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第六部

冥界のクリスマス

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クリスマスの時期は、

ホテルでもパーティーなど行われていて、

忙しいこともあり、

彼女に振られたことを、

向井は思い出しながら歩いていた。

近くの神社では、

クリスマスマルシェが行われていた。

安達君がいたら大騒ぎだな。

神社でクリスマスか………

向井は笑うと姿を消して鳥居をくぐった。


――――――――


冥界に戻ると冥王とチビ達がやってきて、

メリークリスマスと騒いでいた。

優香が特大のクリスマスケーキを安達と作っていたので、

チビ達も大喜びしていた。

支部の者達も来たようで、

いつも以上に賑やかだ。

「もう、みんないるよ~

ケーキ切るんだから早く~」

三鬼が向井の手を引いた。

「そうか、ちょっと待ってね」

向井は死神課のカウンターの奥にいるオクトを見つけると、

「オクトさん、悪いけどこれ特別室に持っていってくれる? 」

と声をかけた。

「これか~」

セイも包みを見て大きなため息をついた。

「なに? 」

向井が聞くと、

「さっきからディナーはまだかって、

文句言ってるんですよ」

オクトは笑いながらやってくると、

「いいですよ。俺が届けておきます」

と言った。

「向井~早く~」

呉葉とこんも抱きついてきたので、

「悪いですね。はいはい、行こうね」

とチビと冥王に連れられ、休憩室に向かった。



休憩室に入ると、

大人たちはもうだいぶ出来上がっているのか、

楽しそうに盛り上がっていた。

「凄いケーキだね」

向井も驚きに目が見開いた。

三段になったケーキが三つ。

チョコとイチゴとモンブラン。

サンタクロースの飴細工が乗っているのを見て、

「玉木さんに作ってもらったんですか? 」

と安達を見た。

「うん。可愛いでしょ」

笑顔で言う。

「ケーキもね~

優香ちゃんとセーズとドセで、

一生懸命作ったんだよ」

「みんな嬉しそうで、

頑張った甲斐があったじゃないですか」

「えへへ」

「向井君も帰ってきたから、

ケーキをカットしましょう」

冥王がいい、

チビ達も喜んでケーキワゴンに走っていった。

安達と向井もケーキを取りにいくと、

「向井さんはどれにする? 」

ドセがカットしてケーキ皿に乗せていた。

「俺はモンブランにしようかな」

そういって皿に乗せてもらったケーキを手に、

カウンターのスツールに座った。

ケーキを食べていると、

チビが絵本を持ってやってきた。

「あのね。これ読んで」

「ん? 」

見ると河原葵作・画で、

『いい子の条件 サンタクロースからのお手紙』

とあった。

あの二人は絵本を作ったのか? 

「冥王が読んでくれた絵本は、

煙突からサンタさんが入ってくるの」

「うん」

向井は絵本を見て、

チビと一緒にキッズルームに向かった。
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