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第六部

冥界にもサンタさん?

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「でもね、ここには煙突ないから、

どこから来るの? って冥王に聞いたら、

これくれた」

要するに、それに対する答えの絵本という事か。

「冥王は読んでくれないの? 」

向井が聞くと、

「もうお酒飲んでる」

大人たちの飲んで食べてと騒いでいる姿を見て、

向井は笑うと座って絵本を開いた。

すると気になったのか安達もやってきて、

絵本を覗いた。

「サンタクロースを待っている子供達へ。

いい子でいますか? 」

「いい子~」

チビ達が言う。

「クリスマスのサンタクロースは朝から大忙しです。

いい子を見つけると、

ソリに乗って、

煙突からプレゼントを届けてくれます。

でもあるお家で、

サンタクロースがプレゼントを渡そうとすると、

サンタクロースのお腹が邪魔をして、

煙突に入れません。

どうしよう。

子供達が待っているのに。

そこでサンタクロースは考えました。

そうだ。

ドアから入って渡せばいいんだと」

「えっ? 」

チビと安達が驚く顔で向井を見た。

「太ってるから煙突に入れないの? 」

こんが言い、

「だって」

向井もチビの顔を見ると、みんなで笑った。

「サンタクロースは、

お家の人にプレゼントを渡して帰っていきました」

「だったら、起きて待ってたら会える? 」

三鬼が聞いた。

向井は絵本を見ると、続きがあった。

「サンタクロースは恥ずかしがり屋さんなので、

子供達が起きている時には、

お家に来ません。

いい子でお休みしている子供達にだけ、

プレゼントは届くのです」

「じゃあ、サンタさんには会えないの? 」

「会えないですね」

向井が言うと、

「僕会いたい」

三鬼が真剣な顔で聞くので、

向井も笑顔で続きを読んだ。

「お家の人もサンタクロースと会ったことは、

子供達には秘密です。

サンタクロースとの約束なので、

守らなければいけません」

「約束は絶対だからの~」

呉葉が言う。

しょんぼりする三鬼に、

「ほら、ここを見てごらん」

絵本の最後には、

「サンタクロースは姿を消して、

いい子のお顔を見てから帰りますって」

「だから寝てなきゃダメなの? 」

こんが向井を見た。

「そうですね」

三鬼の寂しそうな顔に、

「そうだ。

サンタさんにプレゼントを有難うって、

絵を描いて渡したらどうでしょう」

「絵? 」

チビ達が絵本から顔を上げた。

「君たちの大好きなものを描いた絵を、

プレゼントしたらきっと喜んでくれますよ。

大丈夫。ちゃんと冥王が、

サンタさんに渡してくれます」

「描く」

チビ達が椅子に座ると、

向井がテーブルに画用紙とクレヨンを用意した。

真剣に描く姿を見ながら、

ふと横を向くと安達が絵本を見ていた。
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