『アンダーワールド・続編』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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番外編 騒ぐ下界

田口の焦り

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「だったらこの先、黙って捨て地を見ていろと? 

神だと騒がれている龍を、指を銜えて眺めていろと、

この私に言うのか? 長老の分際で」

田口の恫喝に秘書官たちは動けなかったが、

二人の長老は驚くこともなく見つめていた。

「時にジオードを破壊されたのは、

トップだとお聞きしましたが」

宮部がしばしの沈黙の後、口を開いた。

「あんな邪魔なもの。

お石様だと言って崇めてあほくさい。

ただの原石だろうが」

「それこそが大沢氏とあなたの違いでしょう」

「!! 」

宮部の言葉に田口が睨みつけた。

「あのジオードは昔よりこの国に伝わるもの。

一説には神のお言葉がお告げとして現れるとも。

一時その存在が消えていたことがございました。

それを大沢家が見つけ、

財を築いてきたと言われるいわくある代物です。

代々のトップに口伝えで伝承され、

決して文字にして残してはならないと言われてきました。

恐らく神祠本庁もご存じないと思います」

そういうと静かに横にいる財前を見た。

「あれを壊されたことで、

捨て地を守る神のご意思として、

バリアが現れたのでしょう。

私共の本部は捨て地にございます。

神祠本庁は中央の都。

結界庁は神とともに生きておりますゆえ、

結界に合わせ移動いたします。

神殺しが全ての始まり。

なのにジオードも破壊なされた。

私にはもう打つ手はございません。

この国の闇は神祠本庁も何もわからずに、

大沢の意のままに動かれていたのでしょう。

国のトップの配下であるのですから当然の事。

ですが私共は違います。

この国の闇。長老である私が最後まで見届け、

あの世に持って、閻魔様に許しを請いましょう。

お話がそれだけでしたら、

私は失礼させていただきます」

八十とは思えぬ足運びで、

小柄な老人はゆっくりと部屋を出て行った。


結界庁の動向を張っているのは……

確かミデンか。

彼奴は滅多に冥界に来ないからな。

今はどこにいるんだ?

ディッセは腕を組みながら、老人が去った扉を見ていた。


その頃向井達は神の森に来ていた。

「なんか……この前より住める土地が縮まってる? 」

牧野が森に入ると空を見上げた。

鳥のさえずりが聞こえる。

以前来た時より森が息づいているのが分かる。

葉も青く、空気も澄んでいる。

「ここは水の神が住まう場所なんだよ。

蛇も龍もここから国を守っている。

人々はこの国には、

高天ヶ原が存在すると言っているだろ? 

でも実際には天上界にある。

地上にいる神は天から使わされているか、

ここを守る為に発生した自然神が多い」

エナトが説明した。

「じゃあ、蛇も龍も自然神? 」

牧野が聞いた。

「そういえば以前、

向井さんはこの国は龍の形をしているって、

言ったんだよね」

サンクが向井を見た。

「はい。俺が眷属を身の内に入れる時に、

彼らの記憶も一緒に受け継いで脳裏に入ってきます。

そこからこの国の過去も見ることができます」

「凄い…」

坂下がぽかんと口を開ける様子に、

「坂下さんも眷属を身に置けば、

この感覚が分かりますよ」

向井が微笑んだ。

「えっ? いや、僕はまだ…

その、そこまでの自信がないんですよ」

坂下が面目なさそうに笑った。

「眷属ってそんなに危ないの? 」

牧野が不思議そうに言う横で、

「体も心も負担が大きいので、

いつも気を引き締めておかないといけません。

乗っ取られてしまったら、

どうにもなりませんから」

向井が微笑んだ。

「そっか。だから向井は悪魔化してるのか」

「悪魔化? 」

サランダが笑うと牧野を見た。

「最近の向井さんの言動が、

牧野君には怖いらしくて、

そういってるんですよ」

佐久間はフッと笑うと牧野の頭を小突いた。

「ホントなんだよ。

俺なんかいつも酷い目に遭ってんだぞ。

安達の時とは全然違うの」

「はははは」

その子供っぽいヤキモチに、

皆が笑った。
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