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ハッピーエンド!
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そして私は今、社員たちから祝福を受けている。
「社長、常務、婚約おめでとうございます!」
「ちょっと前から怪しいなって思ってたんです。でも、お二人とも真剣な様子だったからこうなると思ってました」
どーしてこうなった?!
「結婚式は米子のお腹が目立つ前にささやかに行うつもりだ」
社長の声に「うわあ、おめでただ!」と歓声が上がる。
高橋までその輪に混ざっている。
高橋はどこかすっきりとした顔で言ってきた。
「結婚となれば安心しました。いろいろと言ってすみませんでした。俺もやっと常務を諦めることができます」
一人で納得したように言った。勝手に振っておいて、その言い草は何よ……。
でも高橋なりの心配がわかって感謝を覚えた。
社長と二人きりになり、まだ気持ちの整理がつかない私は訊いた。
「社長、あの、私でいいんですか?」
「まいこ、これから二人だけのときは、社長はやめて欲しい」
社長は少し照れた顔で言ってきた。少しはにかんだ顔にキュンとする。うわあ、心が最高にくすぐったいわ。
じゃなくて。
婚約者はどうなった? お姫さまはどこに行った?
社員にもうっすらバレていたとな?
真剣交際に見えていたとな?
「ひなちゃん、あの、私でいいんですか?」
「そ、その呼び方だけはやめてくれ。気分が萎える」
「じゃあ、ひなたさん」
「うん?」
社長は目を細めて情愛のこもる目で見つめてきた。
「ひなたさん、私、ひなたさんには婚約者がいると思っていましたが」
社長は少しばかり傷ついた顔をした。
「そんなのはいない。祖父に押し付けられたこともあったけど、きっぱりと断った。米子は俺をそんな男だと思っていたの? 婚約者がいるのに米子とこういう関係を続けるような男だと思ってたの?」
そう言う日向さんはペションとしており。
もしかして、ずっと真剣交際のつもりだったの? ええ、そうだったの?
ごめんなさい、勝手にセフレ関係だと決めつけて。
思えばずっと失礼な決めつけをしていたものだ。
「では、どうして婚約者はいないと言ってくれなかったんですか。社員にもひなたさんは遊び人と思われています」
私も思ってたけど。
「いつどのタイミングでそれを言えと」
そういえば、確かにわざわざ公言するのもおかしな話だ。婚約解消したからよろしく、なんて朝礼で言われても社員たちも目をぱちくりするだけよね。
社長はちょっと拗ねたような顔で唇を突き出して言った。
「確かに俺も女性にはだらしないところがあった。でも、米子とこうなってからは、一切、ない」
それはわかる。だって私がほぼ独占してきたんだもの。
セフレって思ってきてごめんなさい。
「でも、どうして好きだと言ってくれなかったの?」
「俺、いつも言ってる。あなたが好きだと」
「えっ?」
あ、そういえば、いつも言ってくれていましたよね。好きだ、可愛い恋人だとまで。
はれ?
なんで、私、セフレと思ってたんだろ。
私の悲壮な覚悟は何?
一人で子を産んで生きていくとばかり思ってましたけど?
「まいこ………?」
放心している私に社長は声をかけてきた。
「まいこはいや? 俺と結婚したくはない?」
「い、いえ」
「じゃあ、言って。俺と結婚するって、俺に聞かせて欲しい」
「わ、わたし、日向さんと結婚する! 私、日向さんの奥さんになる!」
私は社長、もとい、日向さんの首に抱き着いた。
日向さんは満足げに私を見返して、甘やかに見つめてきた。
「まいこ、愛してる」
「ひなたさん……、私も、好き。愛しています」
「まいこ、俺、今、すごく嬉しい。とても幸せだよ」
幸せそうな日向さんを見ていると、私の胸にも幸せが込み上げてきた。くふふっ、ふはははっ。
胸の奥で温かいものが広がる。体中がくすぐったい。
日向さんを恋人だと認識し、それを実感した途端、急に世界が素晴らしさを取り戻した。
ああ、世界って……! 美しい……!
くふふっ、ふはははっ。幸せの笑いが込み上げる。
私の目から涙があふれ落ちる。
もう日向さんは、涙を見せてもいい相手だ。
「私、幸せ、私もとても幸せよ、日向さん……」
「うん」
日向さんの目にも喜びの涙がにじんでいた。
***
『私、結婚することになった。相手は社長の瀬川日向さん』
ママにメッセージを送った。
『あら、おめでとう。実は私、以前にあなたたちを見かけたのよ。瀬川さんに声をかけたら、あなたに対してとても真剣だったから、ママもとても嬉しかったわ』
そんな返事が戻ってきた。
日向さんったら、最初から私に首ったけだったのね。
くふ、くふふ、ふはははっ。
「また笑ってる」
「私、笑ってました?」
「うん」
「だって、幸せなんだもん」
「そうだね。俺も幸せだよ」
日向さんも一緒になって笑う。
胸の奥にくすぐったさが広がり、心がほわほわと温まってくる。
ずっと一緒にいてね、日向さん。
「社長、常務、婚約おめでとうございます!」
「ちょっと前から怪しいなって思ってたんです。でも、お二人とも真剣な様子だったからこうなると思ってました」
どーしてこうなった?!
