あなたはずっと俺のもの

文野多咲

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社長は変態?!

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 寝室から出ると社長はいなかった。キッチンで食器を片付けて、シャワーに向かう。身支度を整えても、社長はまだ戻ってこない。
 改めて部屋を見れば、ハウスキーパーが出入りしているのか小ぎれいだった。それにしても殺風景すぎて、無機質な顔の社長にはぴったりの部屋だ。
 他人の部屋で所在なく過ごすのも退屈になってきたところで、玄関で物音がした。
 社長は黒のVネックニットに、グレーのパンツ姿だった。前髪を垂らしているために、会社で見るよりもずいぶん若く見えた。
 片目を閉じて斜めから見ると二十代に見えないでもない。
 やっぱり二十代なんだわ。
 社長はそんな私をいぶかしんで言った。

「何で目をすがめて俺を見るの?」
「おかしいですか」
「それはこっちが訊きたい。俺、どこかおかしい?」
「いえ、別に。社長は普通です」
「あなたはしょっちゅう、おかしいけどね」

 まあ失礼!
 でもそうだよね。私、おかしいよね。いつもなんとも思わない社長を何故か少しだけ格好良いと思っている。

「じゃ、行こうか」
「はい! 楽しみです! 和牛ステーキ!」
 
 地下駐車場に向かう。
 私は社長より先に立って、いつもの黒のセダンの運転席に向かった。外に出るときは、私が運転して、社長は助手席か後部座席に乗ることになっている。
 社長は運転席に向かう私についてきた。
 今日は後部座席なのね?
 少しだけ残念な気持ちがよぎる。何となく隣同士に座ると思っていたけど、まあ上司と部下ですし、やっぱりこれが自然よね。
 そう思いながら運転席のドアを開けようとしても開かなかった。
 あら、そういえば鍵を忘れたわ。会社に取りに行かなくちゃ。
 それを告げるために社長を振り返ると、社長は、隣の白のSUVのドアに手をかけていた。
 しゃ、社長、その車、めっちゃ高いですから。
 逆輸入レクサス。車に詳しくない私でもわかるくらい高いから。
 社長ってば、何、ボケをかましてるんだろう。しかし、SUVのドアはすんなりと開いた。

「えっ」
「今日はこっち」
「もしかして、それも社長の自動車だったんですか?」
「俺のは、これだけ。セダンは会社の」
「じゃあ、二台で行くんですね!」

 そう言えば、社長はちょっと呆れた顔をして、私の手を引っ張った。そのままSUVの助手席まで連れて行けば、車内へ押し込む。そして、シートベルトをカチャリと絞めた。
 はれ?
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