『アンダーワールド・続編』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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続編 捨て地対黒地

安達の父親

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突然のリゾートホテルの新規開発に、

穂の国不動産会社社長は現地に立ち、

設計士と視察をしていた。

あの問題ビルの開発にも取り組んでいたが、

予想外のビル消失事件で会社は宙ぶらりん状態で頭を抱えていた。

そこに降ってわいた今回のリゾート開発事業だ。

うちはリゾート開発では国内企業トップだ。

家系図を見ても階級区の中では上位に位置している。

はっきり言えば今の国のトップ田口より上だ。

男は土地のすぐ真裏の捨て地を見て、

その美しさに小さくため息をついた。

妻はこの黒の都では暮らせず、

去年より海外で暮らしていた。

男も黒の都と呼ばれるようになってからは、

何度も体調を崩し、

古くから家に仕える使用人から数珠を渡され、

それ以来なんとかここで暮らせていた。

社員たちの中にも倒れるものが増え、

離職していくものが多くなった事から、

気休めに数珠を持たせていた。

「社長自らこんな場所に来られなくても」

総合設計を担当する部下は近づくと話した。

「いつどうなるか分からないからな。

あのビルだって悪霊にやられたって話だったのに、

今では神の土地だと言われている。

ここだって明日には領土が変わるかもしれないだろ」

見た目は四十代前半だろうか。

童顔のせいか若々しく見える。

そんな社長は笑うと部下を見た。

「奥様はまだ海外ですか? 」

「あぁ、この二年何度も倒れているから、

ここで暮らすには体が持たないと医者からも言われた」

「そうですか。私の娘も海外に留学させていますからね。

社長から頂いた数珠のお陰で、

体調の方は問題ないので家族みな感謝してますよ」

「そうか。それはよかった」

男はそういうと、ふと遠くを見て昨日のことを思い返していた。



「旦那様。

お茶をご用意しました」

この家に長いこと使えている執事は頭を下げて入室すると、

ティートローリーを運んできた。

「ありがとう。そこに置いてください」

男はそういうと書類から顔をあげた。

「先程奥様から連絡があり、

元気なので安心してくださいとのことでした」

「そうか。だったらいい。

ここは危険だから出来るだけ離れている方がいい」

「そうですね」

執事はそういうと、

「旦那様。あのマンションですが、

如何なさいますか? 

坊ちゃまがいつか戻るのではないかと、

家内も掃除に出掛けて行っていますが」

「………」

男は考え込むようなしぐさで黙り込む。

「出過ぎた真似なのは重々承知しておりますが、

捜索願を出されてはどうでしょう」

「………わかっている。

ただ、それではあの子が死んでいるのではないかと、

考えてしまうんだよ。

酷い親なのは承知の上で、

それでもあの子は私の息子なんでね」

「旦那様………」

執事も辛そうな主の顔を見た。

「私は肝心なところで間違えてしまった。

この国の状況を見て、

あの子はもしかしたら霊感があったのかもしれないと。

今考えれば、思い当たる節はあったんだ」

男は指を組んで机に肘をつくと目を閉じた。

「だが、あの子の目が恐ろしくて、

向き合うことができなかった。

事実妻は何度も倒れているからね」

「奥様は初めての子育てで、

神経も過敏になっていたのでしょう」

「乳母が何人も辞めたのにか? 」

彼は片笑んだ。

あの子に触れたものは皆精神がやられる。

おかげで妻は子供を殺そうとしたことまであったのだ。

「そういえばあの子は君ら夫婦には懐いていたな」

男は顔をあげると執事を見た。

「それは恐らく、私共はこの家に奉仕する以前は、

神職の家系だったからと思います。

私共には霊感がございませんので、

家系を継ぐことはできませんでした」

「そうか………」

男はそういうと自分の手首にある数珠のブレスを見つめた。

「私共がもう少し早くに気づいていれば、

坊ちゃまを救えたかもしれません。

申し訳ございませんでした」

執事が悲しそうに頭を下げた。

「………いや、すべては私の責任だ。

気にしなくていい。

マンションはそのままにしておいてくれ。

あと、この家に残る子供部屋も………」

と静かに話した。


男はそんなことを思い出しながらふと視線を動かした。

!! 瞬!? 

彼は慌てて自分が見た場所に視線を戻した。

いない………

そうだな。あの子の成長が遅いと言っても、

十八………になるのだから。

あんなに小さいはずはない。

だが、あれがあの子の姿なら………

傍にいた者達は誰なのか。

とても楽しそうに笑っていた。

瞬の笑顔など一度でも見たことがあったか? 

男は頭を軽く振ると、仕事に戻った。
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