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2章 オダ郡を一つにまとめる
139話 論功行賞
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サブロー・ハインリッヒによって、マーガレット・ハインリッヒとルルーニ・カイロの死が伝えられたオダの本拠地ショバタ城では、内乱の収束を祝う祭りを開いていた。
そこでは、民衆が口々にこの内乱について語っていた。
「しかし、サブロー様がマーガレット様を殺す必要があったのかねぇ」
「反乱の首謀者ってだけで十分あるんじゃねぇか」
「でも、これでサブロー様は、天涯孤独になったのね。私、お世話役に立候補しちゃおうかしら。まだ9歳ですもの母親の愛が必要よね。私、これでも6人の子を育てたし、バッチリよ」
子供を育て切ったと自分で言い張る人の根拠のない自信である。
それは周りから判断するものであって、己で判断するものではない。
うんざりとした様子で城下を見下ろすサブロー・ハインリッヒの元に、商人のセーバス・マルケスとその養子であるルカ・マルケスとレオ・マルケスが訪れていた。
「サブロー様からの大切な荷物は、きちんと安全な場所にお届けしましたぞ」
「感謝する」
「しっかし、中身がひ」
「レオ、言葉を慎め!何のために商人である僕たちが運んだと思っている!」
「兄貴、悪かったって。つい口を」
「馬鹿な弟を持つと兄は苦労するものだな」
「まるで弟が居たかのような口ぶりですねサブロー様」
「遠いところにな」
説明しよう。
サブロー・ハインリッヒこと織田信長には、たくさんの兄弟がいる。
異母兄に当たる織田信広。
同母弟で壮絶な後継者争いをした織田信勝。
同じく同母弟の織田信包に織田秀孝。
母が不明の弟に織田信治、織田信時、織田信興、織田秀成、織田長益。
異母弟に織田信照、織田長利。
母が不明の妹にお犬の方。
同母妹のお市の方。
一般的に知られているだけでも13人はいるのだ。
「まぁ良い。わざわざ、あのようなことを頼んで申し訳なかった。とても大事な荷物ゆえ、信頼できるセーバスにしか頼めなかったのだ」
「サブロー様に信頼して貰えておるなら嬉しい限りですじゃ。あのような荷物でよければいつでも運びますゆえ。サブロー様はもっと周りを頼りなさいませ」
「感謝しよう。して、皆はルミナに会いにきたのではなかったか?」
「おっ。そうだった。俺に代わって監視。いや、じゃなかった。サブローの面倒見てくれてるルミナがちゃんとやれてるかをよ。見にきたんだった」
「ハァ。サブロー様、愚弟が失礼を。ルミナのこと本当に感謝しています」
「感謝されるようなことなどしていない。お前たちの方がよほどルミナにとって大恩人であろうよ」
「そういうところがサブロー様の良いところじゃろうて。では、これにて失礼致す」
「うむ。マルケス商会のことを今後も頼りにさせてもらう」
「はい。父共々喜んで、サブロー様のお力となります」
ワシと彼らが何のことについて、話していたかわからない人のために解説してやるとしよう。
なーに、母上とルルーニを誰にも見つからぬ城へと移送したまでのこと。
ワシが現実世界とやらで居城として、用いていた清洲にな。
といっても、こっちのキヨス城は、森を切り開いた先にマリーのかけた魔法で、認識しにくくなった隠れ家的な城であるがな。
ここなら、ワシも人目を忍んで、リフレッシュ?とやらができるであろう。
まぁ、そういうことでワシは母上とルルーニの死を宣言したが、もちろん死んでおらん。
今頃、2人仲良くキヨスで。
母はまだ若い、ワシにも異父弟ができるやも知れんな。
そうであった。
祭りを開く前、手柄を挙げたものたちをささやかだが表彰した。
それらについても書き記しておこう。
そう、ワシはこの世界で起きたことについて、こうして筆を取ることにした。
これでも生前はまめな筆書きなどと呼ばれておった。
さて、またあらぬ方向に話がそれぬうちに簡単に書き記しておこう。
ハザマオカ砦組には、マッシュを大将軍に昇格。
タンザクを将軍に昇格させ、奴隷の身分のままであったヤスには、下の名前を与えてやり士族として取り立てた。
その名前がヤス・ケイルだ。
続けて呼めばヤスケ、いる?となって、お茶を吹き出したものだ。
ワシに力を貸してくれた旧公爵家のフロレンス家・グロスター家・ヴェルトハイム家は、公爵の地位に復帰させることとし、貴族の手本となるように努めるように厳命した。
新平たちには、実践経験を積ませることもでき、その中でも踏ん張る力を見せ付けたヨコヅナには、正式に新設することとなった重装歩兵隊の隊長に任命、ワシの身辺警護から前線の花形へと昇格させた。
短弓が主流であったオダにて、長弓による弓部隊を新設し、その隊長にスナイプを任命させた。
彼奴なら多くの者を助けるような弓撃ちができよう。
そして、男爵であったテキーラ・バッカスは、侯爵へと昇格。
ロー爺からジャガ・イモの活躍を聞き、農民からバッカス家の軍師だけでなく戦略参謀に格上げした。
軽装騎馬隊として、戦での輸送を担ってくれたウマスキには、人員の増設を許可。
軽くて使いやすい軽量化に成功した槍と投げる剣みたいなもの。
そうだ!
