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1章 第六天魔王、異世界に降り立つ
14話 ナバル郡とタルカ郡の侵攻軍
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アイランド公国がガルディアン王国の要請に従い、マジカル王国と一戦交え、敗北した後のこと。
ナバル郡を治めるドレッド・ベアとタルカ郡を治めるデイル・マルは、ルードヴィッヒ14世を誑かしていた。
編み込んだ髪の毛に剃り込みを入れた筋肉隆々の男がドレッド・ベアである。
「ルードヴィッヒ陛下、ロルフ・ハインリッヒが討ち死にしたとのことです」
頭の上に金の冠を乗せ、両指に煌びやかな指輪を付け、肥え太った身体で、鎮痛な面持ちでドレッドの言葉を受けたのは、ルードヴィッヒ14世。
アイランド公国の王であり、王の元に全ての力を集権する君主制ではなく、郡それぞれに統治を任せる共和制を取っているが王だけは、世襲制で14代目の王である。
「ロルフが討たれたのか、、、またオダ郡に被害を被らせてしまったな。申し訳ない」
王の言葉など意にも介さず言う男、狐のような目をしていて、見るからに陰険そうな男がデイル・マルである。
「まぁ、それが1番兵力の出せないところの務めですからねぇ。ヒヒッ。それより、跡を継ぐのは、奴隷制に反対しているというお馬鹿さんなのは問題ではありませんかね陛下。ほっておいたら反乱が起きますなぁ。ヒヒッ」
「それは、困る。どうしたら良いのだ?」
悩むルードヴィッヒ14世に囁くドレッドと後押しするデイル。
「陛下、簡単ですぞ。この国は郡主制なのですから、我らに一言、反乱を鎮圧せよと命じれば良いのです」
「ヒヒッ。陛下のためなら喜んで、制圧しますよ。ヒヒッ」
2人の言葉を受けても悩むルードヴィッヒ14世に決心を促すドレッド。
「それに陛下が気に入っていらしたマーガレットも未亡人になりました。今なら陛下の側妃にできるやも」
「ヒヒッ。それにオダ郡には、可愛い女が多いと聞きますよ。今ならそれも全て陛下の物なんですがね。陛下が一言、我らにオダ郡の反乱を鎮めよと命を与えてくださるだけで良いんですよ。ヒヒッ」
「マーガレットか。適齢期の女がむざむざ歳を取るのは、もったいないなぁ。ワシに飛び火することはないと断言できるか?」
ルードヴィッヒの言葉に2人とも頷く。
「そうか。では、ドレッドにデイルよ。オダ郡の反乱を速やかに制圧するのだ」
「ははぁ(これでオダ郡は、俺のものだ。悪く思うなよロルフ。とっととくたばるからだぜ)」
「決心してくださいましたか。ヒヒッ(女は、陛下に献上して、イキの良い男どもは、奴隷として、一生働かせてやれば、タルカの成長に。大いに利用させてもらいますよぉ)ヒヒッ」
「本当にマーガレットはワシにくれるのであろうな?お前たち2人のどちらかが迎え入れるなんてことは無いんだな?」
尚も不安そうにするルードヴィッヒ14世。
「心配めさるな。その女に興味などない」
「同じく、ヒヒッ」
「その言葉に嘘があった時、許さぬぞ」
「心得ております(女など戦の役にも立たん。領土を奪い、取り立てる税で、ナバル郡を大きくし、いつかその油まみれの腹を叩き斬って、王に成り上がってやる)」
「同じく。ヒヒッ(その女だけで良いならくれてやりますよ。ヒヒッ。今は即戦力を求めていますからな。働き盛りの男の奴隷というね。ヒヒッ)」
マーガレットをモノにできると聞き、ニヤケ顔が治らないルードヴィッヒ14世と対照的に、オダ郡を奪い、領土の拡大と取り立て税で己の私腹を肥やそうとするドレッド、失った戦力の補充のためオダ郡の男を奴隷にしようとしているデイル。
こうしてわ三者三様の思惑が、オダ郡を治めることとなった若き領主サブロー・ハインリッヒに迫っていた。
ドレッドはナバル郡に帰ると、すぐさま動ける兵をかき集める。
その数2千で、内訳は歩兵千、騎兵5百、弓兵5百である。
それらを率いるのは、ドレッドの信頼厚い将軍、マッシュ・キノッコ。
