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6章 魔王城までの道を確保せよ!
宗教国家ブッラ
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トモカズたちがスラムキルへと向かった直後、聖女ステラの産まれた宗教国家ブッラでは、僧兵たちが集められていた。
「ステラ様がお戻りになられぬ以上、新たな聖女を選ばねばなるまい」
「僧兵長、女神マリーン様は何と?」
「ふむ。御声を聞けるステラ様がおらぬ以上、誰もそのお声を聞くことはできぬ」
「そんな。早く、女神マリーン様のために失敗作どもを処分せねばならぬというのに」
「全くだ。ワシに女神マリーン様のお声を聞くことができれば」
その頃、女神は1人の少女の頭に声を響かせていた。
『私の声が聞こえますか?シスターマリア』
「その透き通るような御声は、女神マリーン様ですか?」
『良かった。聞こえているのですね。シスターマリア、スラムキルにいる魔族たちがブッラを狙っています。機先を制し、こちらから仕掛けるように僧兵長に進言するのです』
「そんな。不埒な魔族が神聖なブッラの街を狙ってるだなんて、わかりました。女神様の御声を必ず届けます。どうか安心してください」
『頼みましたよ。シスターマリア』
女神は念話を終えると一息つく。
「彼があんな危険な街へ寄り道してくれて、手間が省けました。私を信奉するブッラの僧兵たちを使って、その戦力を少しでも削るとしましょう。私の思い通りに動かない駒に用はありません」
女神の声を聞いたシスターマリアは僧兵長にその言葉を告げに向かう。
「僧兵長様!女神様から御言葉を頂きました」
「なんと!?それは、本当ですかシスターマリア?」
「はい。女神様は魔族の動きを察知し、機先を制するようにと進言なさいました」
「魔族の動き?」
「はい。不遜にも魔族たちはこのブッラの街を狙っているそうです」
「な、なんと不遜な。どの魔族です?」
「スラムキルとやらの魔族とおっしゃっていました」
「スラムキルですか。盗みに殺人を繰り返す野蛮な連中の多い街と聞きます。まさかこのブッラを狙おうとは、許し難い。我が兵力を結集して、先に皆殺しにしてあげるとしましょう」
「女神マリーン様、我らに力を。魔族に滅びを」
「皆の者、聞くのです!ここに新たな聖女様が誕生なされた。女神マリーン様の御声を聞いたシスターマリアを聖女マリア様とお呼びすることにする」
「聖女マリア様、バンザーイ。女神様に祝福を。魔族に鉄槌を!」
「前任者のステラ様の名を汚さないように精一杯、務め上げたいと思います。僧兵長に女神様の名の下に命じます。スラムキルの魔族を1人残らず打ち滅ぼすのです!」
「はっ聖女マリア様。女神様の名の下に我ら僧兵団がスラムキルを焼き払って見せましょう」
女神様が作りし人間の堕落した姿、失敗作の魔族を1人残らず滅すること。
それが女神マリーン様を守護する宗教国家ブッラの僧兵団の稔侍である。
彼らが出陣したのを見届けた女神は、念には念を入れて、もう1人に声を届けていた。
『私の声が聞こえますか?チュン・レイ』
「な、何か声が聞こえるアル!」
「どうしたのレイちゃん?」
「アイリスには、聞こえないアル?」
「声ならさっきから皆、話してるから聞こえてるよ。変だよ」
「そ、そうアル。この声は気のせいアル」
『気のせいではありませんよチュン・レイ。怪しまれないようにそのままお聞きなさい。貴方の街を滅ぼした魔族は、ハイエルフです。そう、貴方が今共に旅をしているリーダーこそ。貴方の街を滅ぼした魔族。人のフリをした魔王なのです』
「や、やっぱり声が聞こえるアル!」
「レイちゃん、本当にどうしたの?」
「アイリスには聞こえないアル?」
『ハァ。大きな声を出さずに怪しまれないようにお聞きなさいと言ったのに、聞き分けのない子ですね。私は女神マリーン。この世界を作りし神です。全てを見てきた私の言葉が信じられませんか?隙を見て、貴方が率いる人のフリをした魔族を討ち取るのです。良いですね?頼みましたよチュン・レイ』
「ちょっと待つアル!私は自分で見たものしか信じないアル!その言葉が本当か本人に確かめるアル!」
「レイちゃん?」
アイリスの制止を振り切り、チュン・レイは、先頭を歩く男の元へと向かう。
それを見届けた女神は、また一息つく。
「融通の聞かない小娘ですね。だから貴方は勇者パーティに選ばれず。勇者に恋心を抱いたまま非業の死を遂げるのですよ。勇者の心にはずっと1人の女性しか映って居ませんからね。いえ、そういう設定ですから一途な勇者、死別した幼馴染との敵わぬ未来を心に思い描く。魔王を倒した後、人知れず幼馴染の元に向かうため己の命を断つ。この世界はどこまで行ってもハッピーエンドは有り得ないのですよ」
チュン・レイが問い詰める。
「お前が私の村を滅ぼしたアルか?」
「ん?な、何言ってるんだ?」
「なんで動揺してるアル!女神マリーンの言ったことは本当アルか!」
「ちょっと待て、俺にはなんのことだかさっぱり」
「お前にとって、私の村は取るに足らないどうでも良い村だったアルか?魔族の村は救うのに人間の村は滅ぼしたアルか!」
「待てって、本当に何のことを言ってるのかわからない」
「しらばっくれるなアル!」
