゃ衝車が取り付かないと壊せませんぜ」
曹操「その衝車の侵入を全く許さないとはな。厄介この上ない相手よな。時間をかけることはできん。発石車にて、城門ごと破壊せよ」
夏侯淵「良いんですかい?そんなことしたらまた中の人間の怒りを買いそうですが」
曹操「構わん。従わぬものに曹孟徳の恐ろしさを刻みつけてやるのだ!(この戦いも何処かで見てるのだろう。未だ姿を見せぬ混沌の者よ。この曹孟徳が劉備との戦で必ず暗躍する貴様を引き摺り出してくれよう)」
夏侯淵は夏侯惇に耳打ちする。
夏侯淵「惇兄、殿はどうしちまったんだ?」
夏侯惇「妙才、何も言わずにただ従え。孟徳に考えのなかったことなど一度もない」
夏侯淵「だがよ。これは流石にやりすぎなんじゃねぇか?」
夏侯惇「何も皆殺しにしろとは言われて居ない。無理やり洛陽の城門を叩き潰して、中の者たちを捕らえるだけのことだ」
夏侯淵「そう簡単に割り切れねぇよ俺は」
ということがあって、現在下邳周辺を下見している曹洪。
曹洪「ふむ。やはり下邳を落とすには水攻めが最も有効そうだな張既よ」
張既「これだけ合流している箇所が多いのですから堰き止めて、一気に水を流してやれば、下邳は底に沈むかと」
曹洪「ここには苦い思い出しかない。一息に水に流してくれよう」
しかし、結果として、これが下邳城を攻めあぐねる結果となった。
なんと下邳が水の上に浮いたのだ。
まるで湖に浮かぶ湖城のように。
これは計算尽くされた結果である。
水の多い地域において、水害は時に致命傷となり得る。
だから皆その対策をする。
下邳も例外ではない。
だが水を下邳に流された時の対策に関してはしていなかったのだ。
それが詰めの甘い呂布の悪いところだ。
そこに関して、徹底的にメスを入れたのが、この欠伸している少年のあどけなさの残るボサボサ頭の青年である。
劉虎龍「ふわぁ。はい、曹洪さん、それは悪手だよ~。残念でした~。さ~て、次はどう来ますか曹洪さん」
陳登「まさか、このような方法で水攻めを回避するなど。確かにこれでは、向こうも船でこちらに近づくしかない」
臧覇「だが、ここら一帯の船は既に劉虎龍様の手の中に。なんとも鮮やかな回避。しかし、回避しただけで食料云々の面やらなんの解決もしていないのだが」
劉虎龍「あっそのことね。船の中見て見てよ」
孫観「船の中に一体何が。!?なんじゃこりゃ!」
劉虎龍「船を丸々食糧庫に。こっちは船丸々武器庫に。こうしておけば、何があっても大丈夫い!」
笑顔でピースサインを向ける青年。
なんとも奇抜な策である。
呉敦「もはや、この人が上に立つべきなのでは?」
劉虎龍「それはごめんだなぁ。上に立つと戦に行けないじゃないか。それで悲しい顔をする父上を見てるとね。僕は戦場でこそ輝けるのさ。ワッハッハ」
尹礼「寧ろ、我々にとってこんなに心強いことはない」
孫康「訂正しよう。貴殿は天才だと」
劉虎龍「嫌だなぁ。こんなのまだまだ序の口だよ。さ~て、ここをどうしても落としたい曹洪さん。次はどんな策を見せてくれるのかなぁ?僕、ワクワクが止まらないよ」
ニコニコしながら動向を見つめる青年に周りは、少し引いていた。
戦争を楽しむその姿勢は、時代が違えば間違いなくサイコパス的な思想である。
曹洪「えぇい!船は無いのか!船は!」
曹休「叔父上、それが。全て、1人の人間が買い占めたそうで。それに船に乗れたとしても不慣れな我らが城へと到達できるか」
