『アンダーワールド・続編』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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番外編 新たな動き

結界庁の長老

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「ここは気持ちがいいの~」

宮部はにっこり笑うと、

「だがね。長老は違う。

この庁の長やきね。

皆をまとめんといけん」

と二人を見た。

「長老がこの一年。神祠を見て回っていたのは、

それが理由ですか? 」

ミコトが宮部に近づいた。

「そうや。この国を見てみや。

トップ次第で明日から生活できんもんも出る。

戦争も起こる。

私が長老になって四十年や。

相手に対する配慮もなくなり、

誰もが自分を憐れみ、

そんな国民の怒りの盾になって、

ただただ国を沈ませんために、

結界を守る事だけに努めてきた。

だがもう終わらせても、神様も許してくれるやろ」

宮部は中央に歩いてくると、

欠片を土に刺した。

「この罪は私があの世で償いましょう。

おんしらには新しい結界庁を築いてほしい。

結界がある限りな。

神様を守っとーせ」

宮部は欠片が土に還るのを見て立ち上がり、

二人に頭を下げた。

「ちょ、長老。頭をあげてください。

私達はあの大震災で、

路頭に迷っている所を助けていただいた。

今では大儀ある仕事もさせてもらっています。

私たち二人の命があるのは、長老のお陰です」

ミコトが慌てた様子で話した。

「そうですよ。僕はこの仕事好きですよ。

神様の気持ちも感じられるし………」

そこまで言ってカイトはふと、向井達がいる方を見た。

その視線を宮部とミコトも追う。

「何かありますね。神様でしょうか」

ミコトもじっと見たあと、宮部に視線を移した。


俺達の思いを受け取っている?

向井は驚くと隣に立つミデンを見た。

「結界庁は神祠本庁とは違って、

能力者がなる仕事だからね。

ここにこれだけの冥界人がいるから、

何か感じたのかもしれないね」

「そうだ。せっかくだから、

九頭竜の姿を見せてあげるといいわよ」

「そうか。神様の気持ちだからね」

トリアとアートンが向井を見た。


宮部は向井達のいる場所を見つめると、

「もし、そこに神様がおられるなら、

どうか最後までこの国を見届けて下され。

人間にはどうあがいても寿命というものがある。

私には見守る力はありません」

と口を開いた。

その声と同時に、宮部達三人の頭上に九頭竜が姿を現した。

「あ………」

三人が驚く表情でその姿を見つめる。

龍は長老の前まで来ると、

【その願い聞き届けよう】

と呟いた。

「お………おぉ………」

宮部は涙を浮かべると、静かに礼をした。

その横で好奇心の瞳でミコトとカイトも見つめていた。

龍がスッと姿を消すと、

「ぼ、僕この仕事してて、

始めて神様を見ました! 」

「私もです………」

カイトの嬉しそうな声とぼぅと呟くミコトの姿に、

「俺は神ではないですけど、

お借りしている神の力は本物ですからね」

向井は戻ってくると静かに微笑んだ。


支部に帰ると、

休憩室にサランダ、シェデム、トラントが、

お茶をしていた。

「ご苦労様」

皆が声をかけた。

「ちび達はおやつ食べたら寝ちゃった」

サランダも笑うとテーブルに置いたカップを並べ、

「ケーキ食べるでしょう? 」

と珈琲を注ぎながら聞いた。

「食べるよ~夕飯まで腹持たねぇもん」

牧野は言うとソファに飛び乗る。

「お行儀悪いな」

シェデムも苦笑いしながら言った。

「いいじゃん。チビ寝てる………あれ? 安達も寝てる? 」

そういって奥のソファーベッドを、

体をのけぞらせてのぞいた。

「安達君がいきなり倒れたんで、

驚いちゃった。

シェデムが大丈夫だって言ったんだけど、

一応トラントに見てもらった」

サランダが向井達がソファーに座るのを見ながら言った。

「有難うございます。お薬のせいなんですよ」

向井が珈琲をサランダから受け取ると、

奥の部屋をちらりと見た。

皆気持ちよさそうによく寝ている。

「一応診察したけど、問題なかったよ。

深い眠りに入っている感じだね。

そのおかげで魂のスイッチがオフになっているのかな」

トラントが向井を見た。
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