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第六部

イベント参加

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今、

中央の地震が少ないのは

赤姫が抑え込んでいるからだ。

島国全体のプレートもずれているし、

中央の開発を進めるあまり、

今まで抑え込まれていた負があふれ出していた。

状況が変わっても動ける状態にしておかないと、

向井も特別室の事に考えを巡らせていた。



イベント当日――――

牧野と佐久間、エナトとオクト、

ディッセとアートンの三チームで、

祠近辺のパトロールに出かけて行った。

イベントには安達、弥生、真紀子、

ティン、エハが先に下界へ下り、

向井とトリア、ヴァンがチビを連れて、

後から行くことになった。

ヴァンは、

「俺、イベント初めてだからワクワクしちゃって」

朝から楽しそうにしていた。

チビ達は化けても、

尻尾や角が出てしまうので、

冥王に光を当ててもらい人間の姿に変身させた。

「虎獅狼達のように化けられるには、

まだまだですね」

冥王は笑うと、

お揃いのお洋服ではしゃぐチビの姿を、

微笑ましく眺めていた。

「お揃い~」

「ね~」

三人で手をつないでいる姿を見て、

「本当に可愛いわ~うちの子」

と親ばかな言葉でトリアが両頬に手をあてた。

「いや、可愛いよ」

ヴァンも腕組しながら満足そうだ。

「ほら、それくらいにして出かけないと」

向井も笑うと嬉しそうなチビ達を連れて、

イベントに向かった。


――――――――


今回は前回の所より少し広めの開催地だ。

ただ、

コミックと手作り品だけらしく、

食品がないので安達が少しがっかりしていた。

向井達がブースに行くと、

黒谷もすでに来ていて、

コミック販売を手伝っていた。

「あっ、来た来た」

エハが手を振ると、

「あら~可愛い。どこのキッズモデルかと思った」

とチビ達を見て笑顔になった。

「うちの三つ子ちゃん、可愛いでしょう」

トリアも言うと、黒谷がやってきた。

「えっ? 誰の子? 」

「向井君の子よ~」

「ええ? 三つ子? 」

トリアの言葉に黒谷が驚きの声を上げた。

「そんなわけないでしょう」

向井はあきれ顔で言うと、

「妖怪の子供です」

と紹介した。

「冥界って妖怪も住んでるの? はあ~ビックリ」

黒谷が笑うのを見て、

「誰じゃ? 」

と呉葉が向井を見上げた。

「お友達の黒谷君です。挨拶できるかな」

向井の言葉に三人はぺこりと頭を下げた。

「人間の子にしか見えないよね」

「一応人間に化けてるんでね」

向井がチビ達の頭に手を置いて言った。

「へえ~あっ、そうだ。さっき安達君に、

お弁当を冥界に送ってもらったから」

「有難うございます。

じゃあ、俺達が下りた後に届いたのかな? 」

「冥王が見つけたら、きっと今頃、

セイたちに運ばせて食べてるんじゃない? 

で、売り上げの方はどう? 」

とトリアが聞いた。
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