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第六部

沈没ニュース

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新年あけて暫くすると、

大きな地震が起こり、

ニュースでもコメンテーター達が、

沈没するのかと論争が始まっていた。

「沈没するのかなんて放送している時点で、

この国は終わってるな」

牧野が悪霊退治から戻るなり、

文句を言ってソファーに寝転がった。

「どうしたんですか? ご機嫌斜めですね」

向井がエハと一緒に寝てしまったチビを抱いて、

休憩室に入ってきた。

「下界でTVの街頭インタビューを見て、

牧野君は煽っているように感じたんだよね。

中央の外では地崩れや道路陥没が起きているのに、

大事だと騒いではいても、

一部の人間にはやはり他人ごとみたいで、

悪霊退治も少しむなしく思えて不機嫌なんです」

佐久間は笑うと、

「ライスバーガー買ってきたんで、

食べましょう」

とテーブルに置いた袋を持ち上げた。

向井達はチビをキッズルームに寝かせると、

エハがキッチンに走っていった。

「何飲みます? 」

「俺コーラ」

「私は野菜ジュースを」

「私はほうじ茶にしよう。向井さんは? 」

エハが冷蔵庫からそれぞれ取り出す。

「俺はカフェラテにします」

エハはペットボトルを抱えて戻ってきた。

「中央は今の所落ち着いてますからね。

北と西では規模の小さな災害が、

点々と起きているので、

支部長は大変みたいですけど」

向井がライスバーガーを取り出すと言った。

「何か起こるのかなぁ~」

牧野がそういってバーガーを口にくわえて、

遠くを見た。

「あっ、バーガーではないか」

虎獅狼達が入ってきた。

「そういえば工房にずっといるけど、

何を作ってたの? 」

エハが聞いた。

「イベントをやるのであろう? 

俺達も出そうと思って作っているのだ」

「俺など、堤に褒められたぞ」

クロも嬉しそうに座ると、

ライスバーガーを袋から出した。

「虎獅狼達もイベントに出すんですか? 」

向井が驚いて三人を見た。

「いいでしょ。私も最近は髪飾りを作ってるの。

ほら、これも私が作ったんだから」

そういうと千乃は鳥と花のカラフルなニードルを、

皆に見せた。

「綺麗じゃないですか」

佐久間も見て驚く。

「でしょう? 冥王も出すんだもの。

私達が出していけないことないわよね」

千乃も楽しそうに言うとバーガーを食べた。

下界で少し不穏な動きはあるものの、

こうやって普通に暮らせて、

楽しそうな姿が見れる日常にホッとする。

向井は笑いながら、

「楽しみですね」

「楽しみだ」

虎獅狼達が嬉しそうに笑った。


ここにきて冥王もディッセ、アートンと、

執務室で話し合うことが多くなった。

支部長も何度か中央にやってきたこともあり、

近々大きく動きがあるのかもしれない。
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