確かマリーの奴が投げナイフと呼んでおった。
全く、聞きなれない言葉とやらはなかなかに難しいものだ。
まぁ、そういうことだ。
そして、ワシは陛下に内乱の報告をするため再び王都に呼び出されるのであった。
そこでは、民衆が口々にこの内乱について語っていた。
「しかし、サブロー様がマーガレット様を殺す必要があったのかねぇ」
「反乱の首謀者ってだけで十分あるんじゃねぇか」
「でも、これでサブロー様は、天涯孤独になったのね。私、お世話役に立候補しちゃおうかしら。まだ9歳ですもの母親の愛が必要よね。私、これでも6人の子を育てたし、バッチリよ」
子供を育て切ったと自分で言い張る人の根拠のない自信である。
それは周りから判断するものであって、己で判断するものではない。
うんざりとした様子で城下を見下ろすサブロー・ハインリッヒの元に、商人のセーバス・マルケスとその養子であるルカ・マルケスとレオ・マルケスが訪れていた。
「サブロー様からの大切な荷物は、きちんと安全な場所にお届けしましたぞ」
「感謝する」
「しっかし、中身がひ」
「レオ、言葉を慎め!何のために商人である僕たちが運んだと思っている!」
「兄貴、悪かったって。つい口を」
「馬鹿な弟を持つと兄は苦労するものだな」
「まるで弟が居たかのような口ぶりですねサブロー様」
「遠いところにな」
説明しよう。
サブロー・ハインリッヒこと織田信長には、たくさんの兄弟がいる。
異母兄に当たる織田信広。
同母弟で壮絶な後継者争いをした織田信勝。
同じく同母弟の織田信包に織田秀孝。
母が不明の弟に織田信治、織田信時、織田信興、織田秀成、織田長益。
異母弟に織田信照、織田長利。
母が不明の妹にお犬の方。
同母妹のお市の方。
一般的に知られているだけでも13人はいるのだ。
「まぁ良い。わざわざ、あのようなことを頼んで申し訳なかった。とても大事な荷物ゆえ、信頼できるセーバスにしか頼めなかったのだ」
「サブロー様に信頼して貰えておるなら嬉しい限りですじゃ。あのような荷物でよければいつでも運びますゆえ。サブロー様はもっと周りを頼りなさいませ」
「感謝しよう。して、皆はルミナに会いにきたのではなかったか?」
「おっ。そうだった。俺に代わって監視。いや、じゃなかった。サブローの面倒見てくれてるルミナがちゃんとやれてるかをよ。見にきたんだった」
「ハァ。サブロー様、愚弟が失礼を。ルミナのこと本当に感謝しています」
「感謝されるようなことなどしていない。お前たちの方がよほどルミナにとって大恩人であろうよ」
「そういうところがサブロー様の良いところじゃろうて。では、これにて失礼致す」
「うむ。マルケス商会のことを今後も頼りにさせてもらう」
「はい。父共々喜んで、サブロー様のお力となります」
ワシと彼らが何のことについて、話していたかわからない人のために解説してやるとしよう。
なーに、母上とルルーニを誰にも見つからぬ城へと移送したまでのこと。
ワシが現実世界とやらで居城として、用いていた清洲にな。
といっても、こっちのキヨス城は、森を切り開いた先にマリーのかけた魔法で、認識しにくくなった隠れ家的な城であるがな。
ここなら、ワシも人目を忍んで、リフレッシュ?とやらができるであろう。
まぁ、そういうことでワシは母上とルルーニの死を宣言したが、もちろん死んでおらん。
今頃、2人仲良くキヨスで。
母はまだ若い、ワシにも異父弟ができるやも知れんな。
そうであった。
祭りを開く前、手柄を挙げたものたちをささやかだが表彰した。
それらについても書き記しておこう。
そう、ワシはこの世界で起きたことについて、こうして筆を取ることにした。
これでも生前はまめな筆書きなどと呼ばれておった。
さて、またあらぬ方向に話がそれぬうちに簡単に書き記しておこう。
ハザマオカ砦組には、マッシュを大将軍に昇格。
タンザクを将軍に昇格させ、奴隷の身分のままであったヤスには、下の名前を与えてやり士族として取り立てた。
その名前がヤス・ケイルだ。
続けて呼めばヤスケ、いる?となって、お茶を吹き出したものだ。
ワシに力を貸してくれた旧公爵家のフロレンス家・グロスター家・ヴェルトハイム家は、公爵の地位に復帰させることとし、貴族の手本となるように努めるように厳命した。
新平たちには、実践経験を積ませることもでき、その中でも踏ん張る力を見せ付けたヨコヅナには、正式に新設することとなった重装歩兵隊の隊長に任命、ワシの身辺警護から前線の花形へと昇格させた。
短弓が主流であったオダにて、長弓による弓部隊を新設し、その隊長にスナイプを任命させた。
彼奴なら多くの者を助けるような弓撃ちができよう。
そして、男爵であったテキーラ・バッカスは、侯爵へと昇格。
ロー爺からジャガ・イモの活躍を聞き、農民からバッカス家の軍師だけでなく戦略参謀に格上げした。
軽装騎馬隊として、戦での輸送を担ってくれたウマスキには、人員の増設を許可。
軽くて使いやすい軽量化に成功した槍と投げる剣みたいなもの。
そうだ!
確かマリーの奴が投げナイフと呼んでおった。
全く、聞きなれない言葉とやらはなかなかに難しいものだ。
まぁ、そういうことだ。
そして、ワシは陛下に内乱の報告をするため再び王都に呼び出されるのであった。
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