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第二部

死神の作られ方

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「あっ、向井。

今日はプリンケーキだってさ。

安達のリクエストなんだって。

俺がフォンダンショコラ食べたいって言っても、

スルーされてるのに」

牧野は面白くなさそうに膨れた。

「美味しいものを食べてるときに、

そんな顔してるとケーキに失礼だぞ~」

ひょこっと向井の背後から現れたトリアは、

牧野に近づくと両頬をぷに~~~っと引っ張った。

「なにすんだよ!! 痛ぇだろ!! 

大体こんな夜中に何してんだよ」

「さっきまでアシスタントしてたのよ。

本当は泊ってこようと思ったんだけど、

山川がチビたちに絵を描く約束したって言うから、

戻ってきたの」

そういうと椅子に座ってカップを一つ取った。

「疲れた体に甘いものって美味しいよね~」

トリアはスプーンを銜えて、

幸せそうに笑った。

向井と佐久間は呆気に取られて見ていたが、

頬を押さえている牧野を見て大笑いした。

「なんだよ。みんなして」

牧野は不貞腐れると、

「俺ももう一個食べる!! 」

カップを手に食べ始めた。

「そういえばちょっと聞きたかったんですけど」

向井もプリンを食べながら、

トリアを見た。

「なに? 」

「失礼なんですけど、

死神って誕生した時からその姿なんですか? 」

「あっそれ、俺も気になってた」

牧野がプリンを口に入れて言った。

「ああ~そうだね。

死神は冥王が全て決めてるから、

気づいたらこの姿でここにいる感じ? 

記憶とか性格は初期の段階では、

冥王のインプリンティングだね」

「それってただの刷り込みとは違うんですか? 」

佐久間が興味を持って聞く。

「刷り込みされて生まれるけど、

ちょっと違うかな。

あんたらの言うヒューマノイド。

その方が分かりやすいよね。

ただ、あんなアンドロイドとは違って、

こっちは姿も頭脳も完全な人」

「霊魂でもないってこと? 」

牧野が不思議そうに聞いた。

「私たちの魂は冥王が作った核。

真珠を作るのに大事な芯と同じで、

それを中心にモデリングされて生まれるの。

現冥王はきちんと性格や容姿など、

かなり細かく意味を持って死神を誕生させてる。

私なんかいい加減に作られて生まれてるから、

この性格は今の冥王と一緒に仕事をして、

少しずつ覚えていった感じかな? 」

「冥王は死神の人生にも、

責任を感じているみたいですからね」

「そうなの? 」

向井の言葉に牧野が驚いた。

「そう、そこが前冥王と現冥王の違い。

今の死神は穏やかな子が多いのも特徴かな。

初期段階の性格も細かく設定されているから、

ここで少しずつ勉強して、

楽しい事や辛いことを覚えていく。

工房とかトレーニングルーム見てても、

楽しそうじゃない?

私の時代はそりゃ酷かったわよ。

だから彼らは幸せだし、私も今は幸せ~」

トリアはそういって笑顔になった。

「死神も大変なんだな」

「そうよ。だから牧野も、

あまり私らに無理言わないでよ」

「それとこれは別だろ」

「生意気な」

トリアは牧野の頭を叩いた。

「これってパワハラ? 」

「どの口が言う。この口か? 」

トリアが牧野の唇をつまんだ。

そんなやり取りに向井達が笑い、

静かな夜中の食堂に響き渡った。
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