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第一部
水晶玉交換
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何も知らないアンナが、
「何かが近くまで来ています。
この水晶で除霊する瞬間が、
皆様に伝わるといいんですけど」
何やら呪文を唱え始めた。
背後にいたスタッフの一人がよろめく。
「ちょっと、何してるのよ。
危険なのよ。ちゃんとしなさい!! 」
そんな様子を見ていた牧野が、
「なっ、あのクソババァ。
何も見えないのに偉そうだろ? 」
「言葉が汚いですよ」
「いいんだよ。あんな奴らのせいで、
俺たちの仕事が増えてるんだからさ」
「でも、倉田さんに勝てる霊電が手に入るんだから、
いいじゃないですか」
向井が言うと、
「それくらいのいい事でもなきゃ、
やってらんねぇよ」
牧野が愚痴を言うのと同時に、
悪霊が水晶に取り込まれた。
「よし。今だ!! 」
向井が両手で小さな円を描き、
時間を止めた。
その一瞬の間に、
牧野が水晶玉を浮かせて、
瞬間移動させる。
水晶玉はふわっと浮かび上がると入れ替わった。
向井は周囲の状況を確認しながら、
手を軽く叩き時間を動かした。
辺りの空気が瞬時に軽くなったのが分かった。
アンナが、
「水晶が光に包まれました。
除霊が成功したようです」
嬉々とした様子でカメラを前に説明する姿を見て、
「そりゃ正真正銘、
一点の曇りもない水晶だからな。
気分も清々しいだろうよ」
牧野が鼻で笑い、水晶を佐久間に渡した。
佐久間がそれを特殊な袋に入れるのと同時に、
仕事を終えた安達が戻ってきた。
「外にいた浮遊霊は全部回収した」
四人は姿を消した状態なので、
周囲からは見えていない。
佐久間はその答えに結界を解き、
四人も通常の姿に戻した。
「あの数を全部、冥界に送ったのか? すげえな」
牧野が驚く。
「安達君には特殊能力があるんですよ」
「なにそれ」
「頭にあるリングは、
特殊能力を作動させる力もあるんですよ」
「えっ、すげえ。
それって、
孫悟空の輪っかみたいなもんかと思ってた。
嘘つくと締め付けられるやつ? 」
「………」
安達がムッとした顔をした。
「そんな便利なもんなら、俺も欲しい。
何で安達だけ? ずるい!! 」
「これは人を選ぶんですよ。
だから俺も佐久間さんも無理。
牧野君が使いこなせるとは思えないな」
「チェッ」
牧野は面白くなさそうに舌打ちした。
「とりあえず、大収穫じゃないですか。
こんな大物捕まえられるなんて、
さすが牧野君だ。お手柄ですよ」
「えっ、そ、そう? 」
向井に褒められ、牧野は嬉しそうに照れた。
「向井さんは牧野君の扱いが上手いですよね」
佐久間が小声で言いう。
「まあ、子供の扱いはね。
これでも学生時代は、
ベビーシッターのバイトで評判よかったんですよ」
「それはお母さん達にでは? 」
「親御さんにも喜んでもらいましたけど、
子供達にも人気あったと思うんですけどね」
自分がモテることに無頓着な向井らしいと、
佐久間は笑った。
「なんですか? 」
「いえ、向井さんはそのままでいいと思いますよ。
それと牧野君を子供だなんて言ったら、
怒られますよ」
「言いませんよ。ハハハ」
向井が笑った所で、
「俺、腹減った。肉、肉食べたい~!!
