えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

文字の大きさ
703 / 821
5章 天下統一

青州攻防戦(結)

しおりを挟む
 敵軍の総攻撃に浮き足立つ平原城内。
 士仁は郝昭に劉義賢からの言葉を伝えた。

 郝昭「士仁殿、本当に太守様がこの子たちを下げるようにって言ったのかい?」

 士仁「あぁ。敵の守りに対して、自律駆動型連弩車での対処が難しくなったと。ここからは投石にて歩兵の数を減らしにかかるとのことだ」

 郝昭「ちょっと待って欲しい!確かにがっちり固めた敵に対してこの子たちは脆弱かもしれない。だけど、このまま城壁の上にあるという優位を失わせるのには僕は反対だ」

 士仁「では、殿の命令を無視すると?」

 郝昭「そうでは無いよ。僕にも考えがある。太守様に伝えて欲しい。この子たちによる援護射撃の許可を」

 士仁「無駄撃ちで資源を無駄にすることを殿は決して望まない!」

 郝昭「それでもだ。この子たちがこんなことぐらいで、後ろに下げさせられるのには我慢ならないよ」

 士仁「意思は固いか。わかった。進言するだけしよう。だが許可があるまで撃つことは許さぬ。わかったな?」

 郝昭「わかったよ」

 同じ頃、范疆も殿からの言葉を郭淮に伝えていた。

 范疆「郭淮~いるだか~?」

 郭淮「そんなに大声を出さなくてもここに」

 范疆「いただか!殿からの指令を持ってきただ~」

 郭淮「この至近距離で声を張り上げないでも聞こえていますよ」

 范疆「敵の歩兵隊目掛けて石の雨を降らしてやるだ~」

 郭淮「確かにあれでは、郝昭殿には荷が重いと。承知した。范疆殿は、直ぐに太守様の元に戻られよ」

 范疆「わかっただよ~」

 郭淮「えーゴホン。それでは、投石にて、援護を開始する。皆の者、ありったけの石を飛ばすのだ!」

 参加する民たち「えいえいおー!」

 連弩車と違い発石車を完全に自律駆動型にすることは不可能だった。
 やはりどうしても石を乗せる人員を削減することはできなかったのだ。
 そのため、この安全なところに志願してくれた民を振り分けることにした。
 その頃、張達は地下を掘るときにゴロゴロと出てきた石を採掘に従事する民たちと共に、さっさと運び込んでいた。

 張達「今になって、合間合間に石を保管してるところを作っていて良かった」

 採掘従事者A「だから言ったじゃないっすか。例え石でも捨てるのは勿体無いと」

 採掘従事者B「俺たちは穴を掘って、お給金も貰えて万々歳ですが。劉丁様はそうはいかねぇ。いつか必要になると思ってたんですよ」

 張達「お前たちはどうしてそこまで殿に?」

 採掘責任者「いつかはここに鉄で動く機会を走らせたいとか言い出す馬鹿ですよあの人は。そんな面白いことに関われるってんなら穴掘りも捨てたもんじゃねぇ。それにあの人は金払いが良いんだ。俺たち日陰ものに勿体ねぇぐらいな。おいオメェらキビキビ働けよ。あの人が死んだら俺たちの夢も潰えるんだからよ」

 採掘従事者C「分かってますよ頭領。おい、次々運んで、投石の前にいる民にまで届けんぞ」

 さらに補足すると流石に石の調達に関して当てのなかった調達だったが、穴を掘った時にゴロゴロとあった石に思い当たり、責任者と話をしてのだが二つ返事で引き受けてくれて、このように運んでいるのである。
 その頃、何も割り当てられなかったことに激怒する関索は、劉義賢の元を訪れていた。

 関索「叔父上、酷いじゃないか!皆には割り当てして、僕には何か無いのか。僕だって、軍神関羽の子なんだぞ」

 義賢「はぁ。お前は怒鳴り込んできて開口一番、言うことがそれか?昨夜もお楽しみであったのだろう?軍議に寝過ごしたお前が悪いのでは無いか?」

 関索「こ、こっちは毎日4人も相手にしてるんだ。か、枯れ果てた叔母上だけを相手にしてるわけでは。イッテェェェェェェェ」

 董白「あら、こんなところにゴミがと思ったら関索だったわ。全く枯れ果てた女って誰のことかしらね?私はこんなに美しいのに。ねぇ貴方たちもそう思うわよね?」

 王桃「も、も、勿論だ。董白様ほど美しい女性のお会いしたことは無い」

 鮑三娘「も、も、勿論です。だから、私たちはこの馬鹿とは関係ありません。許してください」

 王悦「しっかりと関索様に言い聞かせますので」

 花鬘「皆、どうしたの?董白ちゃんは董白ちゃんだよ~」

 董白「宜しい」

 義賢「というか!何故董白がまだここにいる!」

 董白「あら、旦那様が命をかけて戦っているのに逃げ出す妻が居ると?残念だったわね。言うことを聞くふりをして、隠れていたのよ」

 義賢「お前と言う奴は。まぁ良い。それなら寂しい夜を1人で過ごす必要はなかったでは無いか」

 董白「さ、寂しいだなんて。良い歳した大人が全く(めちゃ嬉しい~どうしよ~約束破ってめちゃくちゃ怒られるかなって思ってたのに~)」

 義賢「ありがとな董白。それで、関索。お前にも勿論頼みたいことがある。敵は歩兵だ。分かっているな?」

 関索「成程。僕の騎兵で蹴散らしてこいってことだね。任せてよ。また機先を制してくるよ」

 王桃「事はそう簡単では無かろう」

 王悦「姉様の言う通りです。今回はもう攻め込まれています。城から打って出るのは如何なものかと」

 関索「チッチッチ。甘いなぁ。叔父上、ヒットアンドアウェイですよね?」

 義賢「フッ。分かってるじゃ無いか。敵の防備の薄いところを攻撃して、蹴散らして戻れ。それを繰り返せ。敵は守りに労力を割いてる。必ず隙があるはずだ。こちらの投石も一定だ。それも合わせろ」

 鮑三娘「ねぇ王桃?」

 王桃「なんだ?」

 鮑三娘「多分、叔父様。私のお父様よりも精神強いと思う。2度と挑まない方がいいよ」

 王桃「も、勿論だ」

 花鬘「あー、あのよくわからないヒットアンドアウェイかぁ。習った気はするけど全然覚えてないや~」

 義賢「花鬘はずっと関索のことを目で追いかけていたな」

 花鬘「そうなの~」

 どちらも譲れない青州攻防戦のは行方はどちらに転ぶのか。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

処理中です...