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5章 天下統一
青州攻防戦(起)
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青州方面魏軍総大将を仰せつかった鮑信が平原城の攻撃を開始する。
先鋒は于禁の率いる4万の兵に補佐をする鮑信の息子、鮑卲の3万と鮑勛の3万、合わせて10万である。
守る青州守備隊の兵は、1000人。
戦力差は100倍。
直ぐに落ちるものと思われるこの戦の主導権を握ったのは。
関索「軍神の子、関索、参る」
于禁騎兵隊A「于禁様、門が開いて、何か突撃してきます!」
于禁「そうか。命知らずな馬鹿もいたものだ。冷静に対処して、その首を打ち取ってやるのだ」
于禁騎兵隊A「はっ!」
この様子を城壁に立ち見つめる義賢。
士仁「殿、良かったのですか?」
義賢「何がだ?」
士仁「関索殿の出陣をお認めになったことです」
義賢「なーに。圧倒的戦力差で、驕り高ぶる奴らの機先を制してやろうと思ってな」
士仁「殿のこと。何か考えあってのことだとは思いますが」
義賢「フッ。5百もの兵が居なくなって不安か?」
士仁「そのようなことは」
関索は城から打って出ては、戻るを何度も繰り返した。
関索「鬼さん、こっちだぜ」
王桃「あのぐらいの兵、そのまま当たってはダメか?」
花鬘「脳筋で行っちゃおうよ」
関索「叔父上も言ってただろ。頭を使えって。これで敵をイライラさせてやるんだ」
追いかけてくる于禁の騎兵隊は、追いかけた先で待ち構えている王悦と鮑三娘の弓兵隊の攻撃を受け、パニックに陥り逃げ帰る。
これを数度繰り返していた。
于禁騎兵隊A「ハァ。ハァ。ハァ。于禁様、申し訳ありません。あの男、とても早い馬に乗っていて、追いかけた先で、伏兵に遭い。兵を少し失いました」
于禁「そうか。報告御苦労だった。休むが良い」
于禁騎兵隊A「はっ」
于禁は考え込む。
于禁「敵は何を考えている?何度も突撃と撤退を繰り返すなど訳がわからん。いや、こちらに少なからず被害は出ている成果は上げているといえよう。明日からはもっと警戒するべきか」
だが翌日、関索は于禁の裏の裏を読んだとばかりに城から出ない。
関索「よーし、今日はみんな休養日だぞ」
王桃「関索、お前いったい何がしたいんだ?」
関索「王桃、そんな詰め寄らないでくれ。それに、怒ったらせっかく可愛い顔が台無しだぞ」
王桃「か、可愛い。そ、そうか。すまない」
花鬘「関索~。何で、何度も城から打って出て戻るを繰り返すのだ?」
関索「花鬘は良いところに気付いたなぁ。ご褒美に頭、ナデナデしてあげよう」
花鬘「わーい」
関索「敵は大多数だろ?俺が今やってるのは、叔父上が何かで教えてくれた戦法で、確かゲリラ戦法って言うんだ。要は、大多数でもこっちを追いかけてくるのは少数になるだろ?それを確実に叩いて数を減らすってやり方だ」
王悦「成程、確かに理に適っているかと。それに姉さん、このやり方、見覚えありませんか?」
王桃「言われてみれば。父上もよくこんな方法で敵を誘き寄せては撃退していたな」
王悦「あれってちゃんと意味があったのが今になってわかるなんてね」
王桃「そ、そうだな」
鮑三娘「関索、それはわかったけどなら今日は何でそれをしないわけ?」
関索「昨日と同じことをしたら損害を受けるのはこっちだよ。だから今日のお昼は、皆んなで英気を養って、早めに寝よう。そしてそうだなぁ。今日は夜襲を仕掛けようか」
于禁隊は必要以上に警戒していたこともあって騎兵の割に進軍速度が遅かった。
その結果、後ろに続く鮑卲と鮑勛の歩兵と早い段階で合流することとなる。
鮑卲「于禁将軍にしては珍しく動きが鈍いですね」
于禁「鮑卲様か。申し訳ござらん。敵が城から打って出て逃げるを繰り返してきたことで、必要以上に警戒した結果歩みが遅くなった」
