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2章 オダ郡を一つにまとめる
123話 ハザマオカ交渉
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マッシュ・キノッコは、相手から交渉を求める白旗を見て不敵に笑う。
「フッ。ヤス、お手柄であったな。こちらから交渉を持ちかけて乗ってきた場合、ふっかけられる危険性もあったが今回はこちらがふっかける番だ」
「上手くいって良かったです」
「まぁ、ヤスにしては頑張ったんじゃねぇの?」
「タンダザークは、何もしてないけど」
「ウッセェ。今回はヤスに譲ってやっただけだっての。そもそも、俺だって窪地に閉じ込めるのは思いついてたっての!」
「後出しで思いついてたとか言われても説得力ありませんが」
「あぁ!ウッセェな。はいはい。次で挽回してやるよ」
「そう期待したいです」
ハザマオカ砦へと交渉に来たリゼット。
「お初にお目にかかる。タルカの将、リゼットだ。そちらの交渉の旗が見えず、攻めたこと先ずは謝りますよぉ。して、何を交渉したいんですかぁ?」
「このハザマオカを預かるオダの将、マッシュ・キノッコだ。交渉の旗?果て、何のことやら。交渉の旗を出したのは、そちらであったはず。戦況不利となり、交渉することがあるのはそちらなのではないか?」
「戦況不利とは、笑わせてくれますねぇ。たかだか兵が少し、罠に嵌って抜け出せなくなっただけのことじゃないですかぁ。こんなの戦況不利でもなんでもないですよぉ。交渉事が無いのであれば帰らせてもらいますがねぇ?」
「別にこちらはそれで構わないが。そもそも交渉の旗など出していないからな」
「流石、ナバルを裏切りガキなんかに尻尾を振った男の言葉は違いますねぇ」
「ナバルを裏切った?違うな俺はドレッドに見切りをつけたまでの事。そんな俺を信頼してタルカとの最前線にあるこの城を任されていることにも殿には感謝している」
「何を言おうが裏切りは裏切りに違いないんですからぁ。美化しないでくださいよぉ」
「さっきから黙って聞いていれば、交渉をしに来たのではなくこちらを煽りに来たと。そう受け取って構わんか?」
「交渉をしたいのは、そちらですよぉ。それにいいんですかぁ?主導権を握ってるのはこちらですよぉ。貴方方は頭を下げる側ですよぉ。そうですねぇ。ここから全軍撤退するなら停戦交渉に応じますよぉ」
「停戦交渉?何を勘違いしている?タンダザーク、ナイフを持ってこい」
「承知した」
タンダザークがナイフを持って戻って来る。
「使者を殺せば、どうなるかわかってるんですかぁ?」
「使者?何のことだ?捕虜の間違いであろう。ノコノコと敵の城にやってきた捕虜」
マッシュ・キノッコの圧に屈して、命乞いを始めるリゼット。
「ま、ま、ま、待ってくださいよぉ。俺が俺が悪かったですからぁ。使者ですよぉ。使者ですよぉ」
「ほぉ?使者だったのか。これは失礼した。で、何の交渉をしに来たのか言ってもらおうか?」
「そちらが捕えた兵を返してもらいたいんですよぉ」
「あぁ、あの突撃した馬鹿どもか。勿論、返してやらんこともないが。タダでなんて言わないだろうな?」
「金ですかぁ?はいはい、払ってあげますよぉ。1人、1ベルで」
話を聞いていたタンダザークが語気を荒げ、ナイフを机に突き刺す。
「テメェ。さっきから聞いてりゃ舐めてんのか?大事な兵の値段が1人1ベルだ?ふざけてんじゃねぇぞ!誠意が足りてねぇんじゃねぇのか?アァ?」
机に突き刺されたナイフを見て、リゼットは冷や汗を流す。
「ヒッ。じょ、じょ、冗談に決まってるじゃないですかぁ。1人10ベル。いや、1人100ベルで」
