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2章 オダ郡を一つにまとめる
138話 反乱の収束
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ゼンショウジをポンチョ・ヨコヅナを含む新兵たちに任せ、ショバタ城をマリーとルミナに任せたサブロー・ハインリッヒは、夜の間に抜け出し、スエモリ城へと向かった。
その狙いは、マーガレット・ハインリッヒの死の偽装のため。
このことを多くの者が知れば、何処からか話が漏れるかも知れない。
必要最低限の人間、もしくはサブロー・ハインリッヒ本人だけしか知らない状態にしないといけない。
そのための準備はしていた。
マーガレット・ハインリッヒの偽物の首を用意し、ルルーニ・カイロの偽物の首も用意した。
これがサブロー・ハインリッヒにとって、オダの腐敗を貴族と共にあの世へと持って行ってくれようとした母とその母に惚れた男へのサブロー・ハインリッヒなりの手向けだった。
「母上、お久しぶりです」
「サブロー、1人で来るなんて、何考えてるの?貴方は今やオダの領主なんですよ。自覚を持ちなさい」
「お怒りはごもっともです。しかし、母上と話すのに他の者の付き添いは入りません」
「サブロー、貴方は時々実年齢と思えない時があるわね。普通の9歳の子供は、大人の付き添いがあるものですよ。今だと、マリーになるかしら」
「いや。そこはロー爺では?」
「そうね。で、何しに来たのかしら?」
「母上、ルルーニは、どうでしたか?」
「何しに来たかと思えば、そんなことを聞きに。まぁ、その歳でおませさんだこと。そうね。あの人に似てるわ。情熱的なところがね」
「父上は、家族を大事にしていました。ですが貴族を優先するあまり、良い為政者とはなれませんでした」
「そうね。もう10年も前になるのね。義父様が戦場で亡くなったのは。その時も相手はマジカル王国だった。義父様の次は主人を亡くし、今度は息子まで。そうなったら耐えられない」
「だから母上は、ワシ。ゴホン。僕が上になるのに反対だったのですね」
「えぇ。でも、貴方は期待を良い意味で裏切って、民の暮らしを良くした。ロルフなら、きっと今頃民衆反乱が起こっていたでしょうね。間違いなくサブロー、貴方は良い為政者よ」
「死ぬことは許しませんよ母上」
「!?どうして、わかったの?」
「母上は、御自分の手で、爺様を。罪悪感に苛まれない訳がない。母上は、誰よりも慈愛に満ち溢れているのだから」
「サブロー、それは買い被りすぎよ。私もお父様と同じ。貴方を蹴落とそうとしたの。悪い母親なのよ」
「いや。違う。母上が本気ならゼンショウジ砦を落として、動かない訳がない。あの地が超重要な要所であることに気付いていた母上なら」
「ただ、そこに城があったから奪っただけよ。だから要らなくなったから捨てたでしょ」
「捨てる時期が良すぎますよ。僕がアヅチ城を奇襲することすら読んでいたのではありませんか?」
「本当にそうなら防ぐようにルルーニに命じているわ」
「あくまで、お認めにならないと?」
「何を認めるというの?私がサブローに剣を向けたことに間違いはないわ。さぁ、この首を」
「もう、母上の首は貰いました」
「貴方、何を言って。!?それは」
「精巧な複製品です。信頼できる職人に依頼して作らせました」
「全く、サブロー。貴方という子は。負けよ。そうよ。貴方の言う通り、全てわかってた。我が子の考えることが読めない母親なんて居ないわよ。相手が悪かったわね」
「えぇ。本当に、動きの読めない母上を相手に卓上遊戯をするのは、大変でした」
「でも、この国を取るつもりならこれからもっと大変よ。宰相は、陛下を支え続けてきた稀代の策士。タルカのデイルは、弱みを握ることで成り上がった男、既にこちらのウィークポイントを見つけているかも知れないわね。ナバルのドレッドは、傭兵を数多く抱えているわ。それも有名なのをいくつもね。それに他の郡だって、黙ってないはず。今回だって、少なくない被害が出たはずよ」
「母上の仰る通り、テキーラには申し訳ないことをしました」
「そう。わかってるなら良いわ。彼らの想いを無駄にせずに頑張りなさい」
「母上。爺様のこと」
「謝らないで。あれがお父様なの。捕まるところに来てしまった権力に手を伸ばしてしまった哀れな人」
「母上」
「さて、サブロー。貴方にはまだまだやることがあるわ。内乱の収束とタルカに備えないとね」
「はい。それと母上とルルーニの密かな婚儀も」
「あら、それは素敵ね。サブロー、本当に大きくなったわ。まだまだ荒削りだけど、私クラスじゃないと手は読めない。事実、ルルーニは何度も困惑してたもの。クスクス。久々に楽しかったわ。ローに言っておきなさい。稽古して欲しかったらサブローに居場所を聞いて、訪ねてきなさいってね」
「ロー爺は、ダメでしたか?」
「ダメじゃないわ。でも、私が乱入してなければ、お父様に討ち取られていたかも知れないわね」
「よーく。言っておきます。母上、ありがとうございました」
「ふふっ。サブロー、頑張りなさいな」
