えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

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5章 天下統一

劉義賢の元を訪れる者

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 長安から変わって、ここ青州では、劉義賢の元に来訪者が訪れていた。

 曹仁「まさかこのような形で、再会するとはな。あの時はろくに礼も言えず失礼した。息子を助けてくれたこと感謝する」

 義賢「あ、はい。その節はどうも」

 曹仁を始めとした曹純・満寵といった曹操軍における最高責任者。
 蔣済を始めとして、牛金に王双といった補佐。
 その前で笑みを浮かべる劉虎龍歌劇団のメンバー。
 こんなイレギュラーの状況を前に固まるしかない劉義賢。

 劉虎龍「そんなに驚かなくても良いじゃん叔父さん」

 義賢「一体全体、どうなったら長安で戦が始まる前にこんなことになるんだ!」

 劉虎龍「いやぁ。まぁこの魔王である僕が勇者など捻り潰せるほどの天才すぎたのがいけないのだよ。ワーハッハッハッ」

 義賢「ハァ。こんなことならお前にファンタジー小説など読み聞かせるのではなかった。すっかり厨二病に磨きをかけよって」

 簡麗美「いやぁぁぁぁぁ勇者様ーーーー」

 義賢「いや、麗美も乗らなくて良い!全く」

 満寵「まぁ愉快な人たちではあります」

 義賢「甥っ子のお見苦しいところをお見せして申し訳ない。改めて、どういった御用件だろうか?捕虜にしては誰1人として縛られていない様子とお見受けするが」

 牛金「ケッ。本当にこんな奴がこのおっかなびっくりの魔王とやらよりも強いのかねぇ」

 王双「牛金、やめておけ。この目の前にいる神様とやらの叔父としての威厳が無くなってしまうだろ。ププッ」

 いや、お前らまで毒されてるんかい!
 というかどっちかというとお前ら、山賊とかの小物系の悪役だからな。
 魔王お抱えの四天王とかそういうのじゃねぇから!
 俺、俺は勿論、劉虎龍にファンタジー世界を教えた神だよ。
 何だよ。
 なんか文句ある?
 この世界にはファンタジーが存在してないんだから俺が神でいいの!
 わかった?
 わかりましたか?
 という設定でお願いします。
 どうか、お願いします。
 やれやれ、だがこの目の前の不遜な奴らに劇の醍醐味とやらを教えてやらねばな。

 義賢「成程、魔王も随分と無能な部下をお持ちのようだ。このような小物を集めて、神である我に挑もうとは。魔王も勇者も神である我が作りし輪廻の輪からは逃れられぬと知れ!それは同様にお前らもなぁ」

 牛金「ぐ、ぐわぁぁぁぁぁぁぁ」

 王双「ど、ひゃぁぁぁぁぁぁぁ」

 意外とノリの良い奴らじゃないか。
 今度の劇場公演で、本格的に出てもらうか。
 って、何やってんだよ俺!
 大人気が無さすぎるだろ。

 劉虎龍「ぐっ流石は神と崇められる男。ぽっと出のアイツらでは役不足であったか」

 いや、劇してるんじゃねぇから!
 乗った俺が悪いんだけど。
 そうじゃねぇから。
 お前が乗ったら続けないといけなくなるだろうが!

 義賢「フン。所詮貴様らは我が作りし一存在に過ぎぬ。わかったら再び輪廻の輪に戻るが良い!」

 劉虎龍「あががががが。つ、次こそは。次こそは、神を打倒してみせるからなぁぁぁぁぁ」

 どこからともなく拍手が巻き起こる。
 拍手をしているのは観客のように振る舞っている曹仁に曹純に曹泰、満寵に蔣済である。
 いや、見せ物じゃねぇよ!
 悪ノリした俺も悪いけどよ!
 ま、とにかくこれで本題に入れそうで良かった。

 曹泰「蜀漢ではこんな楽しいこともしているんですね父上」

 曹仁「そ、そうだな。これが心の豊かさという奴であろう」

 曹純「兄上、今度俺たちもやってみよう。殿に進言してさ」

 曹仁「殿に?ま、まぁ。この見せ物を覚えて披露すれば殿も笑ってくれるか」

 満寵「えぇ、必ず。それにしてもそのふぁ?ふぁんたじー?というのは何でしょうか?」

 劉虎龍「よく聞いてくれたね満寵君!ファンタジーというのはね。人と違う別の上位存在がいて、それを総称して魔族と言うんだ。まぁ、簡単に言うと言葉を話す異形の怪物たちのことね」

 満寵「は、はぁ。あの話を聞いてもさっぱりわからない。蔣済殿は?」

 蔣済「わかるわけがない。要は、本の中の世界みたいなものと違うか?」

 満寵「な、成程」

 な、成程じゃねぇよ!
 何で、話膨らませてんだよ!
 違うだろ!
 何でここにきたかの目的、忘れてんじゃねぇの?
 まぁ、おおよそ予想は付いてるよ。
 華北のことだろ?
 まぁ、俺もどうなってるかわからないし、協力できることなんて、たかが知れてるんだけど。
 それにしても、さっさと本題に入ってくれよ。
 いや、悪ノリしたお前が悪いだって。
 そんなこと言うなよだいだら。
 わかった。
 わかったって。
 そうだよなファンタジーの神なんて、名乗ったから拗ねてるんだよな。
 悪かったって。
 な?
 許してくれるのか。
 へっチョロくて助かるぜ。

 曹仁「そうであった。劉義賢殿に無理を承知で頼みたいことがあって、この場に参ったのであった」

 あっ。
 思い出してくれたんですね。
 はーい。
 お話聞きまーす。

 義賢「聞かせてもらおう」

 曹仁「華北にて捕まっている殿の御子息である曹植様の奪還に協力していただきたい!」

 へっ、どういうこと?
 いくつか死んで見てみた世界線を頭に思い起こす。
 うん。
 こんな展開は知らない。
 そもそも、この後濮陽で陳宮が暴走して、壊滅的打撃を受けるって未来が直近に見た1番ヤバい展開なのだ。
 何故か知らないけどこうして濮陽の居残り組と協力関係になってたから回避されてるんだと思ったけど。
 見回してみると陳宮が居ない。
 成程、只事ではない気がしてきた。
 これは引き受けた方が良い。
 そうだよなだいだら?
 軽く心臓が跳ねた。
 最近、念話は疲れるとか言って、こうやって胸を掻き乱してくる。
 まぁこの跳ねる感じは、イエスということだ。

 義賢「承知した。この青州において、曹仁殿と俺との間で特別救出作戦チームを組むこととする」

 曹仁「ちーむ?というのは分からんが協力してくれることに感謝する」

 横文字って便利なんだけど文字の読み聞かせで簡単なものを浸透させた蜀漢だけでしか通じないのは不便だよなぁ。
 まぁ、そんなことよりも捕まってるなら助けてやらないとな。
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