「結婚式は米子のお腹が目立つ前にささやかに行うつもりだ」
社長の声に「うわあ、おめでただ!」と歓声が上がる。
高橋までその輪に混ざっている。
高橋はどこかすっきりとした顔で言ってきた。
「結婚となれば安心しました。いろいろと言ってすみませんでした。俺もやっと常務を諦めることができます」
一人で納得したように言った。勝手に振っておいて、その言い草は何よ……。
でも高橋なりの心配がわかって感謝を覚えた。
社長と二人きりになり、まだ気持ちの整理がつかない私は訊いた。
「社長、あの、私でいいんですか?」
「まいこ、これから二人だけのときは、社長はやめて欲しい」
社長は少し照れた顔で言ってきた。少しはにかんだ顔にキュンとする。うわあ、心が最高にくすぐったいわ。
じゃなくて。
婚約者はどうなった? お姫さまはどこに行った?
社員にもうっすらバレていたとな?
真剣交際に見えていたとな?
「ひなちゃん、あの、私でいいんですか?」
「そ、その呼び方だけはやめてくれ。気分が萎える」
「じゃあ、ひなたさん」
「うん?」
社長は目を細めて情愛のこもる目で見つめてきた。
「ひなたさん、私、ひなたさんには婚約者がいると思っていましたが」
社長は少しばかり傷ついた顔をした。
「そんなのはいない。祖父に押し付けられたこともあったけど、きっぱりと断った。米子は俺をそんな男だと思っていたの? 婚約者がいるのに米子とこういう関係を続けるような男だと思ってたの?」
そう言う日向さんはペションとしており。
もしかして、ずっと真剣交際のつもりだったの? ええ、そうだったの?
ごめんなさい、勝手にセフレ関係だと決めつけて。
思えばずっと失礼な決めつけをしていたものだ。
「では、どうして婚約者はいないと言ってくれなかったんですか。社員にもひなたさんは遊び人と思われています」
私も思ってたけど。
「いつどのタイミングでそれを言えと」
そういえば、確かにわざわざ公言するのもおかしな話だ。婚約解消したからよろしく、なんて朝礼で言われても社員たちも目をぱちくりするだけよね。
社長はちょっと拗ねたような顔で唇を突き出して言った。
「確かに俺も女性にはだらしないところがあった。でも、米子とこうなってからは、一切、ない」
それはわかる。だって私がほぼ独占してきたんだもの。
セフレって思ってきてごめんなさい。
「でも、どうして好きだと言ってくれなかったの?」
「俺、いつも言ってる。あなたが好きだと」
「えっ?」
あ、そういえば、いつも言ってくれていましたよね。好きだ、可愛い恋人だとまで。
はれ?
なんで、私、セフレと思ってたんだろ。
私の悲壮な覚悟は何?
一人で子を産んで生きていくとばかり思ってましたけど?
「まいこ………?」
放心している私に社長は声をかけてきた。
「まいこはいや? 俺と結婚したくはない?」
「い、いえ」
「じゃあ、言って。俺と結婚するって、俺に聞かせて欲しい」
「わ、わたし、日向さんと結婚する! 私、日向さんの奥さんになる!」
私は社長、もとい、日向さんの首に抱き着いた。
日向さんは満足げに私を見返して、甘やかに見つめてきた。
「まいこ、愛してる」
「ひなたさん……、私も、好き。愛しています」
「まいこ、俺、今、すごく嬉しい。とても幸せだよ」
幸せそうな日向さんを見ていると、私の胸にも幸せが込み上げてきた。くふふっ、ふはははっ。
胸の奥で温かいものが広がる。体中がくすぐったい。
日向さんを恋人だと認識し、それを実感した途端、急に世界が素晴らしさを取り戻した。
ああ、世界って……! 美しい……!
くふふっ、ふはははっ。幸せの笑いが込み上げる。
私の目から涙があふれ落ちる。
もう日向さんは、涙を見せてもいい相手だ。
「私、幸せ、私もとても幸せよ、日向さん……」
「うん」
日向さんの目にも喜びの涙がにじんでいた。
***
『私、結婚することになった。相手は社長の瀬川日向さん』
ママにメッセージを送った。
『あら、おめでとう。実は私、以前にあなたたちを見かけたのよ。瀬川さんに声をかけたら、あなたに対してとても真剣だったから、ママもとても嬉しかったわ』
そんな返事が戻ってきた。
日向さんったら、最初から私に首ったけだったのね。
くふ、くふふ、ふはははっ。
「また笑ってる」
「私、笑ってました?」
「うん」
「だって、幸せなんだもん」
「そうだね。俺も幸せだよ」
日向さんも一緒になって笑う。
胸の奥にくすぐったさが広がり、心がほわほわと温まってくる。
ずっと一緒にいてね、日向さん。
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