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2章 オダ郡を一つにまとめる
110話 戦場で死ぬことこそ本望
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クライナーとコカレロ、連合軍が撤退したのを好機と捉え、追撃を開始した。
2人ともテキーラ・バッカスに古くから仕える古参の将である。
そんな2人とテキーラ・バッカスとの付き合いは、当主を継ぐ前からである。
元々、腕の良かった盗賊である2人は、バッカス家へと盗みに入ったところをまだ青年だったテキーラ・バッカスに見つかり、交戦した。
坊ちゃん貴族と侮る2人を拳で殴り飛ばして、何故盗みなどするのか聞き、2人が義賊であること。
盗んだ品を高値で売って得たお金で貧しいものたちを助けていることを聞いた。
テキーラ・バッカスは、そんなことをして今日のように別の奴らに見つかったら大変であることを説いて、住み込みの兵として取り立て、賃金を得ることで、貧しいものたちを助ければ良いと。
貴族でありながら豪快な性格で、漢気溢れるテキーラ・バッカスに惚れた2人は、仕えることに決めた。
「フッ。あれからもう40年か。良い歳になったものだなお互い」
「あぁ。懐かしいな。お前と背中合わせで、最期に思い出すのがあの時のこととは」
「我らの死をテキーラ様は嘆かれるだろうな」
「うむ。だが命尽きるまで、主家のために戦場にて敵を葬ることこそ武将の本分」
「あぁ。悔いはない。先に行った友たちに、恥じぬように、最期まで戦い抜くのみ」
周りには、自分たちの5倍近くの屍が築かれていた。
話は少し遡り、クライナーとコカレロが追撃を開始した頃のナバルを中心としたチャルチとマリーカを含む連合軍は、偽装撤退による釣り出しが狙いだった。
「ククク。馬鹿な奴らだ。たった200程度の追撃で、天下のナバルに勝てると思うとは、な」
「サム殿、油断大敵だよ。それに200という数字は凄く気になる」
「フン。リチャードよ。とっとと配置につけ、取り囲んで潰すぞ」
「サム殿の言うとおりです叔父上。向こうも一枚岩ではなかったということかと」
「うーん。まぁ、防衛戦力を削れることに越したことはないか」
まるで袋の鼠と言わんばかりに、熱い包囲陣を敷いて、飛び込んできた追撃部隊を包囲殲滅するだけだったのだが。
追撃部隊の取った次の行動に唖然となった。
彼らは、将を真ん中に方円陣形で突撃してきたのだ。
まるで、奇襲などお見通しだと言わんばかりに。
だが、ここアイランド公国は、戦における陣形もしかり、砦などを知らないことからお分かりいただけるだろう。
だからこそ、気にせず奇襲した連合軍の被害が大打撃を受けていたのである。
そして、これを直感で行えるのがクライナーとコカレロという将である。
「フハハハハ。我が名はクライナー。圧倒的大軍で攻めてきた貴様らが退いた。何も無いと思って追撃するとでも思ったか!若造ども。これが実戦経験での差だ」
「同じく、我が名はコカレロ。我らが全滅するまでに貴様らの兵を出来るだけ減らしてくれる」
「舐めるな!ジジイどもが。ナバルの将軍であるこのサム・ライが負けるわけには行かんのだ。相手はたった200だ。とっとと取り囲んで、殺してしまえ!」
「サム殿、悪戯に兵を損耗させるのは得策じゃ無い」
「叔父上!ですがあの200は、壊滅させねばなりません。今後のためにも」
「ライアン。そんなことは、僕もわかってる!でもあの異様な陣に無策で突っ込むべきでは無いと言ってるんだ!」
リチャード・パルケスが止めるのも聞かず攻撃し、返り討ちとなって死体の山が築かれる連合軍。
「馬鹿な!?貴様ら、何をしてる!相手はたった200だぞ!潰せ潰せ潰せーーーー!!!」
「たった200などとは、舐められたものだ。俺たちは、こういうことでしか役に立てない防衛では無駄な戦力だよ。今頃テキーラ様は、さらに守りを固めてる頃さ」