張既「してやられましたな。まさか水攻めで来ることを予測して、あらかじめ対策してくるとは。素直に敵に敬服するしかない」
曹洪「呂布が居ない下邳を落とせぬなど恥ぞ。何としても船を手に入れるのだ!無かったら作れ!作るのだ!」
曹休「無茶な。作れたとしてもイカダのような不安定なものしか」
曹洪「それで構わん!乗り込みさえすれば、どうとでもなる!」
張既「待たれよ。冷静さを欠いてはなりませんぞ。ここは水攻めを解き、水が引いてから再度攻めるのが良いかと」
曹洪「それにどれぐらいの日数がかかる?」
張既「焦りは禁物ですぞ」
曹洪「こちらは強行軍なのだ!食糧のことも考えねばならん。悠長なことなどできん」
曹休「叔父上、どうしたんだ。そんなの叔父上らしく無い。ここは、冷静に水が引くのを待つべきだ。失敗は誰にでもあるじゃないか」
曹洪「ぐぬぬ。もう良い。わかった。少し、頭を冷やしてくる(徐州を奪い、鮑信と挟撃して、劉義賢を討つ。そうすれば蜀漢に大きな痛手を与えられたというに。こんな方法で水攻めを回避しようとは。この城の守将は一体何者だ)」
焦る曹洪、したり顔で待ち受ける劉虎龍。
水が引いてから開戦となるのは時間の問題であった。
洛陽攻めをしてる夏侯惇・夏侯淵を残し、曹洪には直ぐに陳留の曹仁の元に向かわせて、そのまま徐州攻めを命じる。
曹操「やはり呂布が動いたか。地の利を活かすならここで動いてくると予想はできて居た。子廉はいるか?」
曹洪「ここに」
曹操「洛陽攻めは、このまま俺の本隊と元譲・妙才と共に行う。お前には、至急陳留の子考の元に向かい、そのまま手薄となった徐州最大の要所、下邳を急襲せよ」
曹洪「かしこまった」
曹洪がその場を後にする。
夏侯惇「孟徳にしては随分と思い切ったな。これで失敗したら第二次徐州の戦いに続いて、3度目の徐州での敗北となるぞ」
曹操「子廉に任せておれば、ただでは転ばん。それにしてもあの焼け野原で、馬鹿息子が全く手をつけなかった洛陽をここまで再建するとは、流石、華北の知恵者と称される田豊に沮授か。あの2人を我が軍に迎え入れられなかったこと。残念だ」
夏侯淵「殿、相手を褒めるのは構いませんが。あそこまで固められてちゃ衝車が取り付かないと壊せませんぜ」
曹操「その衝車の侵入を全く許さないとはな。厄介この上ない相手よな。時間をかけることはできん。発石車にて、城門ごと破壊せよ」
夏侯淵「良いんですかい?そんなことしたらまた中の人間の怒りを買いそうですが」
曹操「構わん。従わぬものに曹孟徳の恐ろしさを刻みつけてやるのだ!(この戦いも何処かで見てるのだろう。未だ姿を見せぬ混沌の者よ。この曹孟徳が劉備との戦で必ず暗躍する貴様を引き摺り出してくれよう)」
夏侯淵は夏侯惇に耳打ちする。
夏侯淵「惇兄、殿はどうしちまったんだ?」
夏侯惇「妙才、何も言わずにただ従え。孟徳に考えのなかったことなど一度もない」
夏侯淵「だがよ。これは流石にやりすぎなんじゃねぇか?」
夏侯惇「何も皆殺しにしろとは言われて居ない。無理やり洛陽の城門を叩き潰して、中の者たちを捕らえるだけのことだ」
夏侯淵「そう簡単に割り切れねぇよ俺は」
ということがあって、現在下邳周辺を下見している曹洪。
曹洪「ふむ。やはり下邳を落とすには水攻めが最も有効そうだな張既よ」
張既「これだけ合流している箇所が多いのですから堰き止めて、一気に水を流してやれば、下邳は底に沈むかと」