サブロー・ハインリッヒはこうして親子として会う最後の会話を済ませるとマーガレット・ハインリッヒとルルーニ・カイロの首を持って、内乱の収束を発表、来るべきタルカとの戦に備えるように臣下に通達。
こうして、オダの内乱は幕を閉じるのであった。
その狙いは、マーガレット・ハインリッヒの死の偽装のため。
このことを多くの者が知れば、何処からか話が漏れるかも知れない。
必要最低限の人間、もしくはサブロー・ハインリッヒ本人だけしか知らない状態にしないといけない。
そのための準備はしていた。
マーガレット・ハインリッヒの偽物の首を用意し、ルルーニ・カイロの偽物の首も用意した。
これがサブロー・ハインリッヒにとって、オダの腐敗を貴族と共にあの世へと持って行ってくれようとした母とその母に惚れた男へのサブロー・ハインリッヒなりの手向けだった。
「母上、お久しぶりです」
「サブロー、1人で来るなんて、何考えてるの?貴方は今やオダの領主なんですよ。自覚を持ちなさい」
「お怒りはごもっともです。しかし、母上と話すのに他の者の付き添いは入りません」
「サブロー、貴方は時々実年齢と思えない時があるわね。普通の9歳の子供は、大人の付き添いがあるものですよ。今だと、マリーになるかしら」
「いや。そこはロー爺では?」
「そうね。で、何しに来たのかしら?」
「母上、ルルーニは、どうでしたか?」
「何しに来たかと思えば、そんなことを聞きに。まぁ、その歳でおませさんだこと。そうね。あの人に似てるわ。情熱的なところがね」
「父上は、家族を大事にしていました。ですが貴族を優先するあまり、良い為政者とはなれませんでした」
「そうね。もう10年も前になるのね。義父様が戦場で亡くなったのは。その時も相手はマジカル王国だった。義父様の次は主人を亡くし、今度は息子まで。そうなったら耐えられない」
「だから母上は、ワシ。ゴホン。僕が上になるのに反対だったのですね」
「えぇ。でも、貴方は期待を良い意味で裏切って、民の暮らしを良くした。ロルフなら、きっと今頃民衆反乱が起こっていたでしょうね。間違いなくサブロー、貴方は良い為政者よ」
「死ぬことは許しませんよ母上」
「!?どうして、わかったの?」
「母上は、御自分の手で、爺様を。罪悪感に苛まれない訳がない。母上は、誰よりも慈愛に満ち溢れているのだから」
「サブロー、それは買い被りすぎよ。私もお父様と同じ。貴方を蹴落とそうとしたの。悪い母親なのよ」
「いや。違う。母上が本気ならゼンショウジ砦を落として、動かない訳がない。あの地が超重要な要所であることに気付いていた母上なら」
「ただ、そこに城があったから奪っただけよ。だから要らなくなったから捨てたでしょ」
「捨てる時期が良すぎますよ。僕がアヅチ城を奇襲することすら読んでいたのではありませんか?」
「本当にそうなら防ぐようにルルーニに命じているわ」
「あくまで、お認めにならないと?」
「何を認めるというの?私がサブローに剣を向けたことに間違いはないわ。さぁ、この首を」
「もう、母上の首は貰いました」
「貴方、何を言って。!?それは」
「精巧な複製品です。信頼できる職人に依頼して作らせました」
「全く、サブロー。貴方という子は。負けよ。そうよ。貴方の言う通り、全てわかってた。我が子の考えることが読めない母親なんて居ないわよ。相手が悪かったわね」
「えぇ。本当に、動きの読めない母上を相手に卓上遊戯をするのは、大変でした」
「でも、この国を取るつもりならこれからもっと大変よ。宰相は、陛下を支え続けてきた稀代の策士。タルカのデイルは、弱みを握ることで成り上がった男、既にこちらのウィークポイントを見つけているかも知れないわね。ナバルのドレッドは、傭兵を数多く抱えているわ。それも有名なのをいくつもね。それに他の郡だって、黙ってないはず。今回だって、少なくない被害が出たはずよ」
「母上の仰る通り、テキーラには申し訳ないことをしました」
「そう。わかってるなら良いわ。彼らの想いを無駄にせずに頑張りなさい」
「母上。爺様のこと」
「謝らないで。あれがお父様なの。捕まるところに来てしまった権力に手を伸ばしてしまった哀れな人」
「母上」
「さて、サブロー。貴方にはまだまだやることがあるわ。内乱の収束とタルカに備えないとね」
「はい。それと母上とルルーニの密かな婚儀も」
「あら、それは素敵ね。サブロー、本当に大きくなったわ。まだまだ荒削りだけど、私クラスじゃないと手は読めない。事実、ルルーニは何度も困惑してたもの。クスクス。久々に楽しかったわ。ローに言っておきなさい。稽古して欲しかったらサブローに居場所を聞いて、訪ねてきなさいってね」
「ロー爺は、ダメでしたか?」
「ダメじゃないわ。でも、私が乱入してなければ、お父様に討ち取られていたかも知れないわね」
「よーく。言っておきます。母上、ありがとうございました」
「ふふっ。サブロー、頑張りなさいな」
サブロー・ハインリッヒはこうして親子として会う最後の会話を済ませるとマーガレット・ハインリッヒとルルーニ・カイロの首を持って、内乱の収束を発表、来るべきタルカとの戦に備えるように臣下に通達。
こうして、オダの内乱は幕を閉じるのであった。
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