「お前らは間違えたんだよ。こんな策を弄したこと自体がな」
しかし、兵力差は500倍はある。
徐々に徐々に疲れから200の兵は、数を減らしていく。
「ようやく。ようやく。残り20程になったわ。このまま押し潰して、あの城も攻め滅ぼしてくれるわ!」
そんなことを言うナバル郡の将軍であるサム・ライだが足元には、相手の10倍は超えるであろう屍が転がっていたのである。
たった200を討つために減らした兵力は2000は軽く超えていた。
「この化け物が倒れろ!」
「何かしたか?ガキ」
クライナーとコカレロの周りを固める20の兵は精鋭中の精鋭。
さらに被害が蓄積していく連合軍の兵。
クライナーとコカレロだけになる頃には、屍の数が5000を超えていた。
「フッ。全くテキーラ様に会えて、良い人生だった」
「戦場で散ることこそ我らの本分。最期の御奉公とさせていただきますぞ殿」
「えぇい。怯むな!怯むな!残りは2人だ。その首、斬り落として、ここの200の兵と共に城の前に飾りつけてやるのだ!」
20人がかりでようやくクライナーとコカレロを突き刺して、殺すことに成功したのだが、最期の抵抗に遭い、40人が薙ぎ払われた。
「サム殿、先ほどの言葉は本気か?」
「それがどうした?」
「そんなことをすれば、相手の怒りを買うことがわからないのか!」
「叔父上。僕もサム殿の言葉は、敵の士気を挫くには効果的な策と考えます」
「何を言ってるんだ!決死の覚悟で戦い抜いた彼らの死を冒涜するような真似をして、敵の士気を本気で挫けると考えているのかい?」
「フン。リチャード、貴様はまだわからんようだな。あぁいう手合いにはこれが1番心に刺さるんだ」
ワシヅ砦へと戻ってきた連合軍の兵が200の兵士の屍を地面に突き刺した杭で貫き、炎をくべる。
そう、降伏しないと次はお前たちの番だと言わんばかりに残酷な光景を見せ付けたのである。
この光景を前に、テキーラ・バッカスの瞳には怒りの炎がメラメラと灯っていた。
そして、戦友たちの変わり果てた姿に、短く『大義であった』と呟いた。
2人ともテキーラ・バッカスに古くから仕える古参の将である。
そんな2人とテキーラ・バッカスとの付き合いは、当主を継ぐ前からである。
元々、腕の良かった盗賊である2人は、バッカス家へと盗みに入ったところをまだ青年だったテキーラ・バッカスに見つかり、交戦した。
坊ちゃん貴族と侮る2人を拳で殴り飛ばして、何故盗みなどするのか聞き、2人が義賊であること。
盗んだ品を高値で売って得たお金で貧しいものたちを助けていることを聞いた。
テキーラ・バッカスは、そんなことをして今日のように別の奴らに見つかったら大変であることを説いて、住み込みの兵として取り立て、賃金を得ることで、貧しいものたちを助ければ良いと。
貴族でありながら豪快な性格で、漢気溢れるテキーラ・バッカスに惚れた2人は、仕えることに決めた。
「フッ。あれからもう40年か。良い歳になったものだなお互い」
「あぁ。懐かしいな。お前と背中合わせで、最期に思い出すのがあの時のこととは」
「我らの死をテキーラ様は嘆かれるだろうな」
「うむ。だが命尽きるまで、主家のために戦場にて敵を葬ることこそ武将の本分」
「あぁ。悔いはない。先に行った友たちに、恥じぬように、最期まで戦い抜くのみ」
周りには、自分たちの5倍近くの屍が築かれていた。
話は少し遡り、クライナーとコカレロが追撃を開始した頃のナバルを中心としたチャルチとマリーカを含む連合軍は、偽装撤退による釣り出しが狙いだった。
「ククク。馬鹿な奴らだ。たった200程度の追撃で、天下のナバルに勝てると思うとは、な」
「サム殿、油断大敵だよ。それに200という数字は凄く気になる」
「フン。リチャードよ。とっとと配置につけ、取り囲んで潰すぞ」
「サム殿の言うとおりです叔父上。向こうも一枚岩ではなかったということかと」