ここで説明しよう。
この世界の通貨はベルである。
1ベルは、円に換算すると1円である。
即ち、リゼットにとって奴隷の人間の値段が1円と言ってるのである。
「100だぁ?0が後4つは足りないだろうが!」
「ヒッ。脅せばホイホイお金を出すとでも思ってるんですかぁ?奴隷1人に対して100万ベルなんて、払えるわけないでしょうがぁ!」
奴隷と聞いて、マッシュ・キノッコが詰め寄る。
「奴隷?兵ではなく?」
「いや、そ、そ、そ、それは。そっちの聞き間違いだぁ!兵1人に対して、100万ベルなんて払えるわけないでしょうがぁ!」
「そうか。なら交渉は決裂。貴殿には死んでもらうとしよう」
「待て、そんなことをすればデイル様が黙っていないと思いますよぉ?ねっ。ここは、こちらの言い分通り100ベルで」
「戦争状態の今、デイルの何を怖がると思っている。さて、死んでもらおう」
「ヒッ。頼むから殺さないで、殺さないでくださいよぉ~。奴隷は奴隷のことは諦めますからぁ!人質も人質も解放しますからぁ。どうか、どうか命だけは、命だけはお助けくださぁーい」
「何!?人質だと!?やはりデイルの奴め。相変わらず汚い真似を!許せん。人質の元に案内しろ。おまえを生かすかどうかは、その時決める」
「そ、そ、それは」
「アァ!テメェ、意見できる立場だと思ってんのか!アァ」
「ヒッ。わかりましたぁ。案内しますからぁ」
リゼットの案内でハザマオカからほど近い村、そこに閉じ込められていた人質を解放するマッシュ・キノッコ。
その後、リゼットを押し込め、閉じ込めた。
「は、話が違いますよぉ。こんなところで、食べ物もなかったら死んでしまいますよぉ」
「貴様は、それをこの者たちにしたのだろうが!己が罪を自覚するのだな!」
捨て台詞を吐いて、立ち去るマッシュ・キノッコたち。
救われた奴隷たちを解放。
彼らは、サブロー・ハインリッヒに協力することを約束。
ハザマオカの攻防戦はこうして、呆気なく幕を閉じるのだった。
「フッ。ヤス、お手柄であったな。こちらから交渉を持ちかけて乗ってきた場合、ふっかけられる危険性もあったが今回はこちらがふっかける番だ」
「上手くいって良かったです」
「まぁ、ヤスにしては頑張ったんじゃねぇの?」
「タンダザークは、何もしてないけど」
「ウッセェ。今回はヤスに譲ってやっただけだっての。そもそも、俺だって窪地に閉じ込めるのは思いついてたっての!」
「後出しで思いついてたとか言われても説得力ありませんが」
「あぁ!ウッセェな。はいはい。次で挽回してやるよ」
「そう期待したいです」
ハザマオカ砦へと交渉に来たリゼット。
「お初にお目にかかる。タルカの将、リゼットだ。そちらの交渉の旗が見えず、攻めたこと先ずは謝りますよぉ。して、何を交渉したいんですかぁ?」
「このハザマオカを預かるオダの将、マッシュ・キノッコだ。交渉の旗?果て、何のことやら。交渉の旗を出したのは、そちらであったはず。戦況不利となり、交渉することがあるのはそちらなのではないか?」
「戦況不利とは、笑わせてくれますねぇ。たかだか兵が少し、罠に嵌って抜け出せなくなっただけのことじゃないですかぁ。こんなの戦況不利でもなんでもないですよぉ。交渉事が無いのであれば帰らせてもらいますがねぇ?」
「別にこちらはそれで構わないが。そもそも交渉の旗など出していないからな」
「流石、ナバルを裏切りガキなんかに尻尾を振った男の言葉は違いますねぇ」
「ナバルを裏切った?違うな俺はドレッドに見切りをつけたまでの事。そんな俺を信頼してタルカとの最前線にあるこの城を任されていることにも殿には感謝している」
「何を言おうが裏切りは裏切りに違いないんですからぁ。美化しないでくださいよぉ」
