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続編 新年の呪い
茶の捨て地の歴史
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向井達がイベント会場にいくと、
そこは大きな円形広場のような場所になっていた。
青空の下、中央には舞台があり、
レンジャーショーが行われていた。
客席は階段で、
その途中と上の部分がキッチンカーと、
手作り品の販売がされていた。
「凄ぇ………こんなイベントもあるんだ」
楽しそうな牧野の姿に笑いながらも、
向井達も驚いていた。
茶の捨て地にはあまり来ることもなく、
奥地は問題もなかったので調査もしていなかった。
「これはディッセに一度見せた方がいいね」
アートンもじっと見つめていた。
「うちもこんな野外イベントを考えるか」
オクトもいいながら腕組をした。
「お~三鬼が好きなクルールレンジャーだ。
見たら大騒ぎだな」
牧野が笑っていると、
「おにいちゃんもクルールレンジャーすき? 」
隣に立っていた男の子が見上げた。
見た所三鬼達より少し上、四、五歳の男の子が笑顔でいた。
牧野は子供が付けている時計のおもちゃに、
「おっ、レッドプリンスだ」
その言葉に子供は笑顔になると、
「おばあちゃんにかってもらったの。
ボクね~レッドプリンスがいちばんすき~」
といった。
「このお兄ちゃんはね~
レッドプリンスのパジャマで寝てるんだよ」
横から新田が笑顔で話した。
「すごい~」
キラキラな目で見つめる顔に向井達が笑っていると、
五十代と思われる女性が近づいてきた。
「すいません。お邪魔しちゃって」
「おばあちゃん。あのね~
このおにいちゃんもレッドプリンスがすきなの。
ボクといっしょ~」
嬉しそうに話す子供にさすがの牧野も苦笑いした。
「あら、そうなの? 」
女性が笑顔になる。
「イベントがあると言われて見に来たんですけど、
活気があっていいですね」
向井が女性に話しかけると、
「どこから来たんですか? 」
と聞かれた。
「赤の捨て地からです」
「あら、都会の人なのね」
女性は笑顔で向井達を見た。
「私達もイベントで全国周るんですけど、
こういったマルシェは初めてでビックリしました」
トリアが話す。
「ここは娯楽が少ないんで、
マルシェが盛んなんです。
映画やお芝居も見るとなると、
同じ茶の捨て地でも隣の区まで行かないとならないので」
「そうなんですね」
その話に向井が頷いた。
「この辺りの生活はどうですか? 」
アートンの言葉に、
「ここもね。二年前の地震でかなり被害が出たんですよ。
当時はバリアもなかったでしょう。
あっちの黒地も同じ地区で、
大臣が外国人居住区だけ復興して、
こっちは取り残されて大変だったんです」
その話に向井達の顔色が変わった。
「人口減少、
人手不足で外国の方に住んでいただくんだから、
国民が我慢するのは当然だと言われて、
自分達でなんとかここまでやってきたんですよ」
女性は思い出すように当時の事をぽつりと話した。
「マスコミも来るには来たんですけど、
ニュースには出来ないって言われて、
何しに来たんだってみんな怒ってましたよ。
それで地元の会社とボランティアでなんとか復興させて、
このマルシェはそんな時に始まったんです」
「そうなんですね。
今は問題はないですか? 」
向井が聞くと、
「バリアが出来て本当に住民はホッとしたんです。
あの時は何人も目の前で人が消えて、
最初は何が起こったのかも分からなくて、
私達も動揺したんですけど、
暫くしたら不良も消えて、
子供が誘拐されることもなくなって、
この辺りでは龍神様が守ってくれたって話しているんです」
「龍神様ですか。ここにも祀られている祠があるんでしょうか」
「ありますよ。昔からの龍神伝説も残っていますし。
このイベント広場の後ろに小さな龍神神社があります。
あの十八年前の大災害で潰れて、
その後復興を兼ねて作られた神社のアニメがヒットしたんですけど、
今度は日本人も外国人もそれはもう、
観光客が多くてこの辺りの土地はかなり荒らされたんです。
で、神社の復興どころではなくて、
当時は観光資源の事で議員さんともめてね。
観光反対派の人間が何人も行方不明になって、
さすがに国には逆らえないと、
みんな泣き寝入りです」
女性は寂しそうに笑った。
「どこの捨て地もバリアが出来るまで、
多くの問題を抱えていましたけど、
ここはかなり酷かったんですね」
アートンも驚きを隠せない様子で口を開いた。
「ここは全国でも大災害で被害の少ない土地だったんで、
復興大臣がやってきて倒壊が少なかった、
幾つかあった龍神神社に外資を入れて、
開発地区にしたんです。
なので一気に治安も悪くなって、
そこに二年前の地震でしょう。
ここの住民はもう神様に死ねと言われてるんだって、
正直思いましたよ。
龍神神社も守れなかった人間ですからね」
女性は小さく笑った。
「でも、神様はちゃんと守ってくれたじゃん。
バリアは懸命に生きてる人を助けてくれるものだろ? 」
牧野が振り返って女性を見た。
「あ………そう………そうよね」
女性が微笑んだ。
「おにいちゃん、レッドプリンスだよ」
子供が戦士の登場に夢中になって牧野の手を掴んだ。
「ん? おっ、ホントだ。カッコいいな」
「カッコいいよね」
二人は楽しそうに階段に座るとレンジャーショーを見た。
そんな様子を女性も嬉しそうに見つめていた。
その後、女性と子供に手を振り別れると、