鮑勛「兵の損失は?」
于禁「軽微だが被害が出ている」
鮑卲「敵も策略家ですね」
于禁「うむ。しかし、今日は全くと言って良いほど沈黙していた。これをもう何もないと考えて良いものか」
鮑卲「そういうのは大体1日しか通用しないと考えたのかと。ここはゆっくりと休養して、早朝進軍を開始するのが良いかと」
于禁「ふむ。そういうものか」
こうして于禁たちは少し早いが進軍を停止し野営を始める。
そして、気を張っていたこともあり、皆が眠りについてしまったのである。
パチパチパチと何かが燃える音で目を覚ます于禁。
于禁「この騒ぎは一体?この焦げ臭い匂いは!?」
于禁騎兵隊A「火を火を消せ!上ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ誰か誰か俺の身体の火を消して、消し、て」
鮑卲「于禁将軍、御無事でしたか。してやられました。進軍の疲れもあって、皆が深い眠りに。そこを夜襲され、敵は逃げて行きましたがこの惨状です」
于禁「そうか。必要以上に警戒したことが仇となったか。被害は?」
鮑勛「馬が1万と食糧の半分、兵が5千ほど」
于禁「大損害だな」
鮑卲「やはり父上も言っていた通り、劉義賢は恐ろしい男かと」
于禁「うむ」
その頃、関索たちは。
王桃「このようなやり方は好かん。真正面から当たってことであろう?」
関索「そうは言ってもこちらは少数。向こうは大多数。少しでも減らさないと。俺は王桃たちが敵の慰み物になんてしたくないからな」
王桃「馬鹿者、そんなことされたら舌を噛み切って死んでやる」
関索「それはやめるんだ。生きてさえいればまた再会できる。絶対に死ぬなんて言うな」
王桃「わ、わかったからそんな悲しそうな顔をするな関索」
王悦「姉さんがタジタジなんてね」
鮑三娘「まぁ、でもわからなくもないわ。少数での戦い方をしっかりと学んでいきましょ」
花鬘「圧倒的な武力が無い戦いもあるのだ~」
この報告を聞いた劉義賢はほくそ笑む。
戦の主導権は完全に蜀漢側に転がり込んできていたからである。
先鋒は于禁の率いる4万の兵に補佐をする鮑信の息子、鮑卲の3万と鮑勛の3万、合わせて10万である。
守る青州守備隊の兵は、1000人。
戦力差は100倍。
直ぐに落ちるものと思われるこの戦の主導権を握ったのは。
関索「軍神の子、関索、参る」
于禁騎兵隊A「于禁様、門が開いて、何か突撃してきます!」
于禁「そうか。命知らずな馬鹿もいたものだ。冷静に対処して、その首を打ち取ってやるのだ」
于禁騎兵隊A「はっ!」
この様子を城壁に立ち見つめる義賢。
士仁「殿、良かったのですか?」
義賢「何がだ?」
士仁「関索殿の出陣をお認めになったことです」
義賢「なーに。圧倒的戦力差で、驕り高ぶる奴らの機先を制してやろうと思ってな」
士仁「殿のこと。何か考えあってのことだとは思いますが」
義賢「フッ。5百もの兵が居なくなって不安か?」
士仁「そのようなことは」
関索は城から打って出ては、戻るを何度も繰り返した。
関索「鬼さん、こっちだぜ」
王桃「あのぐらいの兵、そのまま当たってはダメか?」
花鬘「脳筋で行っちゃおうよ」
関索「叔父上も言ってただろ。頭を使えって。これで敵をイライラさせてやるんだ」
追いかけてくる于禁の騎兵隊は、追いかけた先で待ち構えている王悦と鮑三娘の弓兵隊の攻撃を受け、パニックに陥り逃げ帰る。
これを数度繰り返していた。
于禁騎兵隊A「ハァ。ハァ。ハァ。于禁様、申し訳ありません。あの男、とても早い馬に乗っていて、追いかけた先で、伏兵に遭い。兵を少し失いました」
于禁「そうか。報告御苦労だった。休むが良い」
于禁騎兵隊A「はっ」
于禁は考え込む。
于禁「敵は何を考えている?何度も突撃と撤退を繰り返すなど訳がわからん。いや、こちらに少なからず被害は出ている成果は上げているといえよう。明日からはもっと警戒するべきか」
