あなたはずっと俺のもの

文野多咲

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ハッピーエンド?!6

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「辞表……?」

 私が出したものを見て、社長は唖然とした。
 青天の霹靂って顔をしている。

「引継ぎは川下部長にしてありますので。明日から有給消化させていただき」

 私の言葉を社長は遮る。

「ちょっと待って、理由は?」

 赤ちゃんを産むから。
 社長との赤ちゃんを産むから。
 私は中絶の手術をキャンセルしていた。
 もう産むと決めた。
 豆粒の赤ちゃんをどうしても産みたくなった。
 でも、産めば社長を困らせてしまう。社長を困らせるのだけはいやだ。
 だから、一人で勝手に産む。
 そして、この関係を完全に終わらせると決めた。

「一身上の都合です」
「俺とのことは」
「社長とは、終わりにさせてください」

 社長は苦しそうな顔つきを向けてきた。
 セフレでもちょっとは惜しいですか。失うのはもったいないですか。

「俺、何か、やった?」
「社長は悪くありません」

 そもそも社長に手を出したのは私。
 そして、社長を好きになっちゃったのも私。
 安心してください。大丈夫、社長を困らせるようなことはしませんからね!
 泣きそうになるのをぐっとこらえる。
 セフレのくせに泣くような、わきまえのない女にはなりたくはない。
 
「じゃあ、何?」
「…………」
「どうして?」
「…………」
「まいこ!」

 さすが社長、私の名前の読み方、知ってたんですね。
 嬉しい。
 下の名前を呼んでくれた。
 ちゃんと間違えずに呼んでくれた。
 ふふ、私も少しは大切な女性だったんですね。
 もうそれで十分です。

「もしかして、子どもができた………?」

 社長の声に、私は顔を上げた。
 そのことがイエスの返事になるとは気づかずに。

「できたんだね?」
「いいえ」
「でも、今、お腹を触ってる。愛おしそうに撫でている」
「いいえ、ちょっとお腹が痛いだけです」

 社長は私の顔を覗き込んできた。社長の顔には確信があった。

「ごめん、一人で悩ませてたんだね。まいこ、結婚してほしい」

 はい?!

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