向井達はイベントブースを見ながら、
唐揚げや練り物、
キッチンカーでは話題のメルヘンケーキと、
パリパリロールケーキを購入して戻った。
そこは大きな円形広場のような場所になっていた。
青空の下、中央には舞台があり、
レンジャーショーが行われていた。
客席は階段で、
その途中と上の部分がキッチンカーと、
手作り品の販売がされていた。
「凄ぇ………こんなイベントもあるんだ」
楽しそうな牧野の姿に笑いながらも、
向井達も驚いていた。
茶の捨て地にはあまり来ることもなく、
奥地は問題もなかったので調査もしていなかった。
「これはディッセに一度見せた方がいいね」
アートンもじっと見つめていた。
「うちもこんな野外イベントを考えるか」
オクトもいいながら腕組をした。
「お~三鬼が好きなクルールレンジャーだ。
見たら大騒ぎだな」
牧野が笑っていると、
「おにいちゃんもクルールレンジャーすき? 」
隣に立っていた男の子が見上げた。
見た所三鬼達より少し上、四、五歳の男の子が笑顔でいた。
牧野は子供が付けている時計のおもちゃに、
「おっ、レッドプリンスだ」
その言葉に子供は笑顔になると、
「おばあちゃんにかってもらったの。
ボクね~レッドプリンスがいちばんすき~」
といった。
「このお兄ちゃんはね~
レッドプリンスのパジャマで寝てるんだよ」
横から新田が笑顔で話した。
「すごい~」
キラキラな目で見つめる顔に向井達が笑っていると、
五十代と思われる女性が近づいてきた。
「すいません。お邪魔しちゃって」
「おばあちゃん。あのね~
このおにいちゃんもレッドプリンスがすきなの。
ボクといっしょ~」
嬉しそうに話す子供にさすがの牧野も苦笑いした。
「あら、そうなの? 」
女性が笑顔になる。
「イベントがあると言われて見に来たんですけど、
活気があっていいですね」
向井が女性に話しかけると、
「どこから来たんですか? 」
と聞かれた。
「赤の捨て地からです」
「あら、都会の人なのね」
女性は笑顔で向井達を見た。
「私達もイベントで全国周るんですけど、
こういったマルシェは初めてでビックリしました」
トリアが話す。
「ここは娯楽が少ないんで、
マルシェが盛んなんです。
映画やお芝居も見るとなると、
同じ茶の捨て地でも隣の区まで行かないとならないので」
「そうなんですね」
その話に向井が頷いた。
「この辺りの生活はどうですか? 」
アートンの言葉に、
「ここもね。二年前の地震でかなり被害が出たんですよ。
当時はバリアもなかったでしょう。
あっちの黒地も同じ地区で、
大臣が外国人居住区だけ復興して、
こっちは取り残されて大変だったんです」
その話に向井達の顔色が変わった。
「人口減少、
人手不足で外国の方に住んでいただくんだから、
国民が我慢するのは当然だと言われて、
自分達でなんとかここまでやってきたんですよ」
女性は思い出すように当時の事をぽつりと話した。
「マスコミも来るには来たんですけど、
ニュースには出来ないって言われて、
何しに来たんだってみんな怒ってましたよ。
それで地元の会社とボランティアでなんとか復興させて、
このマルシェはそんな時に始まったんです」
「そうなんですね。
今は問題はないですか? 」
向井が聞くと、
「バリアが出来て本当に住民はホッとしたんです。
あの時は何人も目の前で人が消えて、
最初は何が起こったのかも分からなくて、
私達も動揺したんですけど、
暫くしたら不良も消えて、
子供が誘拐されることもなくなって、
この辺りでは龍神様が守ってくれたって話しているんです」
「龍神様ですか。ここにも祀られている祠があるんでしょうか」
「ありますよ。昔からの龍神伝説も残っていますし。
このイベント広場の後ろに小さな龍神神社があります。
あの十八年前の大災害で潰れて、
その後復興を兼ねて作られた神社のアニメがヒットしたんですけど、
今度は日本人も外国人もそれはもう、
観光客が多くてこの辺りの土地はかなり荒らされたんです。
で、神社の復興どころではなくて、
当時は観光資源の事で議員さんともめてね。
観光反対派の人間が何人も行方不明になって、
さすがに国には逆らえないと、
みんな泣き寝入りです」
女性は寂しそうに笑った。
「どこの捨て地もバリアが出来るまで、
多くの問題を抱えていましたけど、
ここはかなり酷かったんですね」
アートンも驚きを隠せない様子で口を開いた。
「ここは全国でも大災害で被害の少ない土地だったんで、
復興大臣がやってきて倒壊が少なかった、
幾つかあった龍神神社に外資を入れて、
開発地区にしたんです。
なので一気に治安も悪くなって、
そこに二年前の地震でしょう。
ここの住民はもう神様に死ねと言われてるんだって、
正直思いましたよ。
龍神神社も守れなかった人間ですからね」
女性は小さく笑った。
「でも、神様はちゃんと守ってくれたじゃん。
バリアは懸命に生きてる人を助けてくれるものだろ? 」
牧野が振り返って女性を見た。
「あ………そう………そうよね」
女性が微笑んだ。
「おにいちゃん、レッドプリンスだよ」
子供が戦士の登場に夢中になって牧野の手を掴んだ。
「ん? おっ、ホントだ。カッコいいな」
「カッコいいよね」
二人は楽しそうに階段に座るとレンジャーショーを見た。
そんな様子を女性も嬉しそうに見つめていた。
その後、女性と子供に手を振り別れると、
向井達はイベントブースを見ながら、
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