だが翌日、関索は于禁の裏の裏を読んだとばかりに城から出ない。
関索「よーし、今日はみんな休養日だぞ」
王桃「関索、お前いったい何がしたいんだ?」
関索「王桃、そんな詰め寄らないでくれ。それに、怒ったらせっかく可愛い顔が台無しだぞ」
王桃「か、可愛い。そ、そうか。すまない」
花鬘「関索~。何で、何度も城から打って出て戻るを繰り返すのだ?」
関索「花鬘は良いところに気付いたなぁ。ご褒美に頭、ナデナデしてあげよう」
花鬘「わーい」
関索「敵は大多数だろ?俺が今やってるのは、叔父上が何かで教えてくれた戦法で、確かゲリラ戦法って言うんだ。要は、大多数でもこっちを追いかけてくるのは少数になるだろ?それを確実に叩いて数を減らすってやり方だ」
王悦「成程、確かに理に適っているかと。それに姉さん、このやり方、見覚えありませんか?」
王桃「言われてみれば。父上もよくこんな方法で敵を誘き寄せては撃退していたな」
王悦「あれってちゃんと意味があったのが今になってわかるなんてね」
王桃「そ、そうだな」
鮑三娘「関索、それはわかったけどなら今日は何でそれをしないわけ?」
関索「昨日と同じことをしたら損害を受けるのはこっちだよ。だから今日のお昼は、皆んなで英気を養って、早めに寝よう。そしてそうだなぁ。今日は夜襲を仕掛けようか」
于禁隊は必要以上に警戒していたこともあって騎兵の割に進軍速度が遅かった。
その結果、後ろに続く鮑卲と鮑勛の歩兵と早い段階で合流することとなる。
鮑卲「于禁将軍にしては珍しく動きが鈍いですね」
于禁「鮑卲様か。申し訳ござらん。敵が城から打って出て逃げるを繰り返してきたことで、必要以上に警戒した結果歩みが遅くなった」
鮑勛「兵の損失は?」
于禁「軽微だが被害が出ている」
鮑卲「敵も策略家ですね」
于禁「うむ。しかし、今日は全くと言って良いほど沈黙していた。これをもう何もないと考えて良いものか」
鮑卲「そういうのは大体1日しか通用しないと考えたのかと。ここはゆっくりと休養して、早朝進軍を開始するのが良いかと」
于禁「ふむ。そういうものか」
こうして于禁たちは少し早いが進軍を停止し野営を始める。
そして、気を張っていたこともあり、皆が眠りについてしまったのである。
パチパチパチと何かが燃える音で目を覚ます于禁。
于禁「この騒ぎは一体?この焦げ臭い匂いは!?」
于禁騎兵隊A「火を火を消せ!上ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ誰か誰か俺の身体の火を消して、消し、て」
鮑卲「于禁将軍、御無事でしたか。してやられました。進軍の疲れもあって、皆が深い眠りに。そこを夜襲され、敵は逃げて行きましたがこの惨状です」
于禁「そうか。必要以上に警戒したことが仇となったか。被害は?」
鮑勛「馬が1万と食糧の半分、兵が5千ほど」
于禁「大損害だな」
鮑卲「やはり父上も言っていた通り、劉義賢は恐ろしい男かと」
于禁「うむ」
その頃、関索たちは。
王桃「このようなやり方は好かん。真正面から当たってことであろう?」
関索「そうは言ってもこちらは少数。向こうは大多数。少しでも減らさないと。俺は王桃たちが敵の慰み物になんてしたくないからな」
王桃「馬鹿者、そんなことされたら舌を噛み切って死んでやる」
関索「それはやめるんだ。生きてさえいればまた再会できる。絶対に死ぬなんて言うな」
王桃「わ、わかったからそんな悲しそうな顔をするな関索」
王悦「姉さんがタジタジなんてね」
鮑三娘「まぁ、でもわからなくもないわ。少数での戦い方をしっかりと学んでいきましょ」
花鬘「圧倒的な武力が無い戦いもあるのだ~」
この報告を聞いた劉義賢はほくそ笑む。
戦の主導権は完全に蜀漢側に転がり込んできていたからである。
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