曹洪「ここには苦い思い出しかない。一息に水に流してくれよう」
しかし、結果として、これが下邳城を攻めあぐねる結果となった。
なんと下邳が水の上に浮いたのだ。
まるで湖に浮かぶ湖城のように。
これは計算尽くされた結果である。
水の多い地域において、水害は時に致命傷となり得る。
だから皆その対策をする。
下邳も例外ではない。
だが水を下邳に流された時の対策に関してはしていなかったのだ。
それが詰めの甘い呂布の悪いところだ。
そこに関して、徹底的にメスを入れたのが、この欠伸している少年のあどけなさの残るボサボサ頭の青年である。
劉虎龍「ふわぁ。はい、曹洪さん、それは悪手だよ~。残念でした~。さ~て、次はどう来ますか曹洪さん」
陳登「まさか、このような方法で水攻めを回避するなど。確かにこれでは、向こうも船でこちらに近づくしかない」
臧覇「だが、ここら一帯の船は既に劉虎龍様の手の中に。なんとも鮮やかな回避。しかし、回避しただけで食料云々の面やらなんの解決もしていないのだが」
劉虎龍「あっそのことね。船の中見て見てよ」
孫観「船の中に一体何が。!?なんじゃこりゃ!」
劉虎龍「船を丸々食糧庫に。こっちは船丸々武器庫に。こうしておけば、何があっても大丈夫い!」
笑顔でピースサインを向ける青年。
なんとも奇抜な策である。
呉敦「もはや、この人が上に立つべきなのでは?」
劉虎龍「それはごめんだなぁ。上に立つと戦に行けないじゃないか。それで悲しい顔をする父上を見てるとね。僕は戦場でこそ輝けるのさ。ワッハッハ」
尹礼「寧ろ、我々にとってこんなに心強いことはない」
孫康「訂正しよう。貴殿は天才だと」
劉虎龍「嫌だなぁ。こんなのまだまだ序の口だよ。さ~て、ここをどうしても落としたい曹洪さん。次はどんな策を見せてくれるのかなぁ?僕、ワクワクが止まらないよ」
ニコニコしながら動向を見つめる青年に周りは、少し引いていた。
戦争を楽しむその姿勢は、時代が違えば間違いなくサイコパス的な思想である。
曹洪「えぇい!船は無いのか!船は!」
曹休「叔父上、それが。全て、1人の人間が買い占めたそうで。それに船に乗れたとしても不慣れな我らが城へと到達できるか」
張既「してやられましたな。まさか水攻めで来ることを予測して、あらかじめ対策してくるとは。素直に敵に敬服するしかない」
曹洪「呂布が居ない下邳を落とせぬなど恥ぞ。何としても船を手に入れるのだ!無かったら作れ!作るのだ!」
曹休「無茶な。作れたとしてもイカダのような不安定なものしか」
曹洪「それで構わん!乗り込みさえすれば、どうとでもなる!」
張既「待たれよ。冷静さを欠いてはなりませんぞ。ここは水攻めを解き、水が引いてから再度攻めるのが良いかと」
曹洪「それにどれぐらいの日数がかかる?」
張既「焦りは禁物ですぞ」
曹洪「こちらは強行軍なのだ!食糧のことも考えねばならん。悠長なことなどできん」
曹休「叔父上、どうしたんだ。そんなの叔父上らしく無い。ここは、冷静に水が引くのを待つべきだ。失敗は誰にでもあるじゃないか」
曹洪「ぐぬぬ。もう良い。わかった。少し、頭を冷やしてくる(徐州を奪い、鮑信と挟撃して、劉義賢を討つ。そうすれば蜀漢に大きな痛手を与えられたというに。こんな方法で水攻めを回避しようとは。この城の守将は一体何者だ)」
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