その風貌は、髪の毛と眉毛と口髭と顎髭の全てが繋がっていて、毛深く、胸板空いた服からは、胸毛がもっさりと、腕の毛や足の毛もびっしりと生えて、その毛量の多さは、異常だが、2本の大斧の使い手である。
「マッシュ、此度の戦、任せるぞ」
「ガハハ。オダ郡の攻略をよく陛下が納得しましたな」
「マーガレットで釣った」
「成程、相変わらずご執心でしたか?」
「あぁ、あの油まみれの手で握られて、頼むぞ頼むぞって鬱陶しかったわ」
「ガハハ。年々アイランド公国は疲弊するばかりですからな。今こそ、ドレッド様の力が必要なのでしょうな。天も見ておられるのだろう。都合よくロルフ殿が討ち死にしたのですからな」
「あぁ、本当にな。天は、我に味方している。オダ郡を取り、ナバル郡を更に強くするぞ」
「ならば、戦の途中で、タルカにも何かあれば尚良いですな」
「流石マッシュよ。不幸な事故に見せかけて」
「ガハハ。任されましたぞ。それにしてもこういう時、将軍のいないタルカ郡は可哀想ですな」
「まぁ、ナバル郡も俺とマッシュだけだがな」
「そうですな。まぁ、全て手筈通りにしますわい」
「頼んだ」
ドレッドは、共同を求めておきながら、戦の最中に事故に見せかけて、デイルの暗殺をマッシュに指示したのだ。
しかし、この3人とも、ガキと侮っているサブロー・ハインリッヒの掌の上であった。
サブローは、戦場となるであろう場所を見渡せる丘の上にいた。
「若様のことを追ってきたのは、2百程でした。ヤス様の50歩兵、タンダザーク様の50騎兵、ロー様の精鋭槍兵百です」
「ほぉ。2百も居れば充分よ。マリー、手筈通りに、魔法で狙うのは、ナバル郡の兵のみじゃ」
「かしこまりました」
「2百の兵は、タルカ郡の奴らへの奇襲用に待機じゃな」
やはり、ワシを追ってきたのは、ローとヤスとタンザクか。
予想通り過ぎて、笑みが溢れるな。
6百のうち2百しかワシのことを認める兵が居ないということか。
忠臣は得難いものよな。
2百も居れば、ワシの策の前には充分よと言いたいところじゃが、魔法を使えるマリーが居てくれて助かったといえよう。
マジカル王国の魔法の凄さはこの目で見て、身に沁みたからな。
さぁ、来るが良い。
ワシを侮ったこと、後悔させてくれるわ!
ナバル郡を治めるドレッド・ベアとタルカ郡を治めるデイル・マルは、ルードヴィッヒ14世を誑かしていた。
編み込んだ髪の毛に剃り込みを入れた筋肉隆々の男がドレッド・ベアである。
「ルードヴィッヒ陛下、ロルフ・ハインリッヒが討ち死にしたとのことです」
頭の上に金の冠を乗せ、両指に煌びやかな指輪を付け、肥え太った身体で、鎮痛な面持ちでドレッドの言葉を受けたのは、ルードヴィッヒ14世。
アイランド公国の王であり、王の元に全ての力を集権する君主制ではなく、郡それぞれに統治を任せる共和制を取っているが王だけは、世襲制で14代目の王である。
「ロルフが討たれたのか、、、またオダ郡に被害を被らせてしまったな。申し訳ない」
王の言葉など意にも介さず言う男、狐のような目をしていて、見るからに陰険そうな男がデイル・マルである。
「まぁ、それが1番兵力の出せないところの務めですからねぇ。ヒヒッ。それより、跡を継ぐのは、奴隷制に反対しているというお馬鹿さんなのは問題ではありませんかね陛下。ほっておいたら反乱が起きますなぁ。ヒヒッ」
「それは、困る。どうしたら良いのだ?」
悩むルードヴィッヒ14世に囁くドレッドと後押しするデイル。
「陛下、簡単ですぞ。この国は郡主制なのですから、我らに一言、反乱を鎮圧せよと命じれば良いのです」
「ヒヒッ。陛下のためなら喜んで、制圧しますよ。ヒヒッ」
2人の言葉を受けても悩むルードヴィッヒ14世に決心を促すドレッド。
「それに陛下が気に入っていらしたマーガレットも未亡人になりました。今なら陛下の側妃にできるやも」
「ヒヒッ。それにオダ郡には、可愛い女が多いと聞きますよ。今ならそれも全て陛下の物なんですがね。陛下が一言、我らにオダ郡の反乱を鎮めよと命を与えてくださるだけで良いんですよ。ヒヒッ」