「ちょっとレイちゃん、待ってよ!私たちの村を滅ぼした魔族たちを見たよね。あれは、主様じゃなかった。レイちゃん、どうしちゃったのよ」
「わからないアル。何が真実アル?」
その言葉に何も答えることのできないトモカズであった。
「ステラ様がお戻りになられぬ以上、新たな聖女を選ばねばなるまい」
「僧兵長、女神マリーン様は何と?」
「ふむ。御声を聞けるステラ様がおらぬ以上、誰もそのお声を聞くことはできぬ」
「そんな。早く、女神マリーン様のために失敗作どもを処分せねばならぬというのに」
「全くだ。ワシに女神マリーン様のお声を聞くことができれば」
その頃、女神は1人の少女の頭に声を響かせていた。
『私の声が聞こえますか?シスターマリア』
「その透き通るような御声は、女神マリーン様ですか?」
『良かった。聞こえているのですね。シスターマリア、スラムキルにいる魔族たちがブッラを狙っています。機先を制し、こちらから仕掛けるように僧兵長に進言するのです』
「そんな。不埒な魔族が神聖なブッラの街を狙ってるだなんて、わかりました。女神様の御声を必ず届けます。どうか安心してください」
『頼みましたよ。シスターマリア』
女神は念話を終えると一息つく。
「彼があんな危険な街へ寄り道してくれて、手間が省けました。私を信奉するブッラの僧兵たちを使って、その戦力を少しでも削るとしましょう。私の思い通りに動かない駒に用はありません」
女神の声を聞いたシスターマリアは僧兵長にその言葉を告げに向かう。
「僧兵長様!女神様から御言葉を頂きました」
「なんと!?それは、本当ですかシスターマリア?」
「はい。女神様は魔族の動きを察知し、機先を制するようにと進言なさいました」
「魔族の動き?」
「はい。不遜にも魔族たちはこのブッラの街を狙っているそうです」
「な、なんと不遜な。どの魔族です?」
「スラムキルとやらの魔族とおっしゃっていました」
「スラムキルですか。盗みに殺人を繰り返す野蛮な連中の多い街と聞きます。まさかこのブッラを狙おうとは、許し難い。我が兵力を結集して、先に皆殺しにしてあげるとしましょう」
「女神マリーン様、我らに力を。魔族に滅びを」
「皆の者、聞くのです!ここに新たな聖女様が誕生なされた。女神マリーン様の御声を聞いたシスターマリアを聖女マリア様とお呼びすることにする」
「聖女マリア様、バンザーイ。女神様に祝福を。魔族に鉄槌を!」
「前任者のステラ様の名を汚さないように精一杯、務め上げたいと思います。僧兵長に女神様の名の下に命じます。スラムキルの魔族を1人残らず打ち滅ぼすのです!」
「はっ聖女マリア様。女神様の名の下に我ら僧兵団がスラムキルを焼き払って見せましょう」
女神様が作りし人間の堕落した姿、失敗作の魔族を1人残らず滅すること。
それが女神マリーン様を守護する宗教国家ブッラの僧兵団の稔侍である。
彼らが出陣したのを見届けた女神は、念には念を入れて、もう1人に声を届けていた。
『私の声が聞こえますか?チュン・レイ』
「な、何か声が聞こえるアル!」
「どうしたのレイちゃん?」
「アイリスには、聞こえないアル?」
「声ならさっきから皆、話してるから聞こえてるよ。変だよ」
「そ、そうアル。この声は気のせいアル」
『気のせいではありませんよチュン・レイ。怪しまれないようにそのままお聞きなさい。貴方の街を滅ぼした魔族は、ハイエルフです。そう、貴方が今共に旅をしているリーダーこそ。貴方の街を滅ぼした魔族。人のフリをした魔王なのです』
「や、やっぱり声が聞こえるアル!」
「レイちゃん、本当にどうしたの?」
「アイリスには聞こえないアル?」
『ハァ。大きな声を出さずに怪しまれないようにお聞きなさいと言ったのに、聞き分けのない子ですね。私は女神マリーン。この世界を作りし神です。全てを見てきた私の言葉が信じられませんか?隙を見て、貴方が率いる人のフリをした魔族を討ち取るのです。良いですね?頼みましたよチュン・レイ』
「ちょっと待つアル!私は自分で見たものしか信じないアル!その言葉が本当か本人に確かめるアル!」
「レイちゃん?」
アイリスの制止を振り切り、チュン・レイは、先頭を歩く男の元へと向かう。
それを見届けた女神は、また一息つく。
「融通の聞かない小娘ですね。だから貴方は勇者パーティに選ばれず。勇者に恋心を抱いたまま非業の死を遂げるのですよ。勇者の心にはずっと1人の女性しか映って居ませんからね。いえ、そういう設定ですから一途な勇者、死別した幼馴染との敵わぬ未来を心に思い描く。魔王を倒した後、人知れず幼馴染の元に向かうため己の命を断つ。この世界はどこまで行ってもハッピーエンドは有り得ないのですよ」
チュン・レイが問い詰める。
「お前が私の村を滅ぼしたアルか?」
「ん?な、何言ってるんだ?」
「なんで動揺してるアル!女神マリーンの言ったことは本当アルか!」
「ちょっと待て、俺にはなんのことだかさっぱり」
「お前にとって、私の村は取るに足らないどうでも良い村だったアルか?魔族の村は救うのに人間の村は滅ぼしたアルか!」
「待てって、本当に何のことを言ってるのかわからない」
「しらばっくれるなアル!」
「ちょっとレイちゃん、待ってよ!私たちの村を滅ぼした魔族たちを見たよね。あれは、主様じゃなかった。レイちゃん、どうしちゃったのよ」
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