「さっきから黙って聞いていれば、交渉をしに来たのではなくこちらを煽りに来たと。そう受け取って構わんか?」
「交渉をしたいのは、そちらですよぉ。それにいいんですかぁ?主導権を握ってるのはこちらですよぉ。貴方方は頭を下げる側ですよぉ。そうですねぇ。ここから全軍撤退するなら停戦交渉に応じますよぉ」
「停戦交渉?何を勘違いしている?タンダザーク、ナイフを持ってこい」
「承知した」
タンダザークがナイフを持って戻って来る。
「使者を殺せば、どうなるかわかってるんですかぁ?」
「使者?何のことだ?捕虜の間違いであろう。ノコノコと敵の城にやってきた捕虜」
マッシュ・キノッコの圧に屈して、命乞いを始めるリゼット。
「ま、ま、ま、待ってくださいよぉ。俺が俺が悪かったですからぁ。使者ですよぉ。使者ですよぉ」
「ほぉ?使者だったのか。これは失礼した。で、何の交渉をしに来たのか言ってもらおうか?」
「そちらが捕えた兵を返してもらいたいんですよぉ」
「あぁ、あの突撃した馬鹿どもか。勿論、返してやらんこともないが。タダでなんて言わないだろうな?」
「金ですかぁ?はいはい、払ってあげますよぉ。1人、1ベルで」
話を聞いていたタンダザークが語気を荒げ、ナイフを机に突き刺す。
「テメェ。さっきから聞いてりゃ舐めてんのか?大事な兵の値段が1人1ベルだ?ふざけてんじゃねぇぞ!誠意が足りてねぇんじゃねぇのか?アァ?」
机に突き刺されたナイフを見て、リゼットは冷や汗を流す。
「ヒッ。じょ、じょ、冗談に決まってるじゃないですかぁ。1人10ベル。いや、1人100ベルで」
ここで説明しよう。
この世界の通貨はベルである。
1ベルは、円に換算すると1円である。
即ち、リゼットにとって奴隷の人間の値段が1円と言ってるのである。
「100だぁ?0が後4つは足りないだろうが!」
「ヒッ。脅せばホイホイお金を出すとでも思ってるんですかぁ?奴隷1人に対して100万ベルなんて、払えるわけないでしょうがぁ!」
奴隷と聞いて、マッシュ・キノッコが詰め寄る。
「奴隷?兵ではなく?」
「いや、そ、そ、そ、それは。そっちの聞き間違いだぁ!兵1人に対して、100万ベルなんて払えるわけないでしょうがぁ!」
「そうか。なら交渉は決裂。貴殿には死んでもらうとしよう」
「待て、そんなことをすればデイル様が黙っていないと思いますよぉ?ねっ。ここは、こちらの言い分通り100ベルで」
「戦争状態の今、デイルの何を怖がると思っている。さて、死んでもらおう」
「ヒッ。頼むから殺さないで、殺さないでくださいよぉ~。奴隷は奴隷のことは諦めますからぁ!人質も人質も解放しますからぁ。どうか、どうか命だけは、命だけはお助けくださぁーい」
「何!?人質だと!?やはりデイルの奴め。相変わらず汚い真似を!許せん。人質の元に案内しろ。おまえを生かすかどうかは、その時決める」
「そ、そ、それは」
「アァ!テメェ、意見できる立場だと思ってんのか!アァ」
「ヒッ。わかりましたぁ。案内しますからぁ」
リゼットの案内でハザマオカからほど近い村、そこに閉じ込められていた人質を解放するマッシュ・キノッコ。
その後、リゼットを押し込め、閉じ込めた。
「は、話が違いますよぉ。こんなところで、食べ物もなかったら死んでしまいますよぉ」
「貴様は、それをこの者たちにしたのだろうが!己が罪を自覚するのだな!」
捨て台詞を吐いて、立ち去るマッシュ・キノッコたち。
救われた奴隷たちを解放。
彼らは、サブロー・ハインリッヒに協力することを約束。
ハザマオカの攻防戦はこうして、呆気なく幕を閉じるのだった。
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