「マーガレットか。適齢期の女がむざむざ歳を取るのは、もったいないなぁ。ワシに飛び火することはないと断言できるか?」
ルードヴィッヒの言葉に2人とも頷く。
「そうか。では、ドレッドにデイルよ。オダ郡の反乱を速やかに制圧するのだ」
「ははぁ(これでオダ郡は、俺のものだ。悪く思うなよロルフ。とっととくたばるからだぜ)」
「決心してくださいましたか。ヒヒッ(女は、陛下に献上して、イキの良い男どもは、奴隷として、一生働かせてやれば、タルカの成長に。大いに利用させてもらいますよぉ)ヒヒッ」
「本当にマーガレットはワシにくれるのであろうな?お前たち2人のどちらかが迎え入れるなんてことは無いんだな?」
尚も不安そうにするルードヴィッヒ14世。
「心配めさるな。その女に興味などない」
「同じく、ヒヒッ」
「その言葉に嘘があった時、許さぬぞ」
「心得ております(女など戦の役にも立たん。領土を奪い、取り立てる税で、ナバル郡を大きくし、いつかその油まみれの腹を叩き斬って、王に成り上がってやる)」
「同じく。ヒヒッ(その女だけで良いならくれてやりますよ。ヒヒッ。今は即戦力を求めていますからな。働き盛りの男の奴隷というね。ヒヒッ)」
マーガレットをモノにできると聞き、ニヤケ顔が治らないルードヴィッヒ14世と対照的に、オダ郡を奪い、領土の拡大と取り立て税で己の私腹を肥やそうとするドレッド、失った戦力の補充のためオダ郡の男を奴隷にしようとしているデイル。
こうしてわ三者三様の思惑が、オダ郡を治めることとなった若き領主サブロー・ハインリッヒに迫っていた。
ドレッドはナバル郡に帰ると、すぐさま動ける兵をかき集める。
その数2千で、内訳は歩兵千、騎兵5百、弓兵5百である。
それらを率いるのは、ドレッドの信頼厚い将軍、マッシュ・キノッコ。
その風貌は、髪の毛と眉毛と口髭と顎髭の全てが繋がっていて、毛深く、胸板空いた服からは、胸毛がもっさりと、腕の毛や足の毛もびっしりと生えて、その毛量の多さは、異常だが、2本の大斧の使い手である。
「マッシュ、此度の戦、任せるぞ」
「ガハハ。オダ郡の攻略をよく陛下が納得しましたな」
「マーガレットで釣った」
「成程、相変わらずご執心でしたか?」
「あぁ、あの油まみれの手で握られて、頼むぞ頼むぞって鬱陶しかったわ」
「ガハハ。年々アイランド公国は疲弊するばかりですからな。今こそ、ドレッド様の力が必要なのでしょうな。天も見ておられるのだろう。都合よくロルフ殿が討ち死にしたのですからな」
「あぁ、本当にな。天は、我に味方している。オダ郡を取り、ナバル郡を更に強くするぞ」
「ならば、戦の途中で、タルカにも何かあれば尚良いですな」
「流石マッシュよ。不幸な事故に見せかけて」
「ガハハ。任されましたぞ。それにしてもこういう時、将軍のいないタルカ郡は可哀想ですな」
「まぁ、ナバル郡も俺とマッシュだけだがな」
「そうですな。まぁ、全て手筈通りにしますわい」
「頼んだ」
ドレッドは、共同を求めておきながら、戦の最中に事故に見せかけて、デイルの暗殺をマッシュに指示したのだ。
しかし、この3人とも、ガキと侮っているサブロー・ハインリッヒの掌の上であった。
サブローは、戦場となるであろう場所を見渡せる丘の上にいた。
「若様のことを追ってきたのは、2百程でした。ヤス様の50歩兵、タンダザーク様の50騎兵、ロー様の精鋭槍兵百です」
「ほぉ。2百も居れば充分よ。マリー、手筈通りに、魔法で狙うのは、ナバル郡の兵のみじゃ」
「かしこまりました」
「2百の兵は、タルカ郡の奴らへの奇襲用に待機じゃな」
やはり、ワシを追ってきたのは、ローとヤスとタンザクか。
予想通り過ぎて、笑みが溢れるな。
6百のうち2百しかワシのことを認める兵が居ないということか。
忠臣は得難いものよな。
2百も居れば、ワシの策の前には充分よと言いたいところじゃが、魔法を使えるマリーが居てくれて助かったといえよう。
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