食いに行こうぜ」
牧野が体を振りながら、
駄々っ子のように声を上げた。
「前言撤回します。大きな子供です」
「ですね」
二人が笑うと、
「なんだよ」
牧野が面白くなさそうに膨れた。
「ほら、そんな顔しないで、
焼き肉でも食べに行きますか」
向井は若い二人を急き立てながら、
佐久間とのんびり歩いていった。
「何かが近くまで来ています。
この水晶で除霊する瞬間が、
皆様に伝わるといいんですけど」
何やら呪文を唱え始めた。
背後にいたスタッフの一人がよろめく。
「ちょっと、何してるのよ。
危険なのよ。ちゃんとしなさい!! 」
そんな様子を見ていた牧野が、
「なっ、あのクソババァ。
何も見えないのに偉そうだろ? 」
「言葉が汚いですよ」
「いいんだよ。あんな奴らのせいで、
俺たちの仕事が増えてるんだからさ」
「でも、倉田さんに勝てる霊電が手に入るんだから、
いいじゃないですか」
向井が言うと、
「それくらいのいい事でもなきゃ、
やってらんねぇよ」
牧野が愚痴を言うのと同時に、
悪霊が水晶に取り込まれた。
「よし。今だ!! 」
向井が両手で小さな円を描き、
時間を止めた。
その一瞬の間に、
牧野が水晶玉を浮かせて、
瞬間移動させる。
水晶玉はふわっと浮かび上がると入れ替わった。
向井は周囲の状況を確認しながら、
手を軽く叩き時間を動かした。
辺りの空気が瞬時に軽くなったのが分かった。
アンナが、
「水晶が光に包まれました。
除霊が成功したようです」
嬉々とした様子でカメラを前に説明する姿を見て、
「そりゃ正真正銘、
一点の曇りもない水晶だからな。
気分も清々しいだろうよ」
牧野が鼻で笑い、水晶を佐久間に渡した。
佐久間がそれを特殊な袋に入れるのと同時に、
仕事を終えた安達が戻ってきた。
「外にいた浮遊霊は全部回収した」
四人は姿を消した状態なので、
周囲からは見えていない。
佐久間はその答えに結界を解き、
四人も通常の姿に戻した。
「あの数を全部、冥界に送ったのか? すげえな」
牧野が驚く。
「安達君には特殊能力があるんですよ」
「なにそれ」
「頭にあるリングは、
特殊能力を作動させる力もあるんですよ」
「えっ、すげえ。
それって、
孫悟空の輪っかみたいなもんかと思ってた。
嘘つくと締め付けられるやつ? 」
「………」
安達がムッとした顔をした。
「そんな便利なもんなら、俺も欲しい。
何で安達だけ? ずるい!! 」
「これは人を選ぶんですよ。
だから俺も佐久間さんも無理。
牧野君が使いこなせるとは思えないな」
「チェッ」
牧野は面白くなさそうに舌打ちした。
「とりあえず、大収穫じゃないですか。
こんな大物捕まえられるなんて、
さすが牧野君だ。お手柄ですよ」
「えっ、そ、そう? 」
向井に褒められ、牧野は嬉しそうに照れた。
「向井さんは牧野君の扱いが上手いですよね」
佐久間が小声で言いう。
「まあ、子供の扱いはね。
これでも学生時代は、
ベビーシッターのバイトで評判よかったんですよ」
「それはお母さん達にでは? 」
「親御さんにも喜んでもらいましたけど、
子供達にも人気あったと思うんですけどね」
自分がモテることに無頓着な向井らしいと、
佐久間は笑った。
「なんですか? 」
「いえ、向井さんはそのままでいいと思いますよ。
それと牧野君を子供だなんて言ったら、
怒られますよ」
「言いませんよ。ハハハ」
向井が笑った所で、
「俺、腹減った。肉、肉食べたい~!!
食いに行こうぜ」
牧野が体を振りながら、
駄々っ子のように声を上げた。
「前言撤回します。大きな子供です」
「ですね」
二人が笑うと、
「なんだよ」
牧野が面白くなさそうに膨れた。
「ほら、そんな顔しないで、
焼き肉でも食べに行きますか」
向井は若い二人を急き立てながら、
佐久間とのんびり歩いていった。
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