「うーん。まぁ、防衛戦力を削れることに越したことはないか」
まるで袋の鼠と言わんばかりに、熱い包囲陣を敷いて、飛び込んできた追撃部隊を包囲殲滅するだけだったのだが。
追撃部隊の取った次の行動に唖然となった。
彼らは、将を真ん中に方円陣形で突撃してきたのだ。
まるで、奇襲などお見通しだと言わんばかりに。
だが、ここアイランド公国は、戦における陣形もしかり、砦などを知らないことからお分かりいただけるだろう。
だからこそ、気にせず奇襲した連合軍の被害が大打撃を受けていたのである。
そして、これを直感で行えるのがクライナーとコカレロという将である。
「フハハハハ。我が名はクライナー。圧倒的大軍で攻めてきた貴様らが退いた。何も無いと思って追撃するとでも思ったか!若造ども。これが実戦経験での差だ」
「同じく、我が名はコカレロ。我らが全滅するまでに貴様らの兵を出来るだけ減らしてくれる」
「舐めるな!ジジイどもが。ナバルの将軍であるこのサム・ライが負けるわけには行かんのだ。相手はたった200だ。とっとと取り囲んで、殺してしまえ!」
「サム殿、悪戯に兵を損耗させるのは得策じゃ無い」
「叔父上!ですがあの200は、壊滅させねばなりません。今後のためにも」
「ライアン。そんなことは、僕もわかってる!でもあの異様な陣に無策で突っ込むべきでは無いと言ってるんだ!」
リチャード・パルケスが止めるのも聞かず攻撃し、返り討ちとなって死体の山が築かれる連合軍。
「馬鹿な!?貴様ら、何をしてる!相手はたった200だぞ!潰せ潰せ潰せーーーー!!!」
「たった200などとは、舐められたものだ。俺たちは、こういうことでしか役に立てない防衛では無駄な戦力だよ。今頃テキーラ様は、さらに守りを固めてる頃さ」
「お前らは間違えたんだよ。こんな策を弄したこと自体がな」
しかし、兵力差は500倍はある。
徐々に徐々に疲れから200の兵は、数を減らしていく。
「ようやく。ようやく。残り20程になったわ。このまま押し潰して、あの城も攻め滅ぼしてくれるわ!」
そんなことを言うナバル郡の将軍であるサム・ライだが足元には、相手の10倍は超えるであろう屍が転がっていたのである。
たった200を討つために減らした兵力は2000は軽く超えていた。
「この化け物が倒れろ!」
「何かしたか?ガキ」
クライナーとコカレロの周りを固める20の兵は精鋭中の精鋭。
さらに被害が蓄積していく連合軍の兵。
クライナーとコカレロだけになる頃には、屍の数が5000を超えていた。
「フッ。全くテキーラ様に会えて、良い人生だった」
「戦場で散ることこそ我らの本分。最期の御奉公とさせていただきますぞ殿」
「えぇい。怯むな!怯むな!残りは2人だ。その首、斬り落として、ここの200の兵と共に城の前に飾りつけてやるのだ!」
20人がかりでようやくクライナーとコカレロを突き刺して、殺すことに成功したのだが、最期の抵抗に遭い、40人が薙ぎ払われた。
「サム殿、先ほどの言葉は本気か?」
「それがどうした?」
「そんなことをすれば、相手の怒りを買うことがわからないのか!」
「叔父上。僕もサム殿の言葉は、敵の士気を挫くには効果的な策と考えます」
「何を言ってるんだ!決死の覚悟で戦い抜いた彼らの死を冒涜するような真似をして、敵の士気を本気で挫けると考えているのかい?」
「フン。リチャード、貴様はまだわからんようだな。あぁいう手合いにはこれが1番心に刺さるんだ」
ワシヅ砦へと戻ってきた連合軍の兵が200の兵士の屍を地面に突き刺した杭で貫き、炎をくべる。
そう、降伏しないと次はお前たちの番だと言わんばかりに残酷な光景を見せ付けたのである。
この光景を前に、テキーラ・バッカスの瞳には怒りの炎がメラメラと灯っていた。
そして、戦友たちの変わり果てた姿に、短く『大義であった』と呟いた。
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