『アンダーワールド』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

文字の大きさ
24 / 627
第一部

水晶玉交換

しおりを挟む
何も知らないアンナが、

「何かが近くまで来ています。

この水晶で除霊する瞬間が、

皆様に伝わるといいんですけど」

何やら呪文を唱え始めた。

背後にいたスタッフの一人がよろめく。

「ちょっと、何してるのよ。

危険なのよ。ちゃんとしなさい!! 」

そんな様子を見ていた牧野が、

「なっ、あのクソババァ。

何も見えないのに偉そうだろ? 」

「言葉が汚いですよ」

「いいんだよ。あんな奴らのせいで、

俺たちの仕事が増えてるんだからさ」

「でも、倉田さんに勝てる霊電が手に入るんだから、

いいじゃないですか」

向井が言うと、

「それくらいのいい事でもなきゃ、

やってらんねぇよ」

牧野が愚痴を言うのと同時に、

悪霊が水晶に取り込まれた。

「よし。今だ!! 」

向井が両手で小さな円を描き、

時間を止めた。

その一瞬の間に、

牧野が水晶玉を浮かせて、

瞬間移動させる。

水晶玉はふわっと浮かび上がると入れ替わった。

向井は周囲の状況を確認しながら、

手を軽く叩き時間を動かした。

辺りの空気が瞬時に軽くなったのが分かった。


アンナが、

「水晶が光に包まれました。

除霊が成功したようです」

嬉々とした様子でカメラを前に説明する姿を見て、

「そりゃ正真正銘、

一点の曇りもない水晶だからな。

気分も清々しいだろうよ」

牧野が鼻で笑い、水晶を佐久間に渡した。

佐久間がそれを特殊な袋に入れるのと同時に、

仕事を終えた安達が戻ってきた。

「外にいた浮遊霊は全部回収した」

四人は姿を消した状態なので、

周囲からは見えていない。

佐久間はその答えに結界を解き、

四人も通常の姿に戻した。

「あの数を全部、冥界に送ったのか? すげえな」

牧野が驚く。

「安達君には特殊能力があるんですよ」

「なにそれ」

「頭にあるリングは、

特殊能力を作動させる力もあるんですよ」

「えっ、すげえ。

それって、

孫悟空の輪っかみたいなもんかと思ってた。

嘘つくと締め付けられるやつ? 」

「………」

安達がムッとした顔をした。

「そんな便利なもんなら、俺も欲しい。

何で安達だけ? ずるい!! 」

「これは人を選ぶんですよ。

だから俺も佐久間さんも無理。

牧野君が使いこなせるとは思えないな」

「チェッ」

牧野は面白くなさそうに舌打ちした。

「とりあえず、大収穫じゃないですか。

こんな大物捕まえられるなんて、

さすが牧野君だ。お手柄ですよ」

「えっ、そ、そう? 」

向井に褒められ、牧野は嬉しそうに照れた。

「向井さんは牧野君の扱いが上手いですよね」

佐久間が小声で言いう。

「まあ、子供の扱いはね。

これでも学生時代は、

ベビーシッターのバイトで評判よかったんですよ」

「それはお母さん達にでは? 」

「親御さんにも喜んでもらいましたけど、

子供達にも人気あったと思うんですけどね」

自分がモテることに無頓着な向井らしいと、

佐久間は笑った。

「なんですか? 」

「いえ、向井さんはそのままでいいと思いますよ。

それと牧野君を子供だなんて言ったら、

怒られますよ」

「言いませんよ。ハハハ」

向井が笑った所で、

「俺、腹減った。肉、肉食べたい~!! 

食いに行こうぜ」

牧野が体を振りながら、

駄々っ子のように声を上げた。

「前言撤回します。大きな子供です」

「ですね」

二人が笑うと、

「なんだよ」

牧野が面白くなさそうに膨れた。

「ほら、そんな顔しないで、

焼き肉でも食べに行きますか」

向井は若い二人を急き立てながら、

佐久間とのんびり歩いていった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪

山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。 「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」 そうですか…。 私は離婚届にサインをする。 私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。 使用人が出掛けるのを確認してから 「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

王宮地味女官、只者じゃねぇ

宵森みなと
恋愛
地味で目立たず、ただ真面目に働く王宮の女官・エミリア。 しかし彼女の正体は――剣術・魔法・語学すべてに長けた首席卒業の才女にして、実はとんでもない美貌と魔性を秘めた、“自覚なしギャップ系”最強女官だった!? 王女付き女官に任命されたその日から、運命が少しずつ動き出す。 訛りだらけのマーレン語で王女に爆笑を起こし、夜会では仮面を外した瞬間、貴族たちを騒然とさせ―― さらには北方マーレン国から訪れた黒髪の第二王子をも、一瞬で虜にしてしまう。 「おら、案内させてもらいますけんの」 その一言が、国を揺らすとは、誰が想像しただろうか。 王女リリアは言う。「エミリアがいなければ、私は生きていけぬ」 副長カイルは焦る。「このまま、他国に連れて行かれてたまるか」 ジークは葛藤する。「自分だけを見てほしいのに、届かない」 そしてレオンハルト王子は心を決める。「妻に望むなら、彼女以外はいない」 けれど――当の本人は今日も地味眼鏡で事務作業中。 王族たちの心を翻弄するのは、無自覚最強の“訛り女官”。 訛って笑いを取り、仮面で魅了し、剣で守る―― これは、彼女の“本当の顔”が王宮を変えていく、壮麗な恋と成長の物語。 ★この物語は、「枯れ専モブ令嬢」の5年前のお話です。クラリスが活躍する前で、少し若いイザークとライナルトがちょっと出ます。

「最高の縁談なのでしょう?なら、かわってあげたら喜んでくれますよね!」

みっちぇる。
恋愛
侯爵令嬢のリコリスは20歳。立派な嫁きおくれである。 というのも、義母がなかなかデビューさせてくれないのだ。 なにか意図を感じつつも、周りは義母の味方ばかり。 そん中、急にデビュタントの許可と婚約を告げられる。 何か裏がある―― 相手の家がどういうものかを知り、何とかしようとするリコリス。 でも、非力なリコリスには何も手段がない。 しかし、そんな彼女にも救いの手